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きっと僕の夢になる。  作者: イフジタダヒロ
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夢見る少年 PART25

 ソージは夢ハウスの前で迷っていた。

今入ってもユメを止める自信がないのだ。

ソージが迷っていると一台の車がとまった。

「ソージ君仲には入らなかったみたいね。」

「ジュンコ先生。」

「車に乗りなさい。話はそれからよ。」

「でも、僕はユメを救ってやらなければいけないし。」

「いいから乗って。」

ジュンコは無理矢理ソージを車に押し込む。

「ごめん俺、お前を死なそうとしてた。」

ユートは自分の思いをソージにぶつける。

「ソージは良い身分って思って…それが許せなかったんだ。」

「ユート、僕は良い身分じゃない。それに僕は小さい頃から人一倍頑張ってきたつもりだし。その報いが今自分を幸せにしてるんだと思う。」

「そうよユート君。人は努力した分だけ幸せになれるものなのよ。」

「……。」

ユートは窓ガラスごしに外をみて静かに口を開く。

「俺も今から何かを努力すれば幸せになれるだだろうか?」

「なれるよきっと。」

ソージはユートの肩をポンと叩く。


「努力しても認められない。幸せになれない。なんでウチこんな家に生まれてきんだろう?」

マイコは一人苦悩していた。

そしてまた自慰をして鬱憤を晴らす。

「ソージさん…助けて…。」


 ユメは怒りに燃えていた。

「ソージや幸せな人間なんていなくなれば私も幸せになれるはず。なのにどうしてソージは私が不幸にしようとしても幸せな方向に進んでいくの?許せない。」

ユメは拘束しているタケルを蹴りあげる。

「お前こんな事してただですむと思うなよ?」

「うるさい犬が。」

ユメはタケルを何回も蹴りとす。


 何が幸せで何が不幸なのか少年少女はそれぞれ心の奥底で悩んでいた。

幸せを奪われようとしているソージ。

他人の幸せが許せないユメ。

幸せとは何かと模索するユート。

努力しても幸せになれないマイコ。


 車は三丁目の公園に来たときソージがマイコを見かけて車を止めるようにジュンコに頼む。

「マイコちゃん一人なの?」

ソージが後ろから声をかける。

「ソージさん会いたかった。」

ソージの胸で泣きじゃくるマイコ。

「どうしたの?」

「ウチ、もうあの家に帰りたくない。」

マイコは小さい頃からの父からの虐待を告白する。

「辛かったわね。」

ジュンコが優しマイコを抱き寄せる。

「温かい。」

マイコは初めて自分の苦しみを理解してくれた人に感激する。

「僕たちと一緒に来るといいよ。」

ソージはマイコも同行させようとしたが、マイコは怯えていた。

「でも、帰らないとまたパパに…。」

「大丈夫、私が何とかするから心配しないで。」

ジュンコはトモコに電話をかける。

「あら、ジュンコどうしたの?」

「マイコちゃんからきいたわよ。」

「あらそうなの。別に私たちは虐待なんかしてないわ。ただの教育よ?」

「行きすぎた教育は虐待になるのよ?」

「ふん、あんな娘なんてはじめっからいらなっかったのよ。」

トモコは遂に自白した。

「なんてひどい…。」

電話は一方的に切られた。

「マイコちゃん、今から言うことは大変ショッキングだとは思うけど聞いてね。」

「はい。」

マイコは息を飲む。

「たった今トモコは育児放棄をしたわ。」

「……。」

マイコは泣くどころか気持ちが晴れ晴れとした。

「よっかたウチあのまま家にいるかと思うと自殺しそうだった。」

「マイコちゃん私たちは今から田舎に行くの一時的にあなたを保護するわ。」

「はい。」

今まで背負ってきた重荷が取れたのと、ソージと一緒の家に住めるという期待でマイコは心底嬉しかった。

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