地下鉄から。
友人から聞いた話。
終電近くの御堂筋線。イヤな空気は乗った時からあったそう。
乗客は多く、座席は座れるか座れないかくらい。ちらほらと立っている人がいるかな。
友人は酔い覚ましもかねて座らずに立っていた。ずっと続くイヤな空気は変な酔い方をしたかなぐらいに思っていた。
イヤホンをしてスマホを触っていた。溜まっているLINEの返事をかえしたりして。
本町を超えて、イヤな雰囲気は強くなる。梅田を超えて立っているのも辛くなるぐらいだった。
ただ、そのころには座席はいっぱいになっていた。
友人はここでイヤな空気に気づく。視線だ。誰かに見られている。ひどくイヤな見られ方をしている。
左右の人を見ると友人と同じようにスマホをいじっている。中には眠っている人もいる。
視線は感じる。だが、周りをどんだけ見回しても友人を見ているような人はいない。
酔っているな。友人は外を見る。電車はちょうど、中津を超えて地上に出たところ。
乗客達の姿が深夜の暗闇をとおし窓に反射した。
友人はここから先は覚えていないとのこと。
ただ覚えていたことは窓にうつる乗客全員の視線。
ニヤニヤと笑う乗客たちの顔だった。