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113話 静電気と樹海の魔物

昨晩は書かずに寝てしまいました……。

出勤の移動中と、会社のトイレで書きました。

遅れて申し訳ございません……。


明日は休みなので頑張って書きます。



目の前に広がる樹海を前に、俺の心は引き裂かれるような痛みを感じていた。


「かめきちいいいいいいい!!!!!!!」


悲痛な叫びが森にこだまする。


「煩いぞベック……さっきから亀に抱きついて叫ぶのはやめろ」

「かぁめきぃちぃィイイイイイ!!!!」

「……考えてみろ、亀吉がこの森を抜けるのは無理だ。また帰りにでも寄ればいいじゃないか」

「くそっなんでだよ……かめ……きちぃ……」

「諦めろよベック。こんなに狭い間隔で巨木が生えてるんだ。こんなにでっかい亀が通れるわけないだろ……」

「ベックさん……」

「はなちゃんだって、王女だって待ってるんだ。先を急ぐぞ」

「花ちゃん……そうか……そうだな。俺には花ちゃんがいるんだもんな……早く行かないと……」



亀吉は花ちゃん不在で渇いた俺の心を潤すオアシスのような存在だった。


《魔力手》で摘み上げたワームを、パクパクと啄もうとするその姿は可愛らしいの一言に尽きる。


時折、亀吉の脚を木の棒で叩いている小鬼を、口に放り込んでやると大層喜んで食べてくれた。


その他にも、短い時間ながら亀吉との思い出はいっぱいある。


マジックバッグの水で頭を洗ってあげたり、剥がれかけた甲羅や甲羅についた小鬼やワームの残骸を処理したり、足に刺さっていた黒い剣を抜いてやったりと充実した時間を過ごした。


「かめきちーーー!!! 元気でなぁーーー!!」


たかが亀に何を……と、三人から冷たい目線を飛ばされながらも、手を振って亀吉を見送る。


亀吉の首元には、大量のワームを入れた升状の《魔障壁》を展開しておいたので、しばらくご飯には困ることがないだろう。


「さぁ、さっさと行くぞ。ここは嘆きの樹海。荒野なんか比較にならない程の魔物がうようよしているんだからな」


ライアに促され、亀吉の背中を見送りつつ、仄暗い森の中に踏み出した。









「気味が悪いなこの森……。音が何も聞こえねぇ」


先頭にノーチェ、ライアとニエヴェを間に、俺が最後尾を歩くことで周囲をカバーする陣形で森を進む。


「奴らは息を潜めて、虎視眈々と私らを狙っているのさ。気がついた時は奴らの口の中、お陀仏って訳」

「荒野の時は小鬼ばっかりだったけど、この森にはどんな魔物がいるんだ?」

魔樹木(トレント)角蜘蛛(ホーンアラクネ)、もちろん小鬼(ゴブリン)もいるが、一番厄介なのは魔樹人(ウッドゴーレム)だろうな」

「魔樹木、小鬼は聞いたことあるけど、角蜘蛛や魔樹人は聞いたことねーな。俺っちも知らない魔物だ」

「特に魔樹人は厄介だぞ。あいつらには独自の文化があって武装もしている。言葉がわからないから意思の疎通は無理だが、絶対に怒らせては駄目だ。あっという間に栄養になってしまうからな。まぁ何もしなければ襲ってこない。気が立っている時に出会ったら……逃げるしかないな」

「小鬼を文化人にした感じか……。その魔樹人に出逢わないように祈るしかなさそう。この草のせいで音の判別が難しいからな……」


《探知》では周囲に木と草があるくらいしかわからない。

魔物が動いていない限りは、《探知》も役には立たなさそうだ。


せめてこの背丈以上ある草をどうにかできれば、状況は変わるんだろうけど……。


かき分けて進んで行かないといけない以上、音が発生してしまうのでノーチェも判別には苦労しているようだ。


「小鬼なんてそんな生易しいものじゃないぞ。一説によると魔樹木が進化した個体が繁殖したと言われているんだが、いかんせんデカイ。全身が樹木で出来ているから、痛みを感じない単眼巨人(サイクロプス)が集団で襲ってくると思ってもらえれば良い。魔魂石を潰さない限りは永遠に襲ってくるからな」

「ひえぇえー……。そりゃ絶対に会いたくないな……。単眼巨人なんて一匹だけでも厄介なのに、集団だったら必ず逃げるぜ」


脱兎の如く逃げるのかな。

ぜひ見て見たい気もする。


「昔はどうやってやり過ごして来たんだよ。そんな危険なところを通り道にして貿易してたのか?」

「昔はムエスマ大森林みたいな伐採して出来た街道があったん……みたいだが、時間の流れと一緒に無くなってしまったんだろうな。魔族の腕利きの狩人が交代で巡回して駆除したり、上手いこと魔樹人を避けていたそうだぞ」

「じゃあ本当に気をつけて進もうぜ。とは言っても鳥の鳴き声さえ聞こえねーから、何に気をつければいいかわからないけどな」

「こうやってお話ししてる声も気をつけないといけませんね。自分たちの居場所を教えてるようなものですもん」


ノーチェとニエヴェの言う通りだ。

不気味なほど静まり返ったこの森で、完全に俺たちの存在は浮いてしまっている。


しかしどんなに気をつけていても、トラブルに巻き込まれる時は巻き込まれるもので……。



『『『ヴォロロロロロロロロ!!!!!!』』』

『『キシャアアァアアァア!!!!!!』』



視界の悪い茂みを抜けた先、運悪く角蜘蛛と魔樹人との縄張り争いに巻き込まれてしまうのであった。



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