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206話





         ──ピチョン



   ──ピチョン



      ──ピチョン



 ──ピチョン








      水

     水滴水

    水滴水滴水

    水滴水滴水   水

     水滴水   水滴水

          水滴水滴水

          水滴水滴水  

           水滴水  

               

        水

       水滴水

      水滴水滴水

      水滴水滴水

       水滴水


            水

           水滴水

          水滴水滴水

          水滴水滴水

           水滴水






 ジメジメとした地下通路。


 苔の生えた石作りの天井、その天井の岩と岩の隙間からは水滴が落ち、床に落ちては弾けて消える。

 

 息を潜めた四人の小さな呼吸と、足音以外に何も聞こえない通路の中で、その音はやけに大きく聞こえた。


「陰気くさい所だなぁ。本当にこっちから声が聞こえたのか?」


 カビ臭い湿った通路を通る。

 前方を行く兎人族が片方の耳だけをこちらに向けた。


「あぁ、瓦礫を退けている時に確かに聞こえたんだ」


 後ろに向いた耳を前に向ながら、ピンと立った耳を器用に動かす黒兎(ノーチェ)が言った。

 足音と水滴の音が響くこの地下通路で、前後左右に忙しなく耳を動かしながら周囲の状況を探っている。


 攻め滅ぼされた瓦礫だらけの街を探索する事数時間。

 《探知》の魔法でも返ってくる反応は崩れた家々以外には無く、只々廃墟となった国の跡が残っているだけだった。


 しかし、崩れた家の下敷きになっている生存者がいないかどうか、瓦礫を動かしながら捜索したところノーチェが声が重なる群れる様な声を聞いたというのだ。


 ノーチェはその声に導かれるように街の中心付近にある、一際崩れた大きな屋敷に辿り着いた。

 少しばかり瓦礫を退かすと何やら怪しい地下への階段を発見したのだった。









「居たぞ! こっちだ!」

「なっ、街の地下にこんなに人がいたのか!」


 ライアが驚きの声を上げた。

 それもその筈、屋敷の地下、階段を降り通路を抜けた先にあった扉を開けると、そこには百は超える人数の人間がいたのだ。


 驚きの声と、小さな悲鳴が上がった。

 俺たちは慌てて敵意がない事を告げると、部屋の奥からはこの集団の代表らしき人物が歩いてきた。


「貴方がたはもしや、手紙を受け取っていただいたので?」


 長髪を頭頂部で結い上げた、まるでちょんまげの様な髪型の男が口を開いた。

 ボロ布の様に汚れてはいるが、紋のついた袴を羽織っているところを見ると、それなりの地位にある人物の様だ。


「はい、手紙を受け取ってフォレスターレ王国から来ました」

「良かった。では、マゴロクは無事に着いたのですね」

「マゴロク? 手紙を国に届けたのは他国の商人だったそうであうが」

「そう……ですか」

「それで、貴方は?」

「失礼いたしました。私はこの国の大名の一人、月影常夜と申します。手紙を出したのは私です」

「俺はフォレスターレ王国の冒険者、別宮洋也です」

「別宮。この国の出身ですか?」

「地方、の出身ですが」


 久しぶりに自分の名前を言った気がするな。

 純日本風の名前と服装が懐かしく感じる。

 ついつい本名を言ってしまった。

 その後は各々が自己紹介をし、話を聞くことになった。

短くてすいません。

次回更新は2019/06/15になります。

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