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230話

2019年11月24日追記

すいません。

風邪をひきまして、全く書けていません。

2、3日遅れます。

 


「肝心なのは、魔物の体内に血管の様に張り巡らされている魔力路だったんですよ!」


 クワッと目を大きく見開き、口から唾を撒き散らしながら言葉を捲し立てるのは、職人たちによく揶揄われている青年、アコンだ。


 ここ数日間の間に分かった事──できれば知りたくなかったと言うのは余りにも自分勝手だが──と言えば、まるでライラの腰巾着の様にずっと一緒にいる彼は、どうやらライラと()()()()、らしい……。


 村の男たちと比べても線の細い身体に、何処か中性的な顔立ち。

 何処か既視感のあるその姿。

 パッと目につくだけでもなよなよとしたその姿は、この村の屈強な職人や狩人とは違い、本当にこの村の出身なんだろうかと疑問になる程だ。


 だがしかし、その自信のなさそうなあの夜の姿は、この世界にくる以前の、情けない自分の姿と重なって見えた。



 ──いや、それは彼に失礼か……。



 1日1日を無駄に過ごしていたあの頃の俺より、自分の世界で、この弱肉強食の異世界で、精一杯生きている彼の方がずっと立派だ。


 怠惰に、無駄に、意味もなく、ただひたすら毎日を消費していた自分と、この非情な世界で日々を懸命に生きる彼とを重ねるなんてやってはいけないことだ。


 先日、飲み会の席で二人の仲を知り、軽いショックを受けた自分がいた。


 だが冷静になって良く考えてみれば、なにを期待していたんだと、自身の浅ましい盛りのついた猿の様な考えに、顔から火が出る様な気分になった。



 ──あれ? あいつ、俺に気があったんじゃないのか?



 一瞬でもそんな考えが頭をよぎった自分が恥ずかしい。

 別宮洋也よ、思春期の中学生かお前は。


 ライラのあの言葉の真意を、いつの間にか彼女と仲良くなっていたライアが、こっそりと教えてくれたお陰で──ワンチャンあるかも──なんて、脳味噌が股間レベルに退化した様な下衆な男にならずに済んだ。


 冷製になって振り返れば、このムエスマ大森林でライラと出逢ってから一年以上が経過している。

 そしてそれは会わなかった時間と大差がない。

 そんな時間が過ぎているものだから、妹であるアリアも随分と大きくなった。

 アコンを含めた、作業場の中にいる職人たちの顔ぶれにも変化があるところを見ると、月日の流れを感じてしまう。


 それだけの時間が経ったのだ。

 周囲を取り巻く環境や、人間関係が変わるのも仕方の無い事。

 後ろ髪惹かれる思いがない訳ではないが、こればかりはしょうがない。


 二人を祝福しようじゃないか。

 そしてライアに感謝しなくては。

 どう言う訳か、いつもあいつは俺を助けてくれる。

 本当に良い仲間だ。

 たまにあるラッキーすけべは、こっちにきてからの良いおかずになってます。ハイ。





「──今まで研究してきた魔物たちでは、魔力路を見つける事が出来なかったんです。ですが、先日いただいた太陽鱏(ソルレイ)の皮付きの肉片を詳しく調べてみると、その巨体さのお陰か、血管とはまた違った何かの通り道の様なものを見つける事が出来たんです!」


 興奮した青年は、矢継ぎ早に言葉を発する。

 そのせいかアコンの口からは、決して被弾したくない飛来物がそこかしこに飛び散っている。


 倒れそうな程前のめりになるアコンの肩を、抑えつけるように引っ張るライラを横目に見ながら、顔面目掛けて飛んでくるアコンの唾液を首を曲げて避け、ふんふんと適当に相槌を打ちながら話を聞く。


「──それでですね? 僅かばかりの、本当に極微量の、申し訳程度しかない、少ない少ない僕の魔力を注ぎ込んでみたんですよ。そうしたらどうなったと思います?」


「いやわかr──」


「そしたらなんとっ! 表皮が赤く発熱し始めたんですよ。こう、ぼんやりと!」


 息継ぎもそこそこに話し続けているせいか、肩の動きは次第に大きくなり、酸素不足からくる息苦しさでアコンの顔は赤みを帯び始めた。


 その時だった。

 アコンの背後にいるライラの更に後ろ。

 先ほどまで静かに話を聞いていたバルガスが、ゆっくりとアコンに近づき、そして──。


「良い加減に……、しろ!!!!」


 話し続けるアコンの脳天にバルガスの拳が叩き込まれた。


「ギャフン!!」


 勢い良く落とされた拳は、興奮しきったアコンの口撃を止めるのには十分な威力だった。


 情けない声と共に、亀の様に首の短くなった青年は、白目を剥いてその場で天を仰いだ。

短めです。

すいません。


次回の更新は2019/11/24になります。

よろしくお願いします。

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