Living he(new)
あと二話でようやく二章も終わりを迎えます。
そのときにはさらっと彼女のことを語っていきたいと思っております。
学校との距離が最小値となる唯一無二の場所……
土曜である今日はそれなりに客が多い。普段は高校の制服を着た生徒達がたむろしているのは日常的だった。だが今日という日の客層は成人層が占めている。これも明日開催する年一回のイベントが原因なのだろう。
「少し早すぎたか……」
今、この場所に学生がいないというだけで永遠に来店して来ないというわけではなく、明日の文化祭で気分を高揚させているだろう彼らは用が無くても訪れるのだろう。
だが、彼――斎藤優人はそんな現実に干渉する人間ではないことは十分承知である。彼が来店する唯一の理由(注 9話を参照)が証明してしまっている。
この店に滞在してまもなく10分を経とうとした頃だった。
一人とぼとぼと入店してきたのは他でもない斎藤。教室で放っていた孤独の眼差しは変わらない。
彼はネットゲーム攻略本が配置されている本棚へ向かう。はずだった……
入店の目的だったはずのそれには目もくれず、店の反対側に配置されている分厚い本を手に取った。
本のタイトルを見たとき俺が知っている彼とは別人のような気がした。
――大学進学か専門職か――
普段話しあう斎藤と今日話した彼とではなんとなく雰囲気は違うのは孤独感を振り撒いている彼の表情の時から気づいていた。
だがここまで事態が重大だということまで考えが及ばなかった。
俺はこんな時に女の子と二人きりで話していたのだ。
なんて愚か、卑屈なのだろう。
止めよう。ここでネガティブ思考に入っては逆効果だ。
今、俺が出来ることを最優先にすべきだ。
結論がまとまった俺をよそに、いつのまにか斎藤は本を買い終え店外へ出ていた。
「とにかく助ける。話はそれからしよう」
彼と正面から人生相談をするのはいつぶりか、いつの日か分からない過去の記憶を巡らせた。
店を出て数分後のことだった。トラックがこちら、斎藤へめがけて突っ込んでくるのが予想できた。あと数十メートルで衝突する瞬間、俺は目を瞑りそして願った。
――――止まれ――――
タイヤの磨り減る音とともに何かに衝突したような轟音が響き立てる。
「斎藤は…………」
瞬時に瞑っていた目を開き彼の行方を追う。
「うおっ、アブねええーー」
聞き慣れた声であるにもかかわらず、なんだか久しぶりに聞いた声のようで安心した。
斎藤優人が被害者とならない世界に変えることが出来たのである。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
さて無事助かった斎藤ですが、彼も自分の人生について深く考えているようですね。
人は見かけによらずっていうものです。
最後になりますが、あと二話で二章が終わります。よろしくお願いします。




