表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

別れたはずの二人

 わたしと先輩が別れたという噂はすぐに広まった。……広まったのだが、その噂はすぐに消えてしまった。

「晶は、今日何を食べるんだ?」

 なぜなら先輩がわたしにべったりくっついて離れないから。別れたんじゃなかったのか、わたしたち。

「……そうですね、じゃあ今日はAランチで」

「そうか…じゃあ俺はBランチにしよう」

 先輩はあまりべたべたくっついてくるタイプではなかったので、ちょっと戸惑ってしまう。別れてからのほうが、よっぽど恋人らしいことをしている気がする。これだけくっついていたら、噂が消えるのも当然だろう。

 それにしても。ああ今日も先輩は素晴らしく綺麗な顔をしている。先輩の顔はわたしの今までの人生の中で、一番美しい。そして一番わたし好みなのだ。そして、先輩は性格もいい。やっぱり、顔だけよくてもだめだよね。

 別れを切り出されたとき、もうこの顔を間近で見ることが出来なくなるのかと思い悲しくなった。……いや今まで誰よりも近くで拝見出来ていたことのほうが驚きか。わたしの顔はお世辞にもかわいいとはいえないから。どうせ十人並み。

 でも告白は先輩からだった。まるで少女漫画だ。……別れ話も先輩からだけど。

 今まで結構上手くやれていたと思うのに、先輩は突然どうしたんだろう?考えられる理由は二つ。その一、わたしに飽きた。その二、別な女の子を好きになった。うーん、どちらもあり得る。

「……晶? 具合でも悪いのか?」

「あ、大丈夫です。ちょっと考え事してて……」

 へらりと笑ってごまかす。 

 別れた理由を考えるのは置いといて、とりあえず今はその麗しいその顔を観察することにしよう。


 ………もうすぐで見納めになるかもしれないのだし。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ