閑話:その時にエゼルが考えていたこと
ふむふむ(≡ω)
とりあえずエゼルが水島おにーさんから離れたのを良いことに、ディルがめっちゃイチャイチャし始めた。
まぁ、エゼルも水島おにーさんのことは大好きだが、ディルみたいにがっつくつもりは無い予定だ。
だから、まぁまぁ温かい目で見ておいてやることが出来る。……んだが、なんだか胸がモヤモヤするのは、やっぱり独占欲ってやつがエゼルの中にも有るせいなのだろう。
エゼルをこんな乙女に変えてしまった水島おにーさんには、後でしっかりと責任を取ってもらうのだ(≧ω)b
そんなことを考えていたら、水島おにーさんがディルに何かを提案していた。
面白そうだから、エゼルも野次馬になって成り行きを見守ってみる。
「もしも嫌だったら、すぐに言って欲しい」
「嫌? 何がです?」
「んー。とりあえず、腕の力を抜いてみて?」
ふふっ、焦らす水島おにーさんも、なんだか悪くないな。
ディルも戸惑いながらも、少し期待するような表情を浮かべているし。
「はぃ? 腕の力を抜くのですよね?」
こてんっ、と首を可愛く傾げたディル。
そして、水島おにーさんがひょいっとディルを抱き上げる。
ほんの一瞬の出来事だった。。
「――きゃっ!?」
小さな悲鳴と同時に、ディルは水島おにーさんにお姫様抱っこをされていた。
何それ! まじでズルい!! エゼルも後で水島おにーさんにお姫様抱っこされるのだ!
「はわ、はわ、はわわわぁ~(///Δ)ノシ」
ディルは可愛い声をあげながら、目をぐるぐる回している。
うぁー、良いなぁー、エゼルもあそこに入りたいなぁー。
……いや、後で絶対に入るのだ! 水島おにーさんの配下になる契約の時には、絶対にお姫様抱っこしてもらって、熱いチューをするのだからなっ(///Д)ノシ!!
エゼルがそんな決意を固めている間にも、ディルと水島おにーさんの『ラブいちゃタイム』は進んでいく。
うぁー、なんだろう? ディルが乙女を爆発させているのは分かるんだけれど、水島おにーさんもノリノリだよなぁ……。水島おにーさん、格好付けてもそれなりに様になるから、本当にズルい。
「ディル?」
水島おにーさんの優しい呼びかけに、ディルの喉がこくりっと動く。
あざとい。あざとすぎるぞ、ディルさんよ??
今日から『男殺しのディル』という新称号を、エゼルが授けてあげようじゃないか。
「ふふっ。おにーさんも、緊張しているのですか?」
「そうだね、ディルが可愛すぎて何も考えられない」
「普通なら、嘘っぽく聞こえるのですが――今のおにーさんの顔を見ていると、嘘には見えません。私ちゃんは、幸せ者です♪」
「俺も、幸せだよ?」
ディルと水島おにーさんが2人で小さく笑い合う。
ぅにゃー、完全にエゼルがいる事忘れているよな? こういうの『放置プレイ』って言うんだろ(Tω)?
――まぁ、ディルが幸せそうだから許してやるんだけれどな♪
「私ちゃんは、おにーさんだけのダンジョンコアになるのです。私ちゃんの隣に立っているマスターは、おにーさんじゃなきゃ嫌なのですよ♪」
「俺も、ディルやディルの大切な人達を護れるダンジョンマスターになるよ。俺の隣に立っているのは、ディルやディルの大切な人じゃないと俺も嫌だから」
「……はいっ♪ 私ちゃんだけじゃないところが、ちょっと妬けちゃいますが、許してあげます♪ だから、幾久しくお願いします」
「ありがとう。俺の方こそ、幾久しくお願いね」
水島おにーさんとディルが、小さな微笑みを浮かべて笑い合っている。
さて、そろそろだな。2人の良い雰囲気を壊さないように気を付けながら、エゼルも『その時』の準備をしよう!
ゆっくりと水島おにーさんとディルの唇が近づいていく。
ニシシッと思わず悪い笑みが浮かんでしまった。これはもう、エゼル的には様式美なのだッ!!
そして、ディルと水島おにーさんの唇が重なった瞬間――世界は真っ白な光に包まれた。強烈な光が目を閉じていても、エゼルの網膜を真っ白に焼く。
「目、目、目があぁぁぁッ(≧ω)ノシ」
これはそう、お約束ってやつなのだ♪ 眩しいときには、「目がぁーーッ!!」と言うのが様式美なのだ。
神々が作ったと言われる「古の物語」。それに書かれている『滅びと再生を司る魔法の言葉』を彩る、素敵な言葉が「目がぁーーッ!!」なのだ!
ふっふっふ♪ なんかテンション上がってきたぞ。
次はエゼルが水島おにーさんと契約をする番なのだ♪ いっぱい、いっぱい、大好きな水島おにーさんとキスをするのだ(≧ω)b
「覚悟しろよ? 水島おにーさん♪」
エゼルはな――ケモノの血を引く存在なのだぞっ。
(次回につづく)




