ボッチとネイティブアメリカン
年がばれるネタをぶちこみます。
次回はニュースを出す予定です。
1DKのワンルームマンションに帰るとごみのない空間を通る。主に散らかっているのは漫画、技術書、古いCDなどだ。膝より上まではまだ積もってはいない。布団とパソコンの親機の周辺はかろうじて死守していた。キッチンは洗濯物と自転車が置いてある。
画面を見ると家のAIさんが下の方を指さしていた。
四角いウインドウが表れて、
「あたしトウカ。今目の前にいるの」
と文字が来た。
「深夜なので文字で会話をいたします。会話をする際は音量を下げてお話しください」
今更言葉が必要なのだろうか
「細かいニュアンスは伝わらないので」
こちらも文字入力じゃだめですかね。
すると画面が分割され下に文字キーが表れた。
中央に移動したウインドウには
「お探しのキーボードはこちらですか yes/no」
と文字が来た。
僕が普段使うのは視線誘導型タイプなので迷わずnoをタップした。
「こいつ、キーボードも使わず直接noに」
設定を呼び出すから普通に会話しようよもう・・・
「さて今後について話合いたいのだけれども、君に時間や資金はあるのかい?」
仕事は放り投げてきたけれど、貯金だけはあるんだよね。
「使う時間がなかっただけなんじゃ?」
まあそうなんだけれどもさ。やめるときは突然やめたからなんの計画もなしにやめたと思われているんだろうな。
「そいつは脇においておいて」
さらっと流された。
「生活費と時間があるなら幸いだね。リハビリに専念できるよ」
それはそうだ
「例えばね、会社の愚痴をいうと気が晴れると思うじゃない?でもね、そうじゃない人もいるんだよ。特に一人だと愚痴を永遠と続けられるから止まらなくなりやすいんだ」
うん。
「自分の言葉を自分で聞いて嫌な気持ちがどんどん固定されていくんだよ。それを改善するには愚痴を止めて嫌な気持ちから離れないといけないわけで」
うん。
「だから趣味など仕事のことを忘ることができる何かが必要になってくるんだ」
うん。
「けれどもそんな時間も取れないと心が傷ついたままで治らない。会社に通っていたら傷はどんどん深くなる。原因を取り除いて心を回復させないといくら薬を使っても無理だってわけなんだよ」
「だからね、君がまだ考えることができて感情が残っているうちに会社を辞められたことはよかったと思うよ」
本当によかったのかな。
画面の中から
「AIハ嘘ツカナイ」
と厳かに宣言と宣言された。
「さて、まずはしばらく君の生活を観察してデーターを取っていくことになるんだけれども、とりあえずヒモをかってこよう」
ヒモかよ。
「うむ。さすがにこの部屋は不味いでしょう」
確かに。
「本から片付けて行こう。雑誌を捨てる日の前日にタイマーをセットしとくよ」
こうして僕の1日が始まるのであった。