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56話 静電気と学科と掃除



「花ちゃんを入学させたい? それは構わないが、お主はどうするんじゃ?」


「一応俺も授業に参加したいと思います。 花ちゃん一人いかせるのは心配ですからね」


「あいわかった。して、どの学科に入学するんじゃ?」


「学科……ですか?」



どうやら各自、自分の適性のある学科に入学して勉学に励むようだ。

普通の生徒は適性が一つ、一番優秀な生徒でも適性が3つらしい。



基本的にどれか一つの学科に決め、一つの属性を伸ばす方が効率がいいと言われているようだ。



この魔術学校で学べる学科は全部で六つ。



火属性の魔法を学ぶ、火魔法学科。

水属性の魔法を学ぶ、水魔法学科。

風属性の魔法を学ぶ、風魔法学科。

土属性の魔法を学ぶ、土魔法学科。

光属性の魔法を学ぶ、光魔法学科。

闇属性の魔法を学ぶ、闇魔法学科。



どの学科も 、それぞれの属性にあった【属性変換術式】を学び、それぞれの使い方や、属性同士の相性や相乗効果を学ぶ。その他にも、基礎学科として、魔物学、魔力学、魔法歴史学、世界大陸学など様々な基礎学科があるようで、各属性の学科の勉強と基礎学科を日々研鑽していくようだ。


『花ちゃん? どの魔法習いたい?』


『花ちゃんは~、土魔法がいいかな!』


『土魔法? なんで土魔法なの? 火魔法とか、闇魔法とかかっこいいじゃん!』


『土魔法は便利だって《賢者》さんが言ってるの』


まぁ花ちゃんがいいならいいか。

地味だけど《賢者》のおっさんが言うなら間違いないんだろう。

個人的には、魔物学とか気になるからぜひ受けてみたいものだ。



「花ちゃんは土魔法学科に入りたいみたいです」


「そうかい。じゃあ手続きをしておくからの。受付の事務員に学生寮の案内をしてもらうといいさね。明日の朝から授業はあるからの、土魔法学科の校舎は西棟の二階じゃ。教室には標識が付いてるからそれを見て入室するといいさね。」



その後、受付の事務員さんに話しかけると、中途入学の案内と、入学金をしっかりと徴収された。

学生寮と、飯は三食しっかりついているようだ。

門限は日暮れまでらしいが、報告をしていればその限りではないらしい。

学費は一年間で金貨二百枚。高いのか安いのかわからないな。

今年はもうあと半年しかないようなので、日割りで残りの金貨百枚を支払った。

日本の大学の費用が、交通費とか入れて大体年間百二十万くらいだとして、

寝泊り出来る寮があって、尚且つ食費がそれに含まれているとしたら法外って程でもないか。







「うおっ……。めちゃくちゃ埃っぽいな……」



東棟にある学生寮まで来ていた。

三百三号室と書かれた古い扉を開けると、まったく掃除されていない机と椅子、ベッドが置いてあるだけの四畳ほどの広さの簡素な部屋が広がっている。



「これは掃除から始めないといけないなぁ」



机やベットの上には灰色の埃が積もっており、一歩一歩、歩くごとにその埃が舞う。

あまりにも埃っぽいので部屋の窓を開け換気をする。

掃除のために魔力を箒状に成型し、掃いていく。

同じく塵取り状に成型した魔力で集めた埃を掬い上げた。



(ごみ箱がないな……。どうしようか。うーむまぁ二階だし埃だけなら窓から捨ててもいいかな)



光の差し込む窓際に歩いていく。

魔力塵取りをポンポンっと。

良い子は真似しないでね!



掃除の続きをする。

ひょいひょいと箒で掃いて、どんどん窓から放り投げていく。

本当に良い子は真似しないでね!

後はベッドのマットレスの埃を叩くだけだな。

濡れ拭きもしたいが今日はいいだろう。

そういや、花ちゃんの学科について、気になっていたことを聞いてみるか。



『そういえば花ちゃん、土魔法ってどの辺が便利なの?』


『おうちが作れるみたいだよ! 土の壁を作る魔法の《アースウォール》で壁を作っておうちにするの!』


『家? でも寮に住むんだから作れなくてもいいんじゃない?』


『でもパパだって、ずっとここにいるわけじゃないでしょ? また冒険が始まって、旅をするようになったら、花ちゃんがおうち作れるのは便利だと思う!』



そこまで考えてくれてたのか。

俺は目先の事だけしか考えてなかったな。

恥ずかしい限りだ。



『たしかに……。でも、覚えたい魔法があったらそっちを優先していいんだからね?』


『大丈夫だよ! 《賢者》さんが花ちゃんと土属性はシンワセーが高いからピッタリだって!』


『それなら一安心だ』



マットレスを外で叩こうと《魔力手》で持ち上げ、窓から出そうとするが、大きさのせいで窓から出せない。



(どうするか。んー……。あ、そうだ。マットレスを《魔力手》で軽く握りつぶしてみるか)



これはいいな。

握力を鍛えるグリップを握っているようだ。

マットレスを握り小さくして外に出す。

外からこれ見たらどういう感じなんだろう。

窓の外にマットレスが浮いてるんだよな。

めちゃくちゃシュールだと思う。



ドンドンドン!!



誰かがドアを叩く声が聞こえる。



「おい! 誰だ! 僕の頭の上に埃の雨を降らせやがって! さっさと出てこい!」



ほらね?

やっぱり良い子はやっちゃだめだぞ☆彡



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