表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/259

171話 静電気と海底神殿⑨



《海底神殿》第七十九階層


海底火山がひっきりなしに噴火し、其処彼処に火山弾が降り注ぐ。


《魔障壁》で火山弾を防ぎつつ、赤く熱を帯びた鎧を纏った、剣を振りかぶり襲いかかってくる燃える骸骨(フレイムスケルトン)を、数体まとめて右雷腕で薙ぎ払い迷宮を進む。


「熱対策はこれで完璧だな。まじ魔力万能説ある」


腰から下、足回りだけ魔力で包み、地面からの熱量を遮断する。

これはサティナに履かせた魔力の靴からヒントを得た、魔力の鎧のようなものだ。


魔力の靴を履いたサティナは「全然熱を感じません!」と大いに喜んでいた。そこから着想を得て、魔力の鎧を下半身に纏わせてみたのだが……。


惜しむらくは全身にその魔力の鎧を着込んだ上で《雷公招来》を使うと、ただただ鎧の中で雷が暴れまわるだけだったため、腕などの雷化させるところはカバーが出来ないところか。


なので戦闘時は、腕だけ出した状態での戦いとなる。


まぁ雷化している腕に物理攻撃や魔法などの属性攻撃は効かず、痛くも痒くも無いため防具的なものは必要ない。

触覚はあるんだけどね。


(そういえばこれって全身雷化したらどうなるんだろう)


雷化した右腕は物理攻撃でダメージを受けると言う事はない。剣などの物質的なものは腕を通り過ぎてしまうし、魔法系の攻撃、つまり属性攻撃は火属性の攻撃しか食らった事がないが、ちょっと熱いかなと感じるくらいだ。


意識した時だけ物を触ったり持ったりできる。

けれどもそれは触ったり持ったり出来るだけで、雷自体を制御しているわけでは無いので、触られた方は感電必至だ。


全身を雷化したらどうなるのか。

答えは右腕と一緒なのだろうか……。


胴体ですら物理攻撃が効かなくなったら、防御は必要なくなりそうだ。全身が雷化して雷の速度で動けるようになったら半端ない速さで移動できそうだな。グランドマスターよりも早く動けるんじゃないか?


でも下半身も雷化したら右手みたいに装備がぶっ飛んじゃうな。パンツすら吹き飛んで俺の息子がHelloWorldしそうだ。そうなったら完全に変質者だ。街中では使えないな。


じゃあ頭部はどうだろうか。

頭を雷化させた場合、はっきりと意識を保っていられるのか。

いや、そもそも出来るのだろうか。

スキルLvを上げ切らないと使えないかもしれない。

でも、できない事はないか。

発動した瞬間、全身が霧散してしまったりして……。


ゾクッ


そう考えると背筋が凍り、言いようのない恐怖が俺を襲った。

全身が雷……そうなったら俺は生き物と言えるのか?


(雷自体になるなんて、それじゃあまるで精霊そのものみたいじゃ無いか……。いや、精霊なんてみた事ないんだけどさ)


雷公招来(エネルカ)》の孕む潜在的な危険性に今更ながら気がつき、起こるかもしれない問題を考えながらも、七十九階層の中心にある火山に向かって迷宮を進む。







ズズッ──


冷えて黒くなった溶岩の地面から、複数の赤々と燃え上がる溶岩の頭骸骨がせり上がってくる。


空飛ぶ溶岩の頭蓋骨、溶岩怨霊(マグマバンシー)だ。

溶岩を纏った頭蓋骨は、ふわふわと宙を舞い、その頭骨に纏った溶岩を飛び散らせながら襲いかかってくる。


地面から次々と湧き出る魔物たち。

その数が十を超えたあたりで、片腕だけでは対処できそうにない事を悟る。


(左腕も雷化するしかないなこれは)


左腕に意識を集中し、《雷公招来》で雷化。

俺を馬鹿にするかのようにカタカタと顎を鳴らしながら襲いかかってくるマグマバンシーを、巨大化させた右腕の雷の手刀切り裂き、左腕の盾で突撃を防ぎながら倒していく。


時折足元の地面から、まるで狩猟の罠であるトラバサミのように噛み付いてくる溶岩怨霊が非常に厄介だが、俺の魔力鎧は嚙み切れないようだ。


恐らく、サティナの右足はこの攻撃で負傷したのだろう。

確かにこの攻撃は初見殺しだな、悪質極まりない。


魔物を両腕で蹴散らしながら進む。


溶岩怨霊(マグマバンシー)を筆頭に、焔の巨人(フレイムタイタン)燃える鎧(フレイムスケルトン)骸骨(ウォリアー)黒曜石(オブシディアン)骸骨(スケルトン)などがひっきりなしに襲いかかってくる。


空を見上げると、火山から立ち昇る黒い煙から時折顔を覗かせているのは燃え盛る巨大なエイ。

火山の上空を巨大な翼をはためかせ空を優雅に泳ぎ、長い尻尾は黒い煙を切り裂いて進む。


未だにこれを討伐した冒険者はいない。

名前の付いていない巨大な魔物、Unknownだ。

五十九階層にいたクラーケンのような、この高難易度迷宮である《海底神殿》のボス的存在だと言われている。


目標をしっかりと目に焼き付けながら、迷宮を進む。

一時間ほどかけて、ようやく火山の麓にある洞窟まで辿り着いた。

ここから先は、完全に未知の領域。

誰も踏み入れたことのない場所。

それはまさに冒険の始まりだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ