2話:奇妙な遺言書と短歌とマーク
そして足立菊子は和男に田端逸美は虎吉に真田鋭一の遺書のコピーを渡した。
和男は、特に気にもとめず封筒に入れたままして保管していた。一方の虎吉は、
その遺書に興味を持ち、しっかりと読んだ。すると真田鋭一の名刺を発見して、
そこには暗号らしき文字が5つ書いてあった。そして、それに興味を持った
虎吉は仕事を終えると遺書に書いてある、辞世の句と暗号らしき文字の関連を調べ
始めた。
意味不明の辞世の句は、
「ひなたやま、あふりやしろ、そのにしの とうのみねあり いとうつくしや」
「おくたまの むさしのみたけ たまのいちやま じんだいけやき」
短歌の五・七・五・七・七の形式だった。名刺の後ろのマークは、☆、↑、↓、
←、→、だった。そこで、国会図書館へ行って、大きな日本地図を見ながら、
その文章を、自分1人で、解き明かすことにした。
まず、
「ひなたやま、あふりやしろ、そのにしの とうのみねあり いとうつくしや」
だが、ひなたで関連する場所と言えば日向神社、日向薬師、宮崎の日向市など、
そんなに遠いはずないと考え関東圏内と仮定した場合「ひなたやま」とは
、伊勢原と厚木の境の日向薬師と睨んだ。
次に「あふりやしろ」とは大山の阿夫利神社、「とうのみね」は塔ノ岳。
次に「おくたまの むさしのみたけ たまのいちやま じんだいけやき」
の短歌に移り
「むさしのみたけ たまのいちやま」は、単純に御岳山。
「みたけさん」はと読み替えた。
つまり、1:日向薬師、2:大山、3:塔ノ岳、4:御岳山となる。
次に、名刺の裏の卍☆、↑、↓、←、→、のマークは目印ではないかと考えた。
葬式に出席した田端逸美は気になって、一緒に封筒をもらった、足立菊子と
話をして亡き真田鋭一には2人の認知されてない子供がいる事がわかり住所と
電話番号をかわしたと聞いていたので翌日の昼に、その電話番号に電話すると、
足立和男さんが出た。
挨拶をした後、一度、お会いしたいと言う事になり1980年4月17日、
日曜日、昼の11時に品川駅の京急とJRの乗換口で待ち合わせ、目印になる
ネクタイと帽子の色と形をそれぞれ決めた。11時少し前に到着すると、直ぐ
わかり近くのレストランの奥の席に座り、自己紹介した。
そして昼食をとり遺書の話しをすると足立和男も興味を持った。しかし、
なかなか一緒に登山して探す時間が取れないと和男が言うので虎吉が唐突に
、それなら全部、私がやりますので、もし見つかったら2:1に分けると言う
ことで良いですかと聞くと和男が見つかればねと言い、もし見つからなった
場合でも交通費は出しませんが良いですかと虎吉に聞くの2:1で良いなら
、それで結構ですと答えた。
そして、もしものために便せんを持って来たので、その条件を書いて、
お互いにサインしコピーを持ち合うことにする事できまった。そして握手
して近くの文房具屋でコピーをして、1分ずつ、手にした。