TS:2 自覚、そして覚悟
素敵に性転換、されちまった優里だ…つ〜か俺が女になったの作者の陰謀じゃねぇの?まぁとにかく第2話始まるぜ、今回は小次郎と俺の熱い友情が見所だそれじゃ本編スタートだ!
しばらく呆然としていた優里だが玄関が開く音と共に
「お邪魔します」という棗の声を聞きハッとなりずり落ちたズボンを片手で抑え急いでドアに向かいドアノブを抑える。
‐ガチャガチャ
「あれ?」
優里の自室のドアを開けようとした棗はドアノブが回らずに一瞬困惑した。
「き、今日は珍しく早起きしたんだ。着替えてるから居間で待っててくれ」
優里にしてはやけに落ち着きがない口調に棗は少しばかり不審に思ったが優里が早起きしたことの方が嬉しかったので
「分かったよ」
素直に優里の言うとうり居間に降りていった。
「………行ったみてぇだな」
しかしどうする?着替えるにしても腰も滅茶苦茶細くなってしまっている為今のベルトでは間違いなくずり落ち、不自然でしかない。優里は大急ぎでベルトに新しく穴を開け、何とかズボンを固定する。しかし最大の問題はご立派すぎるこの胸である。
(ったく…確かにデカイ方が俺の好みではあるけどよ…自分がいざそうなると邪魔でしかねぇなこりゃ)
乳房の先端言うまでもなく敏感肌なのでこのままワイシャツを着たりしたらどんなことになるかは目に見えている故に優里はブラジャーとまでは言わないが何か代用出来そうな物を探した。
「これで…いけるか?」
優里が代用することにしたのは絆創膏だった。細長いタイプだと少し不安が残るので正方形の少し大きめのを張る。その上から更に包帯を巻き、締める。そうしてようやく制服に着替え終えると…
「む、胸が苦しい…」
まぁ圧迫してるのだからキツいのは当然である。
「優里〜、まだか?」
居間の方から痺れを切らした棗が催促してくる。
「へぇへぇ、今行きますよっと」
とりあえず外見上は何とか誤魔化すことに成功した優里は今後起きるであろう面倒事を予想し溜め息を吐くのだった。
***********
「でも珍しいよね、優里がこんな早くに登校するなんて」
「別にたまたま早起きだっただけだろ?そんなに珍しがるなよ」
「………ん〜?」
棗は唐突に何か疑問に思うことがあるかのように顔をしかめて唸る。
「なんだよ?」
「優里風邪でも引いたの?なんか声が何時もより少し高いよ?」
「あ〜…」
成る程、女になるということは声も男の俺の声から女の俺の声に変わるわけね…
「まぁ、なんだ…気にするな」
「そう?ならいいけど」
「さ、鮫島さん!居ました神谷の野郎ですぜ!」
優里と棗が他愛ない会話をしながら登校していると急に数人の男に取り囲まれた。
「見つけたぜ…神谷ぁ?」
「鮫島…てめぇも大概しつけぇ野郎だな…」
鮫島浩司、悪名高き詞羅高校の生徒でその昔優里にフルボッコされてから時たま優里を襲いにくるなんとも迷惑なやつである。
「今日こそオメェをボロクソにしてやるよ神谷…!」
「そういう小物じみた物言いがお前の小物っぷりを強調してるってことにいい加減気付けよ?」
「神谷あああ!」
優里の挑発に易々と乗り激情に任せてテレフォンパンチを振り被る鮫島。こういう簡単な所がまぁ小物所以の限界なのだろう。
「ほいっ」
「がっ!…!?」
優里はスウェーバックで鮫島のパンチを避けながらそのままばくてんし、カウンターのサマーソルトキックで鮫島の隙だらけの顎をかち抜いた。
「さ、鮫島さん!?」
少し位調子が悪くともこれ程の技を余裕で決めてしまうのが優里の優里たる所以である。
「まっ、俺に勝ちたきゃもう少し考えて戦え…ってもう延びてやがるか」
「お前って本当に凄い身体能力だよな優里」
「まあな、って棗…意外だな?こういうのには口うるさいって思ってたんだが」
「どうみても今のは正当防衛だよ、正しいことをした優里を態々責めることもないだろう?」
棗は意外と融通が効くという事に今回の件で優里は理解した。かなり意外ではあったが…
「さて無駄な時間くっちまったな…行くか」
「そうだね」
ちなみに脳を揺さぶられ気絶した鮫島を介抱するのに忙しくて下っ派は優里に構ってる暇はなかったようだ。
「鮫島さぁあぁん!?」
彼等は正に“小物”な連中であった。
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昼休み、優里屋上で一人寝転がっていた。
「しっかし世の中何があるかわかんねぇもんだな…」
(何せいきなり体が男から女になっちまうんだからな…)
もちろん心当たり等全くと言っていいほどない、怪しげな薬も飲んでないし、変な発明家の実験にも巻き込まれていないし、頂上の力を持った天使様とかそういうのにであったわけでもないのだ、予兆と言えば不可思議な程の体調の良さ位だが…
「結果としちゃあ、あれが予兆だったつぅことか…しかしどうすっかね…」
優里は自分が男か女かで自己が揺らぐ様な脆いアイデンティティーは持ち合わせていないので別段慌てたりすることはなかったが今後、男と女の違いに色々悩まされるのは目に見えているので知らず知らず気は重くなる。
「ま、なるようになんだろ…」
優里は反動をつけて一気に起き上がると午後の授業を受けに教室に戻った。
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「あ、あの神谷君放課後ちょっといいかな?」
「ん?ああいいぞ今日は部活にでるつもりもなかったし」
というか出られないのではあるが…
「じゃあ放課後教室で待ってるから」
それは少女なりに勇気を振り絞った言葉だったのだろう、優里も少女が何をしたいのかは目に見えていた。だが問題なのは…
(俺が女になったその日にくるかね…全く、タイミング悪いったらねぇな)
世の中思う様にならないものである。まぁ告白されてから女になるよりはある意味マシだとも思えるのでそれでよしとしておくか…。
「ったく、やってらんねぇぜ」
その後少女の告白はやはり断られるのだった。
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「小次郎…」
「クゥーン…」
いつもの河川敷で優里は小次郎と会っていた。
「どうしたらいいのかね…流石にこれは理解を越えてるわ」
「ガゥ、ワフ」
「らしくないって?そりゃ俺でも悩みことはあるって…」
「ワゥ!」
「俺は俺であればいい…か、そだな俺が俺である以上男でも女でも俺は俺だな」
「ガゥ!」
「ありがとよ小次郎、何か腹決まったわ」
「ワゥ!」
「ああ、俺は俺のまま女として生きていくさ、大事なのはここ」
優里は親指で自分の左胸を指しながら
「ハートだろ?」
「ワォーン!」
それにしても優里…はたから見れば犬に一人言を喋る変人である。でもまあ…こんな友情も悪くはないのかも知れない。
小次郎「バゥ!」
優里「とりあえずスカート履かなきゃなんねぇのは痛てぇな」
小次郎「ワン!」
優里「似合うから大丈夫って、そりゃまあ似合うことは似合うだろうが」
作者「犬と戯れる美少女…鼻血が止まらない」
ジョシュア「あれまた俺スルー?」
棗「まぁ多分次位でちゃんと補完されるよ」