覚醒
あれから数週間後
俺、辻岡海星は自宅でテレビを見ている。
床は無垢フローリングで、壁にはどこにでもありそうなカレンダーが飾られている。
その部屋には物というものがあまりなく強いて言うならテレビと勉強机が置いてある、物が少ないがごく普通の学生の部屋だ。
そして、俺の目の前には、数週間前から話題の異能力者について話しているニュース番組が放送されているテレビが置いてある。
その、ニュースでは、数週間前から増え続けている異能者のことを話している。
これではまるでマンガの世界じゃないか。
一ヶ月前までは普通の世界だったのに。
それがどうしてこんな世界になってしまったのか……
その上、なぜ自分がこんな異能力が使える異能者になったのか?
あの日いつもと同じように授業を受けて昼休みを迎えた。
チャイムが鳴ると同時にクラスのほとんどの生徒が購買や食堂へ、飢える獣のように走っていった。
それはうちのクラスに限ったことではなく、少し遅れてドアの開く音が隣、さらに隣のクラスへと次々に聞こえてくる。
それと同時に男子達の雄叫びのようなものや、女子の女子らしからぬ声も聞こえてくる。
俺はあんな飢えた獣のように購買や学食には行かない。
自慢では無いが料理は得意な方なので、自分で作った弁当の方が美味しいし栄養もあるのだ。
だから俺はこのクラスで数少ない弁当派なのだ。
今の俺の自分の席は教室の一番左側の一番後ろの席。おそらく日本人においては最高の席に部類される位置だろう。
その端っこの最高の席で俺は弁当を食べようとしていた。
俺の他には、リア充のような男子二人と女子二人のグループが仲良さそうに和気あいあいと弁当を用意している。
すると、気の弱そうな女と目が合った。
特に何となく見てただけで、意味は無かったので直ぐに視線を剃らし、食事を始める。
すると今度は気の強そうな女子の一人が友達のように声をかけてきた。
名前は青何とかだったような。
「あんたもお弁当なの?」
「ああ、そうだ。今食べてる所だから邪魔しないでくれ」
俺は青何とか誘いの言葉を出すよりも早くに拒絶の意思を見せる。
会話を終わらせ。食事を再会する。
「何なのよ! 声をかけてあげたのにその態度!もういいわよ!」
俺の態度を見て、女は言葉を吐き捨てて元のグループの所へと戻っていった。
その後もご機嫌ななめな様子、で何か喚いていたが雑音はシャットアウトした。
いや、友達でもない俺が混ざって食べるとか、それは拷問ではなかろうか。
このクラスに嫌な人がいるとかということではない。分類的には明るいクラスのほうであろう。
しかし、リア充組の発言力が大きいものとなっている、このクラスの雰囲気が俺は少し苦手だ。
先生も気に入っているのか、リア充グループにひいきしてるのは明らかにわかる。クラスの何人かもつられて同調はしているが、後の半分の人は迷惑そうな反応だ。もはや諦めているのだろうな。
やがて食事を終えて弁当箱を閉じた後事件は起きた。
「おい、お前だよ辻岡海星」
「なんだよ」
「ちっ、お前な陰キャのくせに調子乗ってんじゃねえぞ」
「別に調子になんか乗ってないだろ」
「まぁいいや、ちょとついてこいよ」
俺はそいつらに囲まれて無理やり人気のない場所まで連れてこられた。
「なぁ、もうはな」
離してと言おうとした瞬間にドス!と鈍い音がして俺は倒れた。
そいつらは、倒れた俺を無言で蹴りを入れてくる。
なぜ俺がこんなことをされなければいけないんだ?
そう思って周りを見ると蹴りを入れてくる奴らの動きが遅く感じ蹴りを入れてくる奴らの足を掴み壁に叩きつけた。
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