夢のように
掲載日:2026/03/22
ゆめをみた。
私は草原の上で大の字に体を広げて温かな光に包まれていた。どうしてか、あの人に起こされた。なぜここにいるのかは分からなかったが、そういうものだと分かった。
「ねえ、海に行こうよ」
あの人は私にそう言った。あの人なら、家でげーむしよう、とか、図書館に行こう、だとか、もっと違うことを言うと思った。でもそんなことはどうでもよかった。
「いいね、行こうよ」
一緒に草原の下に見える青い海への歩いていった。一歩一歩ゆっくりと歩いていった。懐かしいような気がした。まるで中学校の時のように、横に並んで、静かに歩いていったから。こんな事は二度とないだろうと思っていたのだ。
「ねえ、並みの音聞こえる?」
あの人はいつものようにか細い、そして柔らかい声で私に訊いた。
「うん。聞こえるよ。でも、なんでここにいるの?」
私はそう言ってしまったんだ。
不意に重くなった腕を見つめた。
真夜中だった。体を起こすと、胸元に涙が落ちるのを感じた。
あの人からのメッセージが、通知欄に入っていた。
「がんばろっ!」
私は故郷を離れた学寮の寝床で一人涙を流した。




