ボッチとコンビニ
愚痴の回
目が覚めるとまずは時間を確かめる。端末のサブ液晶は02:00。
深夜だった。とりあえず今日はごみの日だし生ごみだけは何とかしないと。
薄明りの部屋を慎重に進むと部屋の明かりをつけてまずトイレ、そして手を洗いシンクの上に置いてあるペットボトルを手に取って飲む。捨てそこねたものが結構たまっており移動は大変だった。
財布と端末を手に近くへのコンビニへと向かう。適当に食べる物と飲む物を買うと駐車場にあるベンチに座ってぼーっとしてといると端末が震えた。そこにはアニメ調のキャラクターが左の人差し指を口の前に立てながら、右手を拳にして耳の横に持ってきた。
急いで端末に耳につける。
「私の名前を言ってみろ」
・・・なんだっけ?
この後無茶苦茶怒られた。
ところでどうしてこのタイミングで連絡できたんだろう?
そんな疑問をリアルでつぶやいていると
「いや昨日言ったじゃない。今後の治療の参考にデータは収集されるからそこのところは覚えておいてねって。」
言ってたな。その後の話のインパクトが強すぎてすっかり忘れていたけれど。
「マイクとかカメラとかジャイロセンサーとかGPSとかだいたいの行動ってわかるんだよ」
なにそれ怖い。
「ちなみにコンビニからちょっと出たところで停止したから安全なところに座っていると判断しました。」
最近のGPSはすごいなあ。
「いや民間のGPSってそこまで性能ってそこまでよくないから。この端末って万歩計のアプリがあるでしょう?歩数って意外とすごいんだよ」
えっと?
「現時点で私は端末に入っているプログラムに自由にアクセスできるからきちんと詳細設定よろしくね」
しばらく詳細を設定した後とりあえず紅茶を飲む。深夜だからだれもいなくて平和だった。
暇になると愚痴が出る。仕事を辞めてからずっとこんな調子だ。
「あのさ、さっきから俺が悪いところもあったけどって言ってっているじゃん?」
聞かれていた。すごく気まずい。
「別に相手が悪いんだから言い訳しなくてもいいんじゃないかな」
どういうことだ?
「まずはね、どこが悪いのか整頓してみると良いんじゃないかなって思うんだ。下手をすると君が自分で悪いと思っているところもそうじゃないかもしれないよ」
うん。
「例えば愚痴っぽい君が思わずボソッと愚痴を言うのを聞いて「場の雰囲気が悪くなる」って咎めた上司がいたとするでしょう?その上司が新人教育を失敗して人に逃げられたとき『俺は関係ない!俺は関係ない!』って走り回っていた場合明らかに上司がおかしいと思はないかな?」
思う。
「そんな矛盾が同じ人との間だけで起きていたら明らかに相手がおかしいよね。まずは愚痴を集めて分析してみるといいんじゃないかな」
そうかな。
「私に言って整理してもいいし。それに昨日も言ったけど、ある意味一人芝居なんだから誰かに聞かれるわけでもないし。ボイスレコーダーのアクセス権も私に残っていことだしね」
思いっきりむせた。
「取り合ず食事を終えたら充電よろしく」
それどころじゃなかった。