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フヨフヨ  作者: 猫田一誠
01 名無しの国
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フヨフヨ学習帳 幼年1組 なな 01

あたしが最強の付与術士になるために。その1。



そう。あたしは付与魔術で世界を獲る。


…その予定だ。



そんなあたしにも、己の軌跡を振り返る時がくるかもしれない。


その時の為、あたしはあたしの成長記録を残そうと思う。




付与術:強化


生物や物体に付与すれば対象を強化できる。一瞬すげえと思った。

でも、強化の属性を指定しなければ効果を発揮しないんだ。


副次効果を追加することで、特定の能力に限定して強化するみたい。


例えば、付与術:強化:筋力。こんな感じだ。


何を強化するか。それを追加指定しないとダメなんだな。

指定可能な項目は、技能に表記されるみたい。


強化の強さは、魔力を沢山使えば強くなるんだ。



ちなみに、技能に付与術:強化。とあるものは、対象が指定されていない。


もう少し練習しないと強化付与使えないぞ?



生物付与での強化だと、強化:魔力、強化:瞬発 などなど。

だけど、これにも相性があって、例えば、筋肉男の筋力を強化するとすげ~強くなる。

でも、ひょろい奴の筋力を強化してもたいしたことねぇ。


得意なところを強化してやるといいんだな。



物品付与での強化だと、武器に対して、強化:鋭利、強化:貫通。とかだな。


でも、鈍器を鋭利に強化したりとかは意味ないんだぞ。

貫通とかも、ちゃんと貫通する物体に付与しないと駄目なんだ。



なんか使えなさげだな?



結論。なんか面倒そうだからパス!




付与術:祝福


強化の上位付与術。強化内容の指定が要らない付与術。全部強化するんだ。


ただし、効果は落ちる。なら魔力いっぱい使えばいいんじゃね?

これなら難しいこと考えなくてよくね?祝福最強じゃね?



まずはこれだ!


とりあえず自分で試す。まずは軽めで。



…変化なくね?



うん、わかってた。


あたしの現在のレベルは5。雑魚だ。雑魚は強化しても雑魚、そういうことだ。


しかしそれでも、あたしは諦めない女だ。



予定通り、魔力全開だぜ!!



そのまま母ちゃんに腕相撲を挑んだが敗北した。



悲しくなってきた。


でも兄ちゃんに軽めにかけたら、物凄く喜んでいた。


やはりレベルか…。




付与術:停滞


これ、魔道具に付与してあったから、使えそうだと思って解析してみたんだ。そしたらできた。


なんかこれな、付与術に付与することしかできないみたい。


付与効果を永続化する為の付与術だ。



これ付与してたらいちいち強化のやり直しとかいなくていい!


お、こいつもしかしてできる子か!?

でもあたし気付いた。停滞が切れたら元の付与もきれるんじゃね?


なんて思ってたら、停滞は元になってる付与術の効果が消えたり、停滞自身を解除しない限り、ず~っとそのまま。



やるなこいつ。



本に永久付与の一種とか書いてある。


ほう、こんなのが他にもあるのか。でも載ってねぇ。この本使えねえ。




付与術:定着


これも魔道具に付与されていた。停滞や定着は、鑑定で表記されない。



なんでだ?


あたしの分析の魔眼なかったらわかんなかったぞ。こそこそしやがって。



とりあえずこいつは、術者とのリンクが切れた付与術が霧散して消滅するのを防ぐ付与術のようだな。



うん、どうでもいいな。こいつは放置の方向で。


それにしても付与術って、なんか貧弱だな。


術者が魔力と言う名のエサを与え続けないと時間切れで餓死する。

術者と遠く離れたりして、術者の存在を感じられなくなると寂しくなって孤独死。



なんて貧弱な奴らだ。だらしねぇ!


でもあたしは付与術士。こんな貧弱なフヨフヨ共を可愛がり、上手に働かせてあげなくてはならない。

あたしのようなイカした付与術士の元で働けることに感謝しろよ?フヨフヨ共。


うん、丁度いい。この際だ、この鑑定結果に表示されない付与効果をフヨフヨと命名することにする。




付与術:爆裂


本をペラペラめくってて、あたしこの付与術の記載見たとき、ピーンと来たんだ。

こいつはあたしに使われる為に生まれた付与術。


開発した奴は天才だな。あたしの次に。


で、なんでそう思ったか。



グフフ。


これを使えば非力なあたしでも害獣を倒せると思ったんだ。



どうやって?


それをこれから説明するぞ。簡単にな。



害獣「ふふふ、貴様がナナか。俺は害獣。お前を倒しに来た!!」


あたし「フ、お前はすでに死んでいる。」



ばこーん!!!!



これだ!



こっそり前もって触っといて、敵に爆裂付与しとくんだ。


起爆条件は…、そうだな。

時限起爆とかにしてな。



あ、三秒な。



そんであたしが指で害獣つつくだろ?


そんで言うんだ。



あたし「この指を抜いて三秒後にお前は死ぬ!」


害獣「あ~ん?何が三秒だ。なんともねぇじゃねぇか!」



3,2,1、ばこーん!!!!



こ!れ!だ!!


ヒャッハー!

テンション上がってきたぜえええぇぇぇ!!


これであたしも七星爆裂拳の使い手!!



フハハハハハハハ!!!


即!習!得!!


アヒャヒャヒャヒャ!!





ん?下の方にすごく小さい字でなんか書いてあるな。





注意)この付与術は生物に付与できません。




ざっっっっっけんなコラ!!

もう習得しちまっただろうがボケェ!!


どうすんだ!?あたしの天を握る野望はどうすんだ!?




終わった…。

あたしは伝承者争いに敗れて拳を封じられたダメな子だ……。





まぁでも結果だけみれば、非常に使える付与術だった。


爆弾製造術だ。トラップ設置術でもある。味方の射出武器も強化できる。



でもあたし、少し寂しいんだ…。

使える子なんだけど、なんだけど、そうじゃないんだ…。



でも、そんな微妙な子にも、光が当たる時がきた。

爆裂がな。いつのまにか指向爆裂に変化したんだ。


威力を最小にして、爆裂の練習してたんだ。

狩りの時、走り回るのめんどくせぇから、遠い位置にある物品に付与できないかって。


なんか、遠くに付与を飛ばすイメージで爆裂してたら、付与じゃなくて爆発が飛んで行ったんだ。

うまく言えないけどそんな感じだ。



指向爆裂って付与、本に載ってたから説明呼んでみた。

しかしこの本、使えねえと思ってたけど、実はいろいろ書いてある。



爆発の威力に指向性を付与した爆裂。



うん、さっぱりわからん。


そもそも指向性ってなんだ?ちょうどそこにいる父ちゃんに聞いてみよう。


指向性というのはうんたらかんたら。


うん、やっぱりわからん。



あたしは実戦派だ。とりあえずやってみよう。

爆発を最小にしてこっそりやってれば大丈夫だろ。試しに付与してみる。



お?


今までは起爆条件と爆破地点の設定だけだったのに、爆破面の設定と爆破方向の設定が増えてるな。



ん?


方向と面はセットなのか?


両方設定しないといけないのか。

方向を設定すると点設定はできなくなったな。



じゃあ爆破面はこっち、方向はこっち、と。


起爆は任意にするか。



付与した小石の周りに、的として別の小石を配置する。

とりあえず囲むようにしてみた。



そうそう、起爆条件な。


あたしは任意、接触、時限、衝撃、電流、振動、荷重、連鎖での起爆が可能だ。


いまのところな。


今回は任意。あたしが爆発しろって念じると爆発する。



さっそくやってみるぞ!



ポンッっと軽い音がした。


お?


指定した方向の小石だけ吹っ飛んでるな。

これが指向性ってやつか。



ん?


んん?


爆破したのに爆弾が残ってる。



なんでだ?



面設定を変えてみる。

小石の中心あたりにしてみた。


こんどは爆弾にした小石の爆破面から爆破方向に向けての部分がなくなっていた。




これは…。



もしや!!



再度、爆裂を付与。爆破面は先端付近。方向はその先。

起爆は任意で、爆裂に停滞も付与する。



ポンッ。



爆破方向の石が飛ぶ。他の石は変化なし。


石を補充する。



ポンッ。


補充する。


ポンッ。


補充。


ポンッ。



連続起爆!!!


一粒で二度美味しいってあれか!!



どうする?どうする?


兄ちゃんに言うか?言うか?


いやまて。まて。まてまて。



落ち着けあたし。クールになれ。



せっかくすげ~もんができたんだ。

驚かせて褒めてもらうのがいい。


いっぱいなでなでしてくれそうだ。



問題はお披露目だ。

いかにして皆の度肝を抜き。あたしの頑張りをアピールするかだ。



そう思って辺りを見回したら、部屋の中央には酒盛りしているゴツイ男達がいっぱいだ。


まったく、おまえらが酒盛りなんかしてる間に、あたし新技完成させちゃったぞ?



やはりこいつらにはあたしがいないとダメだな。




そして、初めて楽園に入った時、大男を拳でぶっ飛ばす筋肉男を目にした瞬間。


あたしに天啓が舞い降りたんだ。



おっちゃんのグローブに指向爆裂付与したら激強じゃね?


拳も無傷のはずだしな。


そもそもあの筋肉だ、ちっとくらい爆発くらってもピンピンしてそうだ。


よし、おっちゃんで試そう。爆裂パンチだぜ!


あぁ、なんかテンション上がってきた。



フゥー…。


フゥー…。


落ち着くんだ、あたし。



さあ、おっちゃん、見せてくれ。あたしに。伝説の暗殺拳を。




そしてあたしは見た。



ギンデムとかいう巨大な男だ。

少しひょろかったが、それは我慢してやろう。



これに対し、軽い拳を当てただけで肉体を爆破させる筋肉男!



これだ!これなんだ!



断末魔を聞けないのは少し残念だったが実験は成功だ。



グフフフフ。


これだけの成功を収めておきながら、あたしにはさらに連続起爆という奥の手もある。


次はおっちゃんに連続爆裂パンチさせてみよう。



百発な。



うん、夢が膨らむぜ!




なんかおっちゃんに摘まみ上げられた。


説明しろって?


クックック。


ああ!してやるとも!

あたしのすごさに恐れおののけ!!



そして兄ちゃん、褒めてくれ。

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