6話:大山でのお宝と塔ノ岳登山
そして、おもむろに、これは、どの位の価値があるか、おわかりになります
かと逆に聞かれ、いいえと答えると、すばり500万円以上の商品ですと静かに
言った。詳細に調べましょうかと、その男が聞くので出来ればお願いしますと
言うと少しお待ちくださいと言い部屋を出てルーペと小さな顕微鏡を持ってきて
調べ初めて丹念に10分程、調べて完璧だったら7~800万円、アメリカ、
中国なら1千万円の値がつくかも知れませんと言った。
残念ながら保存状態が今ひとつで赤珊瑚の末端の小さな枝が数カ所、折れて
ますと言い完璧なら1千万円で買う人もいるでしょうと、ため息をついた。
そして、この商品、他で見てもらいましたかと聞くので、ここが初めてと
言うと少しお待ち下さいと言って5分し、再び戻って来て、この店で、お売り
になる気はありますかと聞くので価格次第ですと答えると、そうですか、ズバリ、
700万円でどうですかと彼が聞くので、それなら他でも聞いてきますと言うと、
ちょっと慌てて750万円と言い、これ以上は、勘弁してくださいと言った。
そこで、わかりましたと言い、もう少し、この商品の説明をして下さいと言う
と、ご存じないのですかと驚いた様に言い、これは赤珊瑚と言って珊瑚の中でも
貴重価値の高い珊瑚で珊瑚の王様と呼ばれています。そして、その価値は全体の
バランスと色と形の良さが審査のポイントで、この商品は色は完璧、だた、
末端の珊瑚の小枝が折れているのがマイナスと言い珊瑚というのは修復できない
ので価値が下がるのですよと言った。
でも、これは最高級品の部類に入る素晴らしい赤珊瑚ですと言ってくれた。
そして当方に口座を開いてもらい700万円を一括でも税金対策として、
少額ずつ、毎年、お支払いしても構いませんよと言うわれたので1回300万円
ずつの支払いにして下さいと言い、とりあえず、この店に口座を開きますと言い
書類を書いてから免許証を渡し口座を開いた。
11、12月と寒くなり今年は思いがけない臨時収入が入り1980年
12月25日、鳥の丸焼きとクリスマスケーキを買い田端虎吉の家で母と
奥さんの田端佳子と息子の田端正一の4人でクリスマスパーティーを開いた。
それを見て息子の正一が競馬の万馬券か、宝くじでも当たったのかと笑い
ながら聞くと、それは内緒と母の佳子さんが笑いながら言った。
やがて1981年を迎え田端虎吉と佳子さんが初詣でに行き家内安全と
、健康、商売繁盛のお願いをしてきた。そして虎吉が今年も4月、暖かくなり
丹沢の塔の岳へ、お宝探しに出かけようと考えた。その後、4月を迎え、
塔ノ岳の登山ルートを探ると6つルートがある事が判明した。