7月9日水曜日
どれくらいの時間がたったのだろうか。
やっと殺人鬼が落ち着きを取り戻した。
「すみません。」
もう大丈夫なようだ。アンドロイドといえど、ちゃんとこの娘はココロを持っている。
「じゃあ、ひとつ聞いてもいいか?」
「なんでもどうぞ、ご主人様の聞きたいことを何でも」
「あんまり、考えたくないだろうけど生徒会長...いや木下裕也さんって聞いてなんで怖くなった?」
「...............。」
やっぱダメか。やっぱり話したくないよな、あんなに怖がってたんだから。
「ん.....ごめんやっぱいいよ、言わなくても......」
「いえ!言います。ご主人様ご命令ですので。」
「あ―――――ちょっといいか?そのご主人様やめてさ、まあプログラミングされてるなら、もう一つの名前だと思ってさ、俺のこと涼介って呼んでくれるとうれしいんだが。」
ダメもとだが、ご主人様と呼ばれるのにはちょっと抵抗がありすぎるし
「りょ...う..す.け?」
「涼介!これだけでうれしいの?」
「ああ、うれしいよ。殺人鬼も、もう一つの名前を付けようよ」
「もう一つの名前?」
「そう。俺たち二人だけが知ってるお前の名前を、これならプログラムを、かえたことには、ならないだろ?」
パアッと花が咲いたように喜ぶ殺人鬼。可愛いとしか言えない。
「ん~何がいい?」
「涼介が、つけてください...私、涼介がつけてくれたら、すんなり受け入れられるような、気がするから。」
どうゆう名前がいいんだろうか?女だしなぁ思いつかないし、漫画のキャラの中の名前でいいかねぇ
「めっメイルとかどうだ?」
殺人鬼が日本人ならDQNネームだが、どう思ったって神の国の人みたいだから、まあOKだろう。
気に入ればの話だが..............。
「メイル?」
「そう、メイルどう?」
「メイルって涼介呼んでくれますか?」
「ああ、呼ぶよ。お前が嫌がんないならな。」
気に入ったのか、よかった。メイルの方が殺人鬼よりも、こいつにあっているしな。
ニコニコ笑っているメイルを見るのはとっても、気分がいい。
だが、また暗い顔をした。
「涼介帰る時間です。」
「帰るってどこに?」
「涼介の、現実に」
「もう、バッテリ-が持たないから、また明日会おうね。」
すっかり忘れていた。
バッテリーは何時間持つんだろうか?もっともっと、メイルと話をしたかったのに。
「ああ、また明日。」
「約束だからね。」
寂しくなった俺はメイルを抱きしめた。いい加減嫌がるということを覚えてほしい。
ずっと抱きしめていたくなる。
「では、転送を始めます。」
赤くなったメイルを見ながら、俺は光に包まれた。
次の投稿が諸事情により、2月15日以降になります。
気長に更新を待っていただけると、幸いです。
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