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 ある日のこと、




 俺は、死んだ。



 死んでしまった。





 理由は簡単。

 自傷衝動に駆られて反射的に動いた左手が、運悪く太腿の大動脈をざっくりと手にしていたカッターで切り裂いたらしい。

 つい先日、切れ味が悪くなっていたので取り替えたばかりだった。


 この俺はそれを覚えていたのか忘れていたのか、いつもなら手加減しまくりで薄皮一枚切れないのに、今回に限っては理性よりも心が勝ってしまったらしい。



 ここで問題が一つ。

 それは自分が、あの後死んだのだと気づけたことだ。


 硬い土の道。果物や魚、揚げ物の匂いに、人々が行き交いザリザリと歩くたびになる足音。肉屋の前で世間話に夢中な主婦たちに、金物を渋い顔で吟味している親父さん。

 俺の傍を楽しそうに走り抜ける子供たち。忙しない喧騒から顔を上げれば、空は高く青かった。

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