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幕間1

伏線?雰囲気だけです。

 山奥のデータセンターでは政府の使われなかった箱物が大量に集められていた。

 この中で現在稼働中のものは、使用されなくなった量子型スパコンと学習型バイオコンピューターをつなぎ合わせたシステムで、中にAIとそれまで無秩序に集められたビックデータが収められていた。

「主任、暇っすねえ」

 と職員はつぶやいた。ここには生体兵器や軍事情報、生物遺伝のデータもない。個人データも現在は実験用に限られたものなので特に重要なものではない。

 狙われるとすれば希少金属や特殊金属の材料狙いの窃盗目的ぐらいだろう。

 ということでドローンと監視カメラだけ設置された施設には人がほとんどいなかった。

 職員の仕事はとまりこみでこのデータセンターの管理をすることであった。

「まあ、警備は遠隔で別の会社がやっているしなあ。主任になっても給料なんてあんまりかわらんぞ」

 と返事が返って来た。

「ここは今、カウンセラーAIプログラムが稼働しているんでしたっけ。いよいよプログラムにも人の心がわかる時代がきたんっすねえ。やばくないっすか?そのうち反乱を起こして来たりして」

「確かにバイオコンピューターで人工的に感情を作るプログラムが一部応用されているらしいな。けれど今回組みなおすときにデータは上書きしたから消えている。ハード自体も記憶領域の一部が破損して使えなくなったから廃棄処分の一環としてここで再利用されているわけだしな。そこまですごいものは残ってはいないぞ」

「でも人の心に影響与えることができるんっすよねえ。あんまりいい気はしないっす」

「今回のプロジェクトでは患者に合わせてAIボットが自動生成されるようにはなっているけれど、社会的に問題がありそうなものは生成されないよう封印されているぞ」

「どういうことっすか?」

「なんでも肯定するようなボットに治療されたら史上最大の我儘になったりするし、なんでも否定するボットに治療が可能だと思うか?」

「あー、確かに問題っすね」

「ビッグデータ自体もバージョンUP前のもので、すでに公開されている版権フリーなものばかりだしな。それに外部データの取り込みは患者の症状や生活とその周辺ぐらいに限定されているし、AIボットの外部アクセクは救急連絡ぐらいしかできないぞ。プログラムは患者のパソコンの個人部分ではなく政府専用の並列接続部分を使用するから、万が一の場合は遠隔で消去できるしな」

「でも自己学習型なら突破しそうな気も」

「自己学習型や進化型AIを作るときは3原則を必ずつけるよう世界会議があった事を習わなかったのか?」

「ああっ!ありましたね。そんなの。確か情報体は有機生命体と違って内と外を隔てる壁がないからどうのこうのってやつ」

「お前よくうちの会社にはいれたな。外と内を隔てる壁がないから外から浸食されやすい。ゆえに異常な状態にならないよう内側から構造を維持する定義を組み込まないと無限に増殖したりして危険だとか言うやつだよ。ここのプログラムには患者の安全が最優先されるように組まれているんだ」

「主任もきちんと覚えていないじゃないっすか」

 職員は頭を軽くはたかれるのであった。

「まあテストモニターに選ばれた患者は40人もいないって話だしな。これが本格的に導入されるのはまだまだ先の話だから安心しとけ」


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