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もう恋なんてしない!と思った私は悪役令嬢  作者: 美雪
第一章 

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10 情報収集



 私は一緒に昼食を食べているグループメンバーから情報を募ることにした。


「マルゴットを知っている? 上級クラスにいるはずだけど」

「マルゴット・ブロンジュですか?」


 レベッカが確認してきた。


「そうよ。ブロンジュ伯爵の孫娘」

「気になるのですか?」

「だから聞いているのよ。エリザベートは上級クラスへ行くでしょう? マルゴットと会うことだってあるはずだわ。その時どうしているのかと思って」

「誰か知っていますか?」


 レベッカが聞くと、すぐに上級クラスの女性が答えてくれた。


「嫌味を言っています」

「アルード様の婚約者候補だから」

「相変わらず豪勢ねとか、贅沢ねとか」

「成金って見下しているわ」


 ブロンジュ伯爵家は上級貴族だけど、元々は子爵家だった。


 エリザベートのハウゼン侯爵家のように先祖が武功を上げたわけではなく、国や戦争の資金集めで活躍した結果、爵位を上げてもらえた家柄。


 そのせいで、金で爵位を買った成金貴族と思われており、現在も極めて裕福な貴族として知られている。


「ということは、私に対する態度と同じってことね」

「エリザベートは身分だけでなく血統も気にするので余計でしょう」


 レベッカがそう言った。


「功績で爵位を上げたといっても、内容が違うから」

「家柄を誇るためには、血統が良くないとよね」

「でも、グループの構成メンバーとしてはかぶっていないのよね」


 エリザベートのところは上級貴族が多数で下級貴族が少数。


 マルゴットのところは反対に上級貴族が少数で、下級貴族が多数。


「ブロンジュ子爵令嬢のグループには平民も少しだけいます」

「血縁や事業関係の縁故者だったと思います」

「普通の人は入れていないわね」

「身内だけで固めているわ」

「でも、それが普通と言えば普通よね」

「おかしくはないわ」

「どの身分者であっても分け隔てなくグループに入れてくださるのはルクレシア様だけですわ」

「本当に。ルクレシア様と他の婚約者候補者との差がわかりますわね」

「アルード様の婚約者に選ばれるのはルクレシア様に決まっています!」

「魔法学院でこれほど大きなグループを作れるということは、多くの人々に慕われている証拠です!」

「ありがとう」


 私はにっこり微笑んだ。


「でも、私が自分のグループを作ったのは、アルード様の婚約者に選ばれるためではないの。身分に関係なく多くの友人を作ることで、これまでには得られなかった知識や経験を増やすためなのよ。もちろん、私からも知識や経験になるようなことを伝えたいし、互いに良い関係を築いていきたいと思っているわ」

「とても素晴らしいお考えです!」

「ルクレシア様のグループに入ることができて幸せですわ!」

「私も!」

「レベッカ」


 私は婚約者候補の一人であるレベッカを見つめる。


 この機会に友人関係にあることをしっかり示しておこうと思った。


「私のグループに入ってくれてありがとう。とても嬉しいわ。家や両親の事情もあるけれど、魔法学院はある意味そういったことから逃れることができる場所でもあると思うの。これからも友人としてよろしくね」

「こちらこそ。ルクレシア様のグループに入れていただけて嬉しいです。家や両親の事情もありますが、魔法学院で大事なのは勉強、そして友人との交流です。私もルクレシア様と交流することで、自らを成長させたいと思っています」

「勉強はどう? 特級クラスでなければならないというプレッシャーがあるでしょう? 何かあれば相談に乗るわ」

「お気遣いいただきありがとうございます。今のところは大丈夫です」

「それなら良かったわ。友人同士、遠慮しなくてもいいのと言いたかったの」

「わかっています」


 レベッカは頷いた。


「正直にお話しますが、ルクレシア様のグループに入れていただけたので、かなりの得をしています」

「そうなの?」

「アルード様が直接声をかける女性は限られています。昼食に誘う女性はより限定的です。ルクレシア様はその一人ですので、私もご一緒できます。勉強で忙しいというのに、両親が学校の様子だけでなくアルード様の様子も聞いてくるのです。その時に何も言えないと叱責されてしまいますが、ルクレシア様のおかげでなんとかなっています」

「わかるわ。私も両親が何かと学校内でのことを気にしているのよ。醜聞は困るでしょうしね」

「そうですね。貴族にとっては当然のことですが」

「社交界は常に新しい噂をほしがっているわ。そのせいもあると思うのよ」

「わかります。自分たちのことだけではなく、子どもやその世代のことについても知りたがります」

「気持ちはわかるの。でも、大変だわ。勉強で忙しいのに、社交界の話題に最適なものを見つける余裕なんてないわ」


 思わず本音が出てしまった。


「ルクレシア様は優秀です。余裕がありそうですが?」


 そう見えるようにふるまっているだけ。


 そして、見えないところで必死に勉強しているだけ。


「全くないわけではないのよ。だけど、常に余裕をたっぷりと持ち続けるには、何もしないというわけにはいかないのよ」

「そうですね。より多くの余裕があったほうが安心できます」

「エリザベートやマルゴットの関係することで何かあったら教えてほしいわ。退屈しのぎにはなるでしょうし、嫌味を言われた時の応戦材料にしたいのよ」

「わかりました!」

「調べておきます!」

「情報を集めますわ!」


 これでよし。


 グループメンバーを通じて情報が集まることに期待する。


 なんだかんだいって、私はうまくやれているような気がした。


 アヤナに言われるまでは。


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