11話:御岳山での宝探し3
そして、鼈甲「べっこう」は、日本で、手に入らなくなって、大きな製品を
作り直して、作るしか、商品がない。そこで、富裕層が、どうしても欲しいとき
には、中国の業者と交渉して、地元で買ってくるしかない。そのため、例えば
1つ最高級なの鼈甲「べっこう」を300万円で買ってきたとして、関税と手数料
で2倍くらいになってしまう。だから中国で買ってくる日本人が滅多にいない。
中途半端に安い製品の場合、最悪の場合プラスチックの偽物をつかまされる。
そう言う事で鼈甲「べっこう」のメガネ、クシ、大きな指輪、ブローチなどは
現地・中国で買うしかないのです。昔は安い鼈甲「べっこう」が日本に入った
ので加工職人もいたが、そう言う理由で専門の職人自体がいなくなった。
それでも鼈甲「べっこう」を加工できる優秀な加工職人を探し出すのが、
実は大変なのですと内情を話してくれた。すると虎吉が、と言う事は、いくらで
売れるか、わからないのですねと言うと実はそうなんですと社長が言い、
だから、もし500万円で買っても私が損する場合もあるのですと真顔で
言った。
それを聞いて虎吉が笑いながら、じゃー、もし1千万円で売れる可能性も
あるって訳ですよねと聞き返すと社長が口ごもると担当者が、こう言う商売は
損するリスクをかかえて商売してると言っただけで、私も、この業界で30年
以上なるが鼈甲「べっこう」が1つ100万円で売れたためしはないと強い
口調で言った。
そこで、今現在、日本で欲しい人はいるが供給できないとすれば希少価値で
、高く売れるはずじゃないですかと切り返した。これには両者とも反論でき
なかった。そして社長が、どうして欲しいのですかと虎吉に聞くので、
そんなに急がないから販売できた時に、その価格を教えてもらい、その価格
の手数料20%と加工費用を引いた分の金額が欲しいと、いう言うと厳しい
事を言う人だと社長が苦い顔をした。
それに対して私も本屋に勤めて20年以上たつが本屋の販売手数料は
数%ですよ、私は、あなたに販売手数料を20%と、かかる費用も出すと
言っているのだから良い取引だと思いますよと強く言った。すると社長が
、わかりました、あなたの言っている話しの方が、理にかなっています
かも知れません。
今回は、あなたの条件をのみましょうと言ってくれた。ただし、もし、
万が一売れなかったら、あなたも被害を被る事事になるのですが、その
覚悟は、あるのですねと言うので社長の肩をたたいて、もう話は決まった
のだから、これ以上、墓穴を掘るような事は、この格式ある店に傷をつける
ことになりゃしませんかと言うと、あんたって人は困った人だと笑って
、承知しました。それで契約しましょうと言った。
契約書は、また後日までに作っておきますので取りに来ていただけますねと
、聞くので虎吉が、私も男だ、あんたを信用しようと言い、部屋を出て、
じゃー、宜しくお願いしますと言い店を後にした。翌週の水曜日、6月
10日に契約書にハンコをついて、その店の社長と契約を交わした。