ボッチとボット
ネタと勢いだけですがよろしくお願いします。
数年前にスマホは絶滅して、端末に置き換わった。通信規格が6Gに変更され高速通信と量子暗号が普及したため家に親機、携帯用に端末を持つことが一般的だ。クラウドもあったが、爆発的にこの方式が増えたのには理由があった。まず政府が親機の一部を利用して様々なことに利用する事ができるようにしたことだ。
これはカメラやマイクといった周辺のプライバシーを漏洩するような機器とは独立する政府プロジェクト用の基板と個人用のパソコンの基板を装備した代物で、政府が補助金を出すためかなり性能が良いものだ。量子暗号のおかげでセキュリティーレベルが飛躍的に上がったため、数の力を利用した分散システムを政府は導入し、インフラ関連の大きな雇用を作り出すことにも成功したのであった。この部分は主にDNA解析や科学的シミュレーション、次々と現れる電子通貨のマイニングにも利用されている。
そしてそれと同等の性能を持つ個人用基板とリンクした端末はかなり快適であった。と言っても端末自体、災害や公共空間のオフライン設定でも独立して使えるようかなりの性能をもっていたが。
僕はその日ようやく平日の昼に起きることができたので病院へ行くことにした。
仕事を辞めた僕は怒りを口からはきだすことしかできず不安定な生活リズムに悩まされており、次はいつ起きれるかわからなかったからである。因みに友達はいなくなった。
近場の精神科の病院はどこも満杯で、キャンセル待ちをしていると子供たちが元気に走り回っていた。最近は歯医者に行く感覚で人は精神科に通うからなあ。
空が暗くなるころに僕の番が回ってきた。
その結果、病人と正常な人の間のボーダーと診断され自宅療法を進められた。精神病は時間をかけて自然治癒で治すべきとされていたからだ。まあ一番の原因は政府に予算がないということだろう。
処方されたのは薬ではなく実験的に導入されたAI日常復帰プログラムを配布していURLだ。
どうやら人間のカウンセラーもジェネリックになったらしい。
だが僕には他の道を考えることができなかったのだ。ちょっとでも油断すると怒りに支配されるので。
ホームページの説明と同意書を斜め読みし承諾ボタンを押すと、心理テストを行った。
今の現状に合った医療用のアバターが自動で配布されるらしい。
そして僕の目の前に現れたアバターは思いっきりアニメ調だった。
何やってるんだよ政府!
だが答えたのは政府ではなかった。
「初めまして。政府公認のカウンセラーAIボットだよ。よろしくね」
めっちゃ軽い乗りで言われておるねん。
「同意書にも書いてあるようにプライバシーに関する事は除外するけれど、今後の治療の参考にデータは収集されるからそこのところは覚えておいてね」
今重要な事をサラッといわれたような。
「じゃあまず私に名前を付けて欲しいなあ。君を未来に導くサポーターにポチとつけることはないと願っているよ。」
この国の未来は大丈夫なのか心配になってきた。