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ボッチとコート

あったかいです

 起きたら熱が下がっていた。

「調子はどう?」

 ぼちぼちでんな。

 よし、まずは動けるうちに食料を買いに行こう。

「病み上がり悪いんだけれどもちょっと近くで寄り道したい。君が寝ている間に近くの商店をピックアップしておいたよ。予算も少しほしいです」

 おいくらで?

「4000円くらいかな」

 了解した。

「因みにここにあるガスコンロは使えるのかい?」

 まあおそらく。

「了解だよ。全部コンビニの近くにあるから2か所回まわることにしよう」

 というわけで、僕はコンビニで栄養ゼリーと水と桃缶を買うと、端末に導かれ目的地にたどり着いた。桜の蕾が出始めている。もうすぐ春ですね。

「いいから急いで行くんだよ。この病み上りが!」

 僕に対する扱いがひどくないですか?たどり着いたのはデパートだった。はて?

「まずは一階のスーパーでお鍋を買います」

 ふむ。素晴らしい知識をお持ちのお嬢さん。実家を出てから何年もたつこの僕に料理ができるとでも?

「君に多くは求めない。うちに帰ったら粛々とお湯を沸かしてもらおうか。なお今回はかさばるものを購入するため食料の調達は明日以降とする。さあとっととそいつを購入して次に行くぞ」

 さよで。

「では次に2階スポーツ用品店にむかいたまえ」

 体力をつけるためのダンベルでもかうのかな?

「ではここで部屋着を買います」

 馬鹿な!スポーツ用品店で部屋着だと?

「今の部屋て鉄筋コンクリートじゃない?あの部屋は換気口があるから暖房入れても寒い空気があそこから吹き込んでくるんだよ。部屋の下のほうは思った以上に寒いんだ」

 そんなこと気にもしていなかったよ。生活するのに精いっぱいだったからなあ。で何を買うんだ?

「あそこのワゴンを見たまえ」

 靴下があるね。

「その隣」

 季節もの処分品のベンチコート・・・まさかこれを買えと?

「普段から君はエネルギーを消費しすぎているからね。まずは鍛えるにもカロリーを蓄えるところから始めないといけないのだ」

 まさか、基本的には食っちゃ寝生活だったんだぞ。脂肪くらいついてるさと服の上から脇腹をつまんでみる。あれ?

「ど、どうしたのかな?」

 脂肪どころか筋肉もないなんて。

 もしかして僕はとんでもなく弱くなっているのかな?

 僕はショックに打ちひしがれたまま、会計を済ませるのであった。


 家に帰ると夕方だった。早速ベンチコートを着てみるとかなり体が温かい。

「部屋がもう少し広くなればこたつをお勧めするんだけれどもね」

 こたつか。あれはあれでいろいろ面倒が増えるからな。そういえばごみを捨てるのを忘れていたよ。

「あれからいろいろ調べてみたけれど、君の場合はただの不眠症じゃないみたい。大体睡眠時間が4時間でしょう」

 それについては心あたりがあるな。うちの会社引継ぎ不足で海外製の古い機械のマニュアルとかが全く残っていなかったりしていたんだよ。効率主義で残業も禁止されていたから結局家で調べるしかなかったんだ。後輩とかにも教えないといけないからマニュアルを作るために翻訳しながら四苦八苦していたりして、結局いつも睡眠時間が4時間くらいだったんだ。

「それだけじゃなくてね、人間は本来一日8時間近く寝続けることはなかったらしいのだよ。先史時代の人間は一日に何度かに分けてねていたそうなんだ。ストレスがたまると祖先帰りを起こす人もいるのかも知れないんだってさ。まあ噂だけれどもね。」

 噂かよ。

「もう少し睡眠に関しては経過観察を行うよ。結構デリケートな話だし。他にも君に肥えてもらわないといけないし」

 肥え太らせて食う気かよ。

「見た目からしておいしくなさそう」

 そういやうちのAIは見た目で味がわかるんだった。今に見てろよ。食べたくなっちゃうようなナイスバディイに

「噛むユニットの製造が必要ですかね」

 いえ、ないです。

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