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47話 静電気と捜索

 


「まぁ、まだ完全に使えないと決まったわけじゃないからの。そう気を落とすんじゃないさね」



「そうなんですか?」



「魔物を倒すと肉体が成長するじゃろ? もしかしたら【知性】GがFになるやもしれん。そうすれば一属性位は使える様になるはずさね」



「上がればの話じゃがな」と肩を竦めた。



 ちょっと使ってみたい気持ちはあったが別にいいか。

 焚き火をするにしても放電でいいし、水だって川の水をマジックバッグに直接ぶち込めば解決。

 生活していく上では全く困ってない。



「ちょっと残念ですけど、仕方ないですね」



 それにしてもだいぶ話し込んでしまった。

 話し疲れて喉がカラカラだ。

 お茶の入ったティーカップを()()()()()()()()()口元まで運び、ぐいっと一気に飲み干した。



『あ〜! パパまたやってる〜! 駄目だよ! 魔力じゃなくて自分の体を動かさないと!』



『動くの面倒くさいんだよー』



『宿屋で寝てばかりなんだから、動かないと!』



 花ちゃんがペチペチと俺の頬を叩いてくる。



 放電遊びをしている時に、「魔力を電力を弄れるなら、魔力で物を動かせるんじゃね?」という事に気がついた。色々試した結果、魔力をまるで自分の手のように自由に動かすことができるようになったのだ。因みに、この魔力の手から《雷銃》などの魔法を放つこともできる。



 俺はこれを《魔力手(マジックハンド)》と呼んでいる。



 依頼も何もない休みの日には、トイレと風呂以外では一切ベッドの上から動かずに一日中《魔力手》を伸ばして生活をしている。飯を食うのも、水も飲むのも、だ。トイレも小までなら魔力をホース状に成型する事で、寝ながらでも致すことも出来るのようになったのだが、花ちゃんにドン引きされて以降やっていない。



「お主今――」



 オンブリックが何かいいかけた時、「失礼します」と、短めの茶色の頭髪を整髪料できっちり七三分けにした、真面目を絵に描いたような眼鏡の男が入ってきた。



「教頭先生、どうかしたのかい?」



「いえ……お客様がいらっしゃる目の前で申し上げて良いものか……」



「構わないさね。言ってみんしゃい」



 どうやらこの魔術学校の教頭先生らしい。

 歳の頃は四十前後だろうか、身長は百八十センチほどで細すぎず、太すぎずといったバランスのいい体型だ。



 教頭先生はこちらに軽く目礼した後、続けてここにきた理由の報告を始めた。何か問題が起きたようだ。



「では……学生寮の職員から、生徒が夕食の時間になっても帰ってこないと報告がありまして……。学生達に聞き込みを聴き込みをしたところ、今朝、火魔法学科一年生、コスムカバ=ナウソラエ含む五名の生徒が『ロテックモイの逆さ塔』行きの馬車に乗ったという目撃証言が取れました」



 コスムカバ? 昼間に迷宮で会ったイキリ小僧の名前だな。



「引率の教員は誰さね」



「それが……申し訳にくいんですが、誰も引率していないようなのです……」



「全く……どうして貴族の子息達はこう自分勝手なのかねぇ。まぁ引率の教員がいないと迷宮には入れないさね。諦めてそろそろ帰ってくるんじゃないかね」



 あーそういう事ね。

 はいはい。

 なるほどなるほど。

 ……。



「あー、多分……と言うか確実に……彼等は迷宮に入ってますね……」



 あぁ二人の視線が痛い。






 ◇






 コスムカバの報告を教頭先生から聞いた後、彼等を捜索しに行くという教頭先生に同行させてもらう事にした。



 迷宮内部に入れてしまった俺にも責任がある。

 俺は昼間あった出来事を二人に告げ、コスムカバが下の階層へと降りていった事を伝えた。



「よりによって、どうして()()()なんですかねぇっ!」



 きっちり七三分けの教頭先生が叫んだ。



「《ロテックモイの逆さ塔》が逆さまなのは塔の見た目だけではないのですよ。 第一階層は身体能力や魔力に強化補正がかかり、一定の魔力がない者が入ると上階への階段が出現します。 この迷宮の上層部は訓練用で、上階に行けば行くほど、そして本人が弱ければ弱いほど、逆に強くなれるんです」



 つまりあの時、コスムカバの魔法の威力が高かったのは、迷宮による強化補正があったからで、このあべこべの性質のせいでこの迷宮の一階層目で《探知》を使った時、強い効果が弱い効果になったという事か。



『パパ〜上層は人造迷宮みたいだよ〜』



『人造迷宮? 誰かが作ったって事?』



『原初の魔法使いさんが、後進の育成の為に、元あった迷宮の上に作ったみたい!』



 そう言う事だったのか。原初の魔法使い凄いな。

 逆に一定の魔力がある人間が入ると、真の迷宮の姿になり、下層への階段が開かれるようだ。コスムカバの時は恐らくだが、俺の魔力で開いてしまったのだろう。



「裏階層には補正なんて存在しません。 普通の迷宮ですが、入学したての学生じゃまともに探索すらできないでしょう。せめてセーフゾーンでも見つけていてくれればっ……」



「俺が最後に彼等をみてから少なくとも六時間は経っています。出来るだけ急ぎましょう」

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