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17話 静電気と岩山の迷宮 ③

 

「あああ~~~! 気持ち悪かったあああ~~~!」



 地面にドカッと腰を下ろし座りながら大声で叫ぶ。

 その傍らには頭蓋から脳漿を漏らす大蛇、ジュエルパイソンが横たわっている。

 全長十五メートルほどのこの大蛇は強敵だった。

 素早い動きに、強力な尻尾による鞭打、そして鋭利で巨大な牙。



 あの時花ちゃんがコイツを殴ってくれなかったら危なかったな……。



『ありがとな花ちゃん』



 花ちゃんの蔓をやさしくなでる。

 嬉しそうに蔓を絡ませてくる花ちゃんがとても愛おしい。



 (この大蛇は金になるかもしれないから持って帰るか……)



 大蛇にマジックバッグを近づけると、ズズっと吸い込まれていく。

 一分ほどかけてようやく大蛇がマジックバッグの中に入りきる。



 初めてこんな大物入れたけど、よくもまあ入るもんだなあ。

 ほんと神様には感謝だな。



 (さて、お次はようやく最深部の地下三階か……)



 確か依頼だと、三階層目までの全部のフロアに異変がないか調べればいいんだよな。

 出発前にアンブリックが岩小鬼くらいしかいないって言ってたけど、岩小鬼だけだったのは地下一階だけだったんだよなあ……。



 (つまり、もうすでに異変があるってことだよなあ、これ……)



 膝にぐっと力を入れ立ち上がる。周囲に十分注意しながら、大蛇が守っていた坂を下り、三階層目に入る。



 二階層目とはうって変わって、その岩壁はただの岩ではなく、ちらほらと魔鉱石が目立つようになってきた。淡く光る苔の光が半透明の鉱石や水晶に反射してとても幻想的だ。



 魔鉱石は金になるから拾っておくとしよう。

 マジックバックにどんどん入れて行く。



『パパ、お石さん拾うの? 花ちゃんも手伝うー!』



 そう言うと花ちゃんがは数十本の蔓を器用に使い凄まじい速度で回収して行く。



 そういえばこのダンジョンに来てから、若干だけど花ちゃんが大きくなった気がするな。

 つぼみの天辺が俺の目線の高さ位だったと認識してたんだが、今は若干見上げている。



 大型の魔物も倒したことだし、歩きながら、久しぶりにステータスでも確認してみるか。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 名前 別宮洋也  年齢 27 

 職業 D級冒険者 魔物調教師(モンスターテイマー):魔界草変異体

 身分 ―――

 能力値 Lv53

【体力】B

【魔力】A+

【筋力】B

【敏捷】A

【頑丈】C

【知性】G

【ユニークスキル】 

 静電気Ex(MAX) 魔法創造

【パッシブアビリティ】

 異世界言語 体質強化 魔力操作Lv8

【アクティブアビリティ】

 放電Ex(MAX)魔法:雷銃(ボルトバレット)Ex(MAX) 魔法:雷槍(サンダーランス)Lv3 雷装鎧(サンダーアーマー)Lv1 魔法:電弧放電(アークショット)Lv1


◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 おぉ……。

 職業欄に冒険者が付いてる……って!

 魔物調教師(モンスターテイマー)ってなってるよ!

 


 花ちゃんが俺に懐いたからかな?

 やっぱり花ちゃんは魔界草の変異体なんだなあ。

 


 レベルも上がってるし、だんだん自分が強くなっているのが分かると嬉しいもんだねえ。

 それにしても……ずっと思ってたんだけどなんで【知性】だけGのままなんだろうか……。

 いや、自分のこと、頭いいとは思わないけどさすがにこれは悲しいなあ……。



 お、ついに《雷銃》がExスキルになってる。どれどれちょっとスキルの内容見てみますかね。



 --------------------------------------------------


 魔法:雷銃(ボルトバレット)Ex(MAX)

 魔力で電力を成型した雷の銃弾を射出する魔法

 魔力・電力を増減させることで威力の調整が可能

 ※レベルがMAXになりました。Exスキルへ進化します。

 New 無詠唱発動が可能になりました。


 ---------------------------------------------------



 遂に、遂に来ました。無詠唱。

 これで撃つまでのタイムラグがほとんどなくなるな。

 いちいち「雷銃(ボルトバレット)」って叫ばなくていいのはうれしい。

 俺はまだ、魔法使いにあったことないけど、これってすげーアドバンテージだよなあ。

 これで戦闘がまた楽になりそうだ。



 何となく、魔物調教師(モンスターテイマー)の欄に触れると、花ちゃんのステータスボードが表示される。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 名前 花子  年齢 0

 職業 魔界草変異体(幼生体)

 身分 従魔

 能力値 Lv12

【体力】C

【魔力】E

【筋力】A

【敏捷】B

【頑丈】C

【知性】S

【ユニークスキル】 

 賢者

【パッシブアビリティ】

 ―

【アクティブアビリティ】

 ―

◇◇◇◇◇◇◇◇◇



おお!花ちゃんのステータスも見れるぞ!

幼生体っていうことはもっともっと成長するってことか。



え?ちょっとまって?

花ちゃんの【知性】Sってどういうこと?

俺の【知性】Gなんだけど?

ユニークスキル《賢者》ってどういうことなの?

どう見ても花ちゃんのほうが主人公っぽいスキルじゃん……。



そっとステータスボードを消す。



『パパ? どうして悲しそうなの?』

 


 花ちゃんの蔓が心配そうに俺の頬をなでる。

 


『んーん?何でもないよ花ちゃん。先を急ごう』









 花ちゃんのステータスボードを除いてから一時間。

 何度か岩小鬼に遭遇するも、無詠唱の《雷銃》で瞬殺していく。

 


 三層目も残すは最後の深層部の部屋だけだ。

 何が出てきてもいいように慎重に進んでいく。

 


「……どういうことだ……?」

 


 確かに《探知(サーチ)》にはこの先に部屋がある反応が出てる。

 だが入口がない。

 そこにあるはずの部屋の入口は崩れた岩で埋まってしまっていた。



 (どうする……?ここで調査を終了して帰るか?)



 依頼の内容は全三階階層の調査と魔物の討伐。

 このままだと、依頼の達成はできない。

 冒険者という職業は信用商売だ。



 適当にしか依頼を達成できない冒険者の元に仕事は来ない。ここは何としても達成させなければ今後の活動にも響いて来そうだ。



 意を決して、通路を塞いでいる岩を退けて行く。

 途中でマジックバックの存在を思い出し、崩れて通路を塞いでいる石をハイペースで処理して行く。



 石を退け終わった先にあったのは、淡い苔の光に包まれた無残にもバラバラになった岩小鬼達の死骸と、あるはずのない四階層目へと続く階段だった。


 

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