123話 ????
始まりは、暗く深い、光の当たらない森の中に転がっていた、親指の先ほどの大きさの、何処にでもある、それはそれは小さな石ころだった。
その石ころが、その辺に沈黙している他の石ころと違うところは、魔力を吸収し、成長する特殊な石ころだった事だろう。
本来、地中奥深くにしか存在しないはずのその石ころは、何の因果か、この巨木が所狭しと生い茂った森の中で、長い年月をかけ根に巻き取られながら、岩と土と森の境目、地表にその姿を現していった。
地中を流れる膨大な魔力の地脈によって、すくすくと成長し、他の迷宮のようにいずれぽっかりと地表に口を開けるはずだったそれは、酸素の薄い水槽の中で踠き苦しむ魚のように、それは魔力を求めてその活動を始める。
全てを喰い尽くす怪物となるために。
また やら れた
も う なんどめ だ ろう
きょうも はらが へる
きが クるい そうに なる
また しゅ うかク は ない
つちの きおク から つクりだす もの
ちいさい やくに たたず
また やられる
はらが へる
ゆいいつの すクい
コのチの チかラ
ツヨいこト
だから スコシくわなクても クちな いですむ
だけど きょうも はらがへる
クイ た い
く いたい
くいたい
くいたい クいたい くいたい
クいたい くいたい クいたい
くいたい クいたい くいたい
クいたい くいたい クいたい
くいたい クいたい くいたい
クいたい くいたい クいたい
くいたい クいたい くいたい
クいたい くいたい クいたい
ク い たイ
ウ まい
………………
…………
……
どれだけの じかん が すぎた だろう
つちのきおく なんどかやく に たった
そして なんどか うえが みたされた
そのおかげか やくたたずを ふやせるように なった
だが やくたたず は あいかわらず やくたたず
やくに たつのが いる
ためた ちからで とがる やくにたつ もの うみだす
うえが すこし みたされる ようになったが
まだ たりない
ちいさい いきもの では ものたりない
もっと たくさん うまいものが くいたい
く
い
た
い
………………
…………
……
うまそうな、かおりに、さそわれて。
もりのなかで、みつけた、しにかけの、これ。
しにかけの、これを、やくにたつが、くった。
これは、なんという、うまいえさだろう。
これをくうと、力が、漲ってくるのがわかる。
これをくうと、知識が、入り込んでくる。
一気に、身体が、大きくなった。
そして、自由な、身体を手に入れた。
これを、もっと喰いたい!
だが、これはなかなか手強い。
死にかけだったのに、私の生み出す、役に立つは──
かなりの数、やられた。
これだけでなく、根を張る者も厄介、だ。
何か……ないか……。
……そうか、土の記憶ではなく
これの記憶から生み出せばいい。
全てを、喰らい尽くす、役に立つ、者を。
これを瀕死に追い込んだ、白い、役に立つ者を。
………………
…………
……
これを、求めて、自由な身体で、彷徨った。
あれから、これを、見つける事は出来ていない。
土と岩だけの場所は一つになった。
樹のある場所は、もう少しだ。
もう少しで、私の一部になる。
だが、近くに邪魔な奴を、見つけた。
奴は、この地の力を吸い取っている。
その力で、大きくなり続けている。
それは、私のものだ。
それは私だけの、ものだ。
奴のせいで、腹が減る。
奴がいるだけで、腹が減って仕方がない。
気に、入らない。
だが、力が吸われて、役に立つ者が、消えてしまう。
少しずつ、少しずつ、身体を大きくしなくては。
………………
…………
……
厄介だ。
奴の周りに、根を張る者が住み着いた。
向かわせた、尖る役に立つは、歯が立たない。
幾度も、幾度も、返り討ちにあう。
少しの、白い役に立つでは、同じ事だろう。
力を貯めよう。
これの記憶の様に、周囲を、埋め尽くす程の、
白い役に立つ。
色々な種類の、白い役に立つ。
まだ、時間が必要だ。
根を張る者も喰い尽くす。
邪魔する奴も喰い尽くす。
この地の全てを喰い尽くす。
十分に、準備して、喰い尽くす。
あぁ、今日も腹が減る。




