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サヨナラをもう一度〜夏のフェアリーの物語〜  作者: マナマナ


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かき氷を食べた後に

 そんなことあったんだ。

 

 すっかり雨は上がって今じゃお決まりの太陽が顔を出している。

 濡れた道路はあっという間に乾いて代わりにチリチリと音を上げていた。


 そんな中、ぼんやりと歩いているといつの間にかいつもの海岸に来ていた。


 風景は変わらない。もうお昼も過ぎているからほとんどが海水浴を楽しむ人で一杯だ。いつもと同じはずなのに目の前の世界から隔てられているような感じがする。

 もしかしてガラスの箱にでも閉じ込められているのだろうか。手を伸ばしてもそこには何もなかった。そんなモノはなかった。


 今度は防波堤を目指した。


 ラピスの姿はない。今日はもう会えないのだろうか。


 なんだろう・・・とても不思議な気持ちがする。


  周りを見回しても白い帽子は見えない。太陽の光を溶かし込んでいるみたいな金色の髪も。あるのは夏という季節だけだ。こんな言い方だと夏のフェアリーみたいだよね。


「・・・仕方のないことなのかな」

 そんなことを口にしても何かが起こるわけでもなかった。


 防波堤の突端に座って海を覗く。波が穏やかだから魚の姿もよく見える。それに私の顔もはっきりと映っている。


 とても静か。話のことを思い出す。きっとあの日もこんな穏やかだったのだろう。


 両手を自分の両目に当てて覆ってみる。どんなに強く瞼を閉じても手で押さえつけても夏の太陽の日差しを遮ることなんてできない。私の目は常にぼんやりと光を捉えていた。


「なにしてるの?」

 声?振り返る。けれどラピスの姿はなかった。


「・・・気のせい」


 心のどこかでこんな風に声をかけられることを望んでいるのだろうか。自分の気持ちさえよく分からない。彼女、いや彼女達のことがますます分からない。


 もし今日ラピスに会えないとしたら、いやもしこの先も会うことができなかったら・・・・そんなこと、あるような気がしてならない。

 あのことだって夏が見せた幻だったのだろうか。でも現実なのは確かだった。なぜなら私の手には夏のフェアリーが残していった砂があり、私のくちびるはラピスの感触を覚えているからだ。


 いくら考えたところで答えなんて出ない。それに答えって一体なに?そんなものが存在するのだろうか。


 雨上がりのせいでいつもより湿気があって、これ以上この場所にいることが辛くなってくる。


 『気分転換』


 こんな時はかき氷を食べに行こう。そして頭を冷やすんだ。じゃないとその内体中から煙が出てきそう。


 お店はいつもと同じで混んでいたが一人だからカウンターにすぐ案内された。今日は絶対メロンと道中決めていた。

 座るなりすぐにオーダーした。あまりにも汗をかいたから普段は飲まない水を飲む。よく冷えていて喉を軽快に通り過ぎる。おかげでちょっとだけホッとする。それからかき氷ができてくるまでスマホを何となく見ていると


「あ、葵さんからだ。もう東京に着いたんだ」


 葵さんからの連絡は私を現実に繋ぎ止めている錨みたいなモノかもしれない。

 

 そう。現実なんだ。


 今日聞いた話全部昔あった現実の話しだ。それはあまりにも悲しい現実だった。私は葵さんに今日いろいろ聞いたことを書こうかとした。けれど・・・帰って来てからでもいいか。


「いろいろ分かると嬉しいです。無理しないで気をつけて帰って来て下さい。こんな感じかな」

 可愛い猫のスタンプで返事が返ってくる。目の前にはかき氷が到着。

 最初の一口は私の中にあるモヤモヤした気持ちを瞬間的に昇華してくれた。こんな気持ちにさせてくれるなんて愛いヤツよ、なんてね。今だけは今を楽しむことにしよう。


 でも私の心にはぽっかりと真っ黒な小さな穴が開いたまま。


 その空洞は一体どうやって埋めることができるのだろうか・・・答えは分かっているのにそれを言葉にすることができなかった。

 かき氷はとりあえず私を幸せな気持ちにしてくれた。けれどそれはどこか不完全な幸福だ。


 もう一度だけ海に行ってみようか?思っても私の足は向かうことなく家に帰った。

 

 部屋に戻ってベッドに横になる。いつ蝉の声は戻って来たのだろう。それは遠い世界で鳴いているみたいに聞こえる。

 目を閉じるといろいろな光の粒子が舞っている。やっぱり目を閉じただけじゃ完全な暗闇にはならない。彼女の見える暗闇とは一体どんな感じなのかな?

 朝からいろいろあったせいで眠気が少しだけ私を夢の中に誘っているみたい。私は素直にこのまま体の力を抜いてゆく。


 私が今いるところ。そこはラピスに教えてもらった場所。ここからなら海も町も一望できる。けれど映る世界はどこか違って見える。映るのは私の町であり、私の知らない町だった。多分あの話の影響を受けているんだろうな。

 あの頃のこの場所も誰がしているのか分からないがキレイに整地されている。石もちゃんとあった。この石はずっと昔からこの場所にあるんだ。現実と同じように手を触れる。


「・・なんか不思議・・・こんなに冷たいなんて」


 そんな風に過していると遠くから足音が聞こえた。誰か来たみたい。微かに話声が聞こえる。咄嗟にどこかに隠れようかと思ったけれど、ここにはそんな場所はどこにもなかった。


 ・・・誰が来るのか・・・分かる。


 やがて現れた人影。二人・・・一人は金色の髪の少女。間違いなくアリアだろうな。目には包帯の代わりに色の濃い眼鏡をかけている。

 そして彼女の手を引いているもう一人。あれは田中のじいさんの子供の頃に違いない。今ではすっかりおじいさんだけど、子供の彼は髪もあるし歯もある。ま、当たり前か。おかげでとても好少年に見えるのは実際にそうだからなのだろう。かっこ良くさえ見える。こんな印象持ったら今度会う時に意識してしまうかも。なんてね。


 歩いてくる二人の真正面に私は立っている。・・・どうしよう。挨拶とかした方がいいのかな?


 その心配はなかった。私には見えているのにどうやら二人には私の姿は見えていない。

 真っ直ぐ歩いてくる。二人の手はしっかりを握られている。私は邪魔にならないようにその場所を譲った。

 二人は石の前まで来て止まった。そんな二人の後ろ姿を見ている私。こんなことしていていいのかな?ちょっと自分がお邪魔な存在に思えた。


 そうだ夢なんだ。私の夢。ならこの夢は見届けた方が良いよね。

再び寒波襲来。そして選挙もやって来そう。

読んでいただきありがとうございます。

本日は大寒。春までもう一息。

皆さまは積極的に選挙行きますか?

私は割と行く方です。いつも迷いますけど・・・

こんなフワフワした感覚で投票ってどうなのかな?

でも行くことに意義がある。と思っています。

暮らしやすい世の中。希望はそれだけ。

さて未来はどうなる?この物語もどうなる?それは私次第か。

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