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193話 静電気と巻かれる男

 


 煌々と輝く蒼白い雷球が、雨雲も晴らすような勢いで電力を放出し、暗澹とした夜空が明るく輝いた。


 バチッバチッと音を立てながら徐々に大きくなってゆくそれは、雨雲の裂け目から覗いている夜空に浮かぶ満月をすっぽりと覆い隠し、雷球から発せられる放電は、無造作に闇を叩く。


 雷球が巨大な線香花火のように弾ける。

 その夜空に広がる幻想的な光景は、夜空を見上げる冒険者、そして侵攻する魔物の顔を明るく照らしている。





「綺麗……」




 ぽつりと誰かが言った。

 直後──、激しい雷が地面を撃った。


 眼も眩むような閃光。

 空気を切り裂く轟音。

 心臓を震わせる衝撃。


 何度も、何度も、何度も何度も何度も。


 容赦無く地面を殴る雷の雨は、同じ様に空を見上げていた魔物達の頭上に降り注いだ。


「うわあああぁあああぁあああ!!!」

「たッ、退避いいいいいい!!!!!」

「巻き込まれるぞおおおおお!!!!」


 魔物と対峙していた冒険者達は、絶え間なく降り注ぐ雷を見るなり一目散にその場を後にした。


 冒険者達の活躍もあり、正面門の外側へと押し込まれた魔物は、稲妻に撃たれて絶命していく。


「これは魔法なのか!?」

「まるで神がお怒りになられているようだ……」


 冒険者達は、目の前で起きている出来事を食い入るように見つめている。


 俺は雷の降る夜の草原を歩き始めた。

 理由は一つ。

 さっさとこの面倒臭い戦いを終わらせるためだ。

 雷に打たれても若干息のある魔物を、《雷槍》で刺殺しながら進む。


「おい、何処にいくんだよ!」

「何処って、あそこでこっちを見てるあいつらをぶっ飛ばしに行くんじゃないの?」


 親指でくいっと今回の騒動の原因である人物達を指す。

 その先、魔物達の後方には三人の人影。

 一人は先程の黒衣の男、そしてもう一人は変わり果てた同郷の勇者袴田、そして最後に見慣れぬ幼女がこちらをじっと伺っていた。


「そりゃそうだけど……、あの空に浮かんでる雷の塊、俺っち達に当たるなんてことないよな!?」


 ノーチェが心配そうな顔で空を仰ぐ。


「当たらない、当たらない。確実に魔物だけ狙ってるから心配しないでついてこいって」


 雷球から放電される攻撃は《探知》に反応した魔物だけを狙う。なので基本的には味方に当たることはない。


 崩れ落ちた魔物の脇を通り抜けるように進む。

 だんだんと雷球は小さくなっていくが、その威力は衰えていない。

 次々と迫る魔物は雷に撃たれて絶命してゆく。


「あ、でも魔物の近くにはいない方が良いよ」

「何でだよ。当たらないんじゃないのかよ」

「いや、側撃雷って言って、魔物を通して雷が広がることがあるからさ。それは制御出来ないから当たったら死んじゃうかも」

「やっぱり危ねぇんじゃねーかよ!!」


 ぷんぷんと文句を言いながらも後をついてくるノーチェ。

 焼け焦げた魔物を掻き分けながら進むと、ようやく目の前に元凶である三人の姿を捉えることができた。


 後ろを振り向き空を見ると、ちょうど雷球が全ての電力を放出し消え去る所だった。地平線に視線を戻すと雷球が屠ってきた魔物の死体の山と、運良く生き延びた魔物が冒険者達と一戦を交えている光景が目に入る。


 残りの魔物もあと少し。

 これならグランドマスターの治療が間に合わなくても、今いる冒険者達で十分何とかできるだろう。


 前に向き直すと、袴田と目が合った。


「久しぶりだな。あまりの変わり様に、全然気がつかなかったよ。それにまた一段と逞しくなったようで……」


 まるで筋肉のお化けのようになった袴田に声をかける。


「オ前も゛随分とカわったナ。いつモ死んダ魚みタイな゛目ヲしてイタ癖に。まザか゛、こっヂにギデいるトは」

「お前の仕事を肩代わりした日に死んだんだよ。静電気でな。ドアノブに瞬殺された」

「ぜイデンぎ? そ゛んなものでし゛んだのカヨ。あいがわらず変なヤヅだな、お前ハ。俺は異世界よろじぐ、ドラッグにひがれデごのザマダ」


 袴田は自分を卑下する様にフッと笑った。

 その顔は歪んでしまっているがどこか悲しそうに見えた。


「何でそんなテンプレ勇者のお前がそっち側にいるんだよ。テンプレ通りならむしろこっちで敵と戦う側じゃないのか?」


 俺の質問に短い間だが沈黙が訪れた。

 両サイドにいる二人は何も言わずにこちらを見ている。


「……ガデナいがらダ」

「勝てない? 何に勝てないっていうんだよ」

「ナガまは死んダ。精霊神にゴロざれた。その精霊神も今や──」


「アキラ、それ以上話すのは許されないぞ」

「そうそう、雑魚は雑魚らしく、黙って戦えば良いんだよ〜」


 黒衣の男と幼女がそれ以上の会話を許さなかった。


(あの取り巻きの三人が死んだ? 精霊神に殺されたってどういう事だ? 俺がいない間に何が会ったんだよ)


「オマエも知っデいるダロ。俺はナガい者には巻ガれる人間なんダよ」


 目の前から袴田が掻き消えた。

 俺の胸を勇者の腕が貫いた。

更新遅れてすいません。

テレビの取材とその準備で朝更新できませんでした……。

次回更新は、2019/05/03になります。

出来るだけ朝更新します。

よろしくお願いします(>人<;)

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