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165話 静電気と確約



気絶している海賊を引きずりながらセーフティゾーンを通ると、広場全体がざわざわとどよめいた。

そりゃあ五人の冒険者がロープで引きずられてるんだ。

ビックリもするだろうさ。


「なんだありゃ、おい、見てみろよ」

「ん? どうした?」

「あの引き摺られてるの、さっき入って行ったB等級のスネークじゃねぇか?」


名前の割にスネークできてなかったぞ。

ダンボールが必要なんじゃないか。


「本当だ。なんで引き摺られてるんだよ。まさか魔物にでもやられたのか?」

「いや、ぴくぴくしてるし生きてるみたいだぞ……。それにさっき入ったばっかりなんだし、行けても第二階層くらいじゃないか? だとしたらそんなに浅い階層で、ましてや骸骨(スケルトン)ごときにB等級がやられる訳ないだろ。一体何があったんだ?」

「確かに外傷はないみたいだがワカらねぇな。もしかして新種でも出たか? それにスネークのパーティを引きずってるのは誰だ?」

「ん? あっ、アイツ、スネーク達より少し前に軽装で迷宮に入ってった奴だ。あの黒い鎧は間違いない。バックパックも背負わずに行ったから、そんな装備で大丈夫か?って思ってたんだよ」


大丈夫だ、問題ない。

俺のマジックバッグは特別製だ。


「じゃあアイツに助けられたってことか」

「かも知れねぇな。とりあえず今、中に行くのは様子見した方が良さそうだな」


周囲からそんな声が聞こえてきた。

バックパックねぇ、まぁ普通は必要なんだろうけど。

少しはカモフラージュの為に持っていた方が良いのかな。

それに新種なんていませんから安心してください。


聞き耳を立てるにこの蛇面の男は、結構有名な冒険者ようだ。


(B等級って言ったら結構な実力者じゃん。 海賊なんてやる必要なかったんじゃないか? ……うーん、報酬がよっぽど魅力的だったのかも)


今日はあまりいい日じゃないのかも知れない。

魔方陣の設置戻りに、この海賊(アホ)の襲撃。

いつのまにか時間もおやつ時を過ぎている。


「迷宮内部で襲われました」


広場を抜け、迷宮入り口にいる衛兵に事情を話す。


「スネーク……さんですね」

「結構有名なんですね」

「えぇ、B等級の冒険者ですからね。確かこのパーティの《海底神殿》の到達階層は三十四階層だったはずです」


隣にいた冒険者ギルドの職員が、ぴくぴく痙攣している蛇面を見て言った。


三十四階層って結構すごいんじゃないか?

迷宮の広さから言って、一日や二日で到達できる階層では無いはず。しっかりと準備し何日もかけて到達したんだろう。

そんな実力のある冒険者がなぜ……と冒険者ギルドの職員も嘆いていた。


どうやらこのパーティは、ブリッジポートが海賊騒ぎになっている時に、船が沈没し運良くこの島に流れ着いたらしい。


漂着直後は海賊に襲われただの、見たことのないクラーケンに襲われただのと発言が二転三転していた為、様子がおかしいのは襲われた事による一時的なショックのせいだろうと疑う事もしなかったそうだ。

加害者のくせに被害者として、扱われていたようだ。

まぁの曲がりなりにもある程度の実績のあるパーティだ。うまくやり過ごしていたんだと思う。


しかし今回俺を襲った事で、悪事は完全に明るみに出た。

実績のあるB等級冒険者が、何故海賊なんぞに身をやつしたのか。これからしっかりと取り調べがなされ、事件の全容が解明されるだろう。









「はぁ……なんか今日はもうやる気でないな……。オクタゴンでも行くか」


スネークを引き渡した後は事情の説明や、一緒に船に乗りブリッジポートへの送還の手伝い等をしていたら、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。


今回は冒険者として俺を襲った為、引き渡し先は冒険者ギルド、ギルドマスターであるアスタールに任される事になり、さっきまで状況の説明をしていたところだ。


「貴方は本当に厄介ごとに巻き込まれてばかりですねぇ」


おれの呟きを聞いたアスタールが呆れた様子で話した。


「好きで巻き込まれてるわけじゃ無いですよ」

「まぁそうでしょうが……。ハイクラーケンの件と言い、今回のスネークのことと言い、貴方の功績は大きいです。もし何かあった時は、お力にならせて頂きますので」

「本当ですか? じゃあ俺がS等級になる時に口添えお願いしますよ」

「S等級!? ベックさんはS等級になりたいんですか?」

「そうです。俺はS等級になりたいんですよ」

「S等級と言ったら英雄級の働きをしないとなれませんよ……。なんでまたS等級になりたいんですか」

「え? なんでって、モテたいからですよ」


俺がモテたいというと、アスタールはキョトンという顔をし、一拍おくと、


「あっはっはっはっはっは!!」


と、目尻に涙を浮かべて笑い始めた。

カウンターの周囲にいたギルド職員や冒険者たちは不思議そうな顔をしこちらを見ている。


「おかしい事ですか?」


頰を掻きながらアスタールに聞く。

俺的には結構真面目に答えたんだけど……。


「モテたいからS等級に……。そんな不純な動機、初めて聴きましたよ。良いでしょう、もしその機会が訪れた場合には私アスタールは賛成に票をあげさせて頂きますよ」

「ありがとうございます! じゃあ俺はそろそろタゴン焼き食べに言ってきます」


俺は一礼し、冒険者ギルド後にした。

明日は再度《海底神殿》に挑戦するか。


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