舞踏会は婚約破棄ブームで無くなってしまった
「母上、舞踏会とはなんですか?」
この質問に息子が舞踏会を全く知らないことに少しばかり寂しさを感じた。この子は舞踏会を体験したことがないのだと。
「みんなでダンスを踊る社交パーティですよ。今は禁止されています」
「なんで禁止されてしまったのですか?」
当然の疑問だ。
「舞踏会で婚約破棄をするのが流行ってしまって、そんな悪しき風習を食い止めるために禁止されるようになりました」
「どうして舞踏会で婚約破棄するのが流行ってしまったのですか?」
なんで舞踏会で婚約破棄が流行ったのだろうか、今でも不思議である。
「婚約破棄する方々は舞踏会に出席している人たちを証人にしようとしていたからです」
「舞踏会に出席している他人なのにですか?」
「そうです。どうして婚約破棄の流れになったのかも、その人たちの名前しか知らないのにです。ただそのばにいたので目撃者に数えられることは間違いありませんでした」
「これに味を占めた人たちが舞踏会で婚約破棄をするようになり、目撃者になることを嫌がった人たちは舞踏会に参加しないようになってしまったのです」
本当にいい迷惑だった。
「それは大変ですね」
「そうです、大変です。なので舞踏会での婚約破棄は禁止されました。でも舞踏会で不貞や借金等の婚約不履行を宣言する方が後をたちませんでした。一つ一つを規制することが難しかったため舞踏会が禁止されたのです」
「そんなことがあったのですね。母上が参加していた舞踏会でも婚約破棄があったのですか?」
「ありました」
「その婚約破棄はその後どうなったのですか?」
「さあ。私はその場に居ただけなのでわかりません」
私は参加した舞踏会で婚約破棄がされたことがあった。でも名前しか知らない人だった。それに人が集まる舞踏会で婚約破棄なんて大仰にやっている人には近づかないでいようと思ったのでその婚約破棄がどうなったのかは全く知らない。
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