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もう恋なんてしない!と思った私は悪役令嬢  作者: 美雪
第三章

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99 ペアの課題



 属性別集会は各属性別の授業を受けている全員で集まり、話し合いをする時間。


 火属性のクラスは二つあるので、二クラス合同の集会になった。


「一年時は学級ごとに生徒が分かれているため、学級ごとの話し合いや活動があった。二年時の二学期からは属性選択が完全に決定しているため、同じ属性選択をした生徒でも集まり、話し合いや共同活動をする」


 二年生からは属性授業が多くなると聞いていたけれど、授業以外のことでも同じ属性の人が集まって何かをするということがわかった。


「二学期はペアで取り組む課題もある。自分だけ良ければいいということではない。一緒の者も良くなければ成績が悪くなる」

「えー!」

「そんな!」

「組んだ相手のせいで成績が悪くなるとか!」


 驚きの声が次々と上がった。


「まずはペアで行う課題を出す。資料を配る」


 五種類の火魔法の魔法陣を制作する。


 まずは魔法紙に魔法陣を描き、自分の魔力を流して発動させることができるようにする。


 次に、自分の描いた魔法陣をペアの相手の魔法陣と交換する。そして、相手の描いた魔法陣を発動させる。


「呪文で魔法を発動させるのと魔法陣で魔法を発動させるのは異なる。魔法陣を描くのが下手過ぎて発動できない、あるいは他人の魔法陣だと発動できないという場合もある」


 魔法陣を描けば、絶対に魔法が発動するわけではない。


 魔法陣を描く能力、魔法陣を発動させる能力が必要になる。


 それをペアで行う課題によって鍛えるということらしい。


「ペアについては不公平がないようにくじで決める。箱の中には同じ番号が二枚ずつ入っている。自分と同じ番号の紙を取った者と組め」

「そんな!」

「運任せかよ!」

「ひどい!」

「下手な奴と組んだら最悪!」


 全員が嫌がるけれど、先生は気にしない。


「ルクレシア、引け」


 指名されては引くしかない。


 私は箱からくじを引いた。


「皆も引け! ルクレシアと同じ番号かもしれないぞ?」

「絶対にルクレシア様と同じ番号がいいです!」

「俺も!」

「私も!」


 続々と全員がくじを引いた。


 そして、結果発表。


 一番から順番に誰と誰がペアになったのかを確認していく。


「十三番の者は手を上げろ」


 私は十三番。手を上げた。


「ルクレシアと組める幸運を手にしたのは……ネイサンだ」


 私とペアを組むのは赤い髪の男子だった。





「知っていると思うけれど、ルクレシア・コランダムよ」

「ネイサン・ゼイスレードだ」

「貴方だったのね」


 バスケットを返却しなかった男子。


「あの花火はお礼のつもり?」

「一応は」

「ということは、魔法陣を描けるようね。もしかして得意なの? 遠慮は無用よ。課題をこなせるかどうかに関わるからはっきり答えて」

「得意なほうだ」


 良かった!


「そっちも大丈夫だな?」

「たぶん」


 魔法陣なんて描いたことがない。


 少なくとも私が中身になってからは。


「たぶん? 魔法陣コンクールで入賞したことがあるだろうが!」


 全然知らない。


 でも、私は悪役令嬢ルクレシア・コランダム。


 魔法陣を描く才能もあるはずだと思うことにする。


「五種類もあるから」


 自分用だけで五枚、相手と交換するための五枚、全部で十枚の魔法陣を描く。


「来週の属性授業の時に交換するということでいいか?」

「わかったわ」


 屋敷に帰ったらアヤナに聞きながら制作しようと思った。





「無理」


 コランダム公爵家に戻った私はアヤナに早速課題用の魔法陣について聞こうと思った。


 でも、その返事がこれ。


「どうして? 何が無理なの?」

「魔法陣を描くのは苦手なのよ」

「そうなの? 主人公なのに?」

「主人公は光魔法を使うのが得意なの! 魔法陣を描くのは苦手だから、攻略対象者に教えてもらうっていうシナリオがあるのよ」


 そんな……。


「ということで、私はアルード様に教えてもらうわ。ペアになったから、嫌でも教えないといけないというか?」


 光属性は席が隣同士で組むことになったため、アヤナはアルード様と組むことになった。


 アルード様はアヤナが特待生のために魔法陣を描くのも得意だと思っていたけれど、そうではないことを知り、結構怒っていたらしい。


「好感度が上がるどころか、すぐに下がるイベントだったわ」

「主人公補正はなさそう?」

「ないない。私のクセ字が酷いのを知っているわよね?」


 普通の文字が綺麗に書けない人は魔法文字も綺麗に書けない。


 つまり、魔法陣の出来映えが悪くなる。


「明日の帰りに王宮へ行って教えてもらうわ」

「私も教えてほしいけれど、水曜日は講義があるし……」

「木曜日に教えてもらったら?」

「とりあえず、教本を見ながらやってみるわ」

 

 魔法陣コンクールで入賞したことがあるとネイサンが言っていたので、あっさりできてしまうかもしれない。


「金曜日までに自分用を作成して、出来栄えを見て考えるわ」

「週末にアルード様に会いに王宮へ行かない? 水曜日だけで十枚も作れるとは思えないのよね」

「私のノルマは十五枚なのよ」


 ネイサンのせいで交換用が十枚になったことを話した。


「じゃあ、週末は王宮に行って、アルード様と一緒に課題の魔法陣を制作したいって言っておくわ」

「わかったわ」

「私も良かったわ。ルクレシアが一緒なら王宮まで馬車で行けるし」


 馬車目当てで私を同行させる魂胆であることが判明した。


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