表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう恋なんてしない!と思った私は悪役令嬢  作者: 美雪
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/180

141 ルクレシアVSアヤナ



 午後。


 私とアルード様のペア、アヤナとネイサンのペアが勝ったので、対戦することになった。


「魔力はどう?」

「平気よ」

「残念。頑張りましょう」

「お互いにね」


 友人らしくそう言って、準備に入る。


「一学期よりも二人は強くなっている。注意だ」

「はい」

「戦闘開始!」


 ネイサンの周囲に火魔法が発動した。


 これは私の魔法ではなくて、ネイサンの魔法。


 開幕と同時にアルード様に結界を張られないようにするための対策だった。


 ネイサンが魔法剣でアルード様を攻撃しに向かう。


 剣術の腕前はアルード様のほうが上。


 でも、ネイサンは風の魔法剣を使う。


 風の魔法剣は斬撃が強化されているため、アルード様の防御魔法が強くても注意が必要になる。


 盾があると防ぎやすいけれど、持つことができる武器は一人につき一つ。片手剣と盾を持つといったようなことはできない。


 私とアヤナは開幕と同時に結界の中。


 私はネイサンの魔法、アヤナは私の魔法に攻撃されるのを防ぐため。


 手堅く防御重視からという選択をした。


 でも、アルード様とネイサンが魔法剣で戦っているだけだと、私とアヤナの評価がつかない。


 このままにするわけにはいかなかった。


 なので、私の結界が消える。


 攻撃しろという合図だった。


「どのぐらいかしらね」


 アヤナの結界は強い。


 私の上級魔法も鍛えているけれど、最近の実力はお互いにわからない。


「焼き尽くせ!」


 私の上級魔法が発動した。


 結界が消える。


 でも、拠点の色は変わらない。


 たぶん、防御魔法を張っている。


 私は中級魔法を使おうとしたけれど、結界が張られてしまった。


 当然、中級魔法では結界を消すことができない。


 上級魔法の詠唱を開始すると、アヤナは素早く結界を消し、防御魔法と結界魔法を新しく張り替えた。


 わかる。でも、これを延々と繰り返したくはない。


 なので、遠慮しない。


 私はアヤナに向けて攻撃魔法を使った。


「やっぱり!」


 アヤナが新しい魔法を披露した。


 盾魔法。


 本物の盾の代わりに使う魔法の盾。


 私の攻撃は盾に当たって消えた。


「お返しよ!」


 アヤナの光魔法が向かってきた。


 でも、アルード様の光魔法で相殺。


「ネイサン、しっかり!」

「わかっている!」


 ネイサンは剣で打ち合いをしながら、アルード様に魔法攻撃もしている。


 なんとなくだけど、ネイサンは忙しくて追い込まれるほど強くなるのかもしれない。


 アルード様も飛んで来る魔法を個別で対応するのが面倒なので、盾魔法を使っていた。


「仕方がないわね」


 防御についてはアルード様に任せればいいので、私は攻撃するだけ。


 それが役目でもある。


 もう一度上級魔法を使う。


 アヤナが光魔法を使って来るけれど、関係ない。


 アルード様に任せるだけ。


 アヤナはハッとすると結界を張った。


 気づかれたわ……。


 最初は拠点に上級魔法を合わせていたけれど、狙う場所を変えた。


 それによって、アヤナと拠点の両方を同時に攻撃できる範囲にした。


 上級魔法が発動する。


 アヤナと拠点を守っていた結界が両方消えた。


 アヤナは拠点に結界を張り直す。


 自分はあと。


 だから、私はアヤナに最速で攻撃する。


 中級魔法によってアヤナのつけていた身代わりペンダントが壊れた。


 すぐに炎を消してアヤナの安全を確保。


「そこまで!」

「あーあ」


 アヤナが得意としているのは結界と回復。


 防御はそれほど得意ではないというか、練習していない。


 攻撃されることがほとんどないので、改善を重ねる必要がなかった。


 とにかく結界の強化に勤しんでいたからこそ、防御魔法は中級でも余裕でダメージを通せる。


「やっぱりルクレシアを攻撃すればよかった!」


 アヤナとネイサンは開幕に攻撃する対象を三つから選べる。


 アルード様、拠点、私。


 拠点は絶対に結界が張られる。


 同時に私も結界が張られるかもしれない。


 なので、最も結界が張られない相手としてアルード様を攻撃対象に選んだ。


「関係ない。俺の攻撃は全然効かなかった」


 ネイサンは剣と魔法で必死にアルード様を攻撃していた。


 でも、全部防がれていた。


「剣も盾も防御もある。手数を増やしても攻めきれなかった」

「そうね。でも、アピールにはなったわ。評価はいいはず」

「そうだな」

「アヤナも攻撃していたわね」


 午前中もアヤナは攻撃魔法を使っていた。


「できる時はしないとね」

「そうね」

「ネイサンの実力は上がっている。今後が楽しみだ」


 アルード様が微笑んだ。


「アヤナは大事なことを忘れている」

「大事なこと?」

「ネイサンに回復魔法をかけたか?」

「あっ!」


 アヤナは慌てて回復魔法をネイサンにかけた。


「ごめんなさい。すっかり忘れていたわ」

「気にするな。俺も気づいていなかった」


 ネイサンが励ました。


「光魔法の使い手ならペアの相手に回復魔法をかけるのは常識だ。任意ではあるが、心に留めるべきだろう」

「次からは忘れないように気をつけます!」

「ルクレシア、よく頑張った」


 アルード様が回復魔法をかけてくれた。


「魔法の範囲をうまく使ってアヤナと拠点の両方を狙ったのは良かった」

「ありがとうございます。でも、アヤナに見破られてしまいました」

「アヤナは警戒心が強い。魔法の気配も読める」

「そうですね」

「だが、まだまだだ。結界の強化ばかりをしていて防御魔法が弱い」

「絶対に防御魔法を強くするわ!」


 アヤナは新しい改善目標を見つけた。


 それはアヤナの実力を上げるために必要なこと。


 主人公だけに、メキメキ上達する気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ