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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

高二の冬と混沌的感情、それに振り回される人

作者: 前転土下座

ただ思う。

「自己中か」「苦しんでるのだから仕方ない」「あの時の自分と違うのは当たり前だ」「許して許容しなければ」「は?笑この程度で病んでる?笑笑」「冗談でしょ」「誰だって周りが見えなくなるものだ」「悩みも苦しさもわかってあげたい」「この程度押し殺せないでどう生きるの?」「心の吐露を受け止める人って」「後悔」「自業自得こうかい」「気づいて欲しかったな」「これさえ承認欲求って」

三月末。

春の陽気が感じられるこの時期は、皆等しく受験勉強をしていることだろう。

焦って志望校を決める人、筋道立ててこれまでと同じ様に受験対策をする人、受験生になる前最後の旅行をしに行く人、と様々な人達がいる。

私だってその内の一人だ。

今日も必死に、苦手な国語の勉強をしている。


「………………………ハァ」


撮り損ねた漢字の検定。

それの出題範囲が載ったワークを閉じながら自分の要領の無さと勉強法を理解できない自分を恨む。

けど嫌々やったとしてわかるわけでもないので、小論文対策のテキストを取り出して黙々と学び始める。


昼ごはんを食べてインスパを開いて友達の投稿を見ていく。ディスミーランドに行く人が多く居て、見ていて羨ましくもある。


「あ、この子最近彼氏と別れたんだっけ」


話を聞かなくても本音をライトメモにあげていてわかりやすかった。その子は樫野サナの失恋ソングをBGMで投稿していたし見ていて私の心は苦しくなった。その子が失恋したすぐ後、長時間話を聞いていた友達から事情を聞いていたから余計に。


この時までは良かったんだけどこの後がどうしても抑えられなかった。


「………『不快な気持ちになるかもだから無視して』?」


そこには普段から元気だった子がストレスを書き込んんだ『病み』があった。『病みそう』と書かれていた。

……………その『病み』告白がどれだけ私の神経を逆撫でしたことか。


私の中で、忘れきったと思い込んでいた『病んでいた時期を一人だけで越えた私』が、普段温厚に笑顔に振る舞えていた心が強いはずの私が、電話を掛けそうになっていた。


「……………………」


私がキレたとしても変わらない。

あの頃の私が相談しなかったのが悪い。

他人に心を開いて正しい意味での友達に成れていなかったのが悪い。

けど相談しなかったのはあの状況では間違っていなくて。

だとしても。

だからと言って。

だってだってだって。


「…………………」


自業自得。今の私が考えたところで私自身を縛るだけ。

悩み苦しんだ時期は終わっていたのに、なんで掘り返しちゃうんだろう。


キッカケは他人でも私が私の想い出を勝手に思い出して苦しんだだけ。きっと誰かに聞いて欲しかっただけ。話をしたい相手はいた。


(────これ以上は藪蛇なのに、止まらない。なんでなんでなんでなんでなんで)


話をしたい友達ヒトはいた。だけど。じゃあちゃんと話せば良かったの?

あの子に背負わせちゃダメだよ。あれだけ病んだ友達だらけで苦しんで癒しを求めていたのに、これ以上だなんて。

あの子も今は上手くいってるのに幸せに水を差すなんてできないよ。


「……………あぁー。自己嫌悪自己嫌悪」


こんな軽口を言ったって辞めないくせに、それでも助けを求めようと卑しく声を出しているところさえ、嫌。


今日もワークに必死に喰らいつく。

受験生の時が近い。

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