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フヨフヨ  作者: 猫田一誠
03 王都
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フヨフヨ学習帳 幼年1組 なな 03

あたしが最強の付与術士になるために。その3。



いよいよあたしも学生だ。


学校とは学ぶ場所。


これがいわゆる、修行パートというやつに違いない。

そしてあたしなら、ビックリするくらいの急成長を見せてしまうに違いない。



兄ちゃんに褒められるのだ。


グフフフ…。



付与術:幸運


対象の運が良くなる…?らしい。


そもそも運ってなんだ?

魔力全開で付与したら運は強くなるのか?


効果がよくわからん。


でも兄ちゃんは気に入ってくれたようだ。



付与術:通信


これは送信効果を付与した側から受信効果を付与した側へ、指定した情報を伝達するもの。


よくわからんが、声とか聞こえたり、景色が見れたりするんだ。



あたしが今選択できる情報は、音声と映像。


二つしかないが、兄ちゃんは大騒ぎだった。


そんなすげえ付与なのか?これ。

ロッテのスカートの中に放り込むくらいしか使い道ないかと思ってた。



この付与術には注意点があって、付与する時に、情報を共有するフヨフヨ同士でチームを組ませないといけないんだ。

でないと大事な情報が別のチームに漏れてしまうんだ。


チームを組ませるには、通信の付与をするときに、接続というまたいつもの見えないフヨフヨを使って繋げるんだ。

繋がった者同士が情報をやり取りできる。



とりあえずこの付与術、あたしよくわからん。


だから、兄ちゃんに言われた通りに付与している。



仕組みを理解するの、めんどくせぇ。

これからも兄ちゃんに任せちまいたい。


ダメだろうか…?



付与術:発煙


煙幕の魔法をアレンジして付与できるようにした。


これでもう尻にこだわらずに、どこからも煙が出せる。

煙は重要だからな、いろいろと。



煙は、色、種類、あたりが変更可能だ。


色は戦場に応じて臨機応変に対応だ。

あたしはいつもいつでも臨機応変な女だからな。得意分野だ。



そして種類。


これはいろいろあった。

いつもの、付与術にくっついてくるあたし以外には見えないフヨフヨたちだ。


煙幕…これはいつものやつ。なんかこのフヨフヨは煙を長時間維持する能力があるらしい。


可燃…こっちのフヨフヨはやばい、とにかく短気だ。ちょっと火花が走っただけで爆発を起こす。罠専用だな。


冷凍…このフヨフヨも危険。煙に当たると敵味方関係なく凍り付く。これも罠専用だ。


睡眠…このフヨフヨは使える。なんとこの煙を吸い込むとそいつは寝る。狩りが楽になりそう。


麻痺…こっちのフヨフヨは睡眠と似てるが、こっちは痺れて動けなくなる。敵の耐性次第で睡眠と使い分けだ。


毒……このフヨフヨは駄目だ。王国では人殺しちゃ駄目なのに。これは封印だな。



付与術:豊穣


これも幸運みたいなシンプルな効果だった。

なんかな。生えるんだ。育つ?


屋台のハゲ親父の頭に付与したら髪がわさわさ生えてきた。

付与を解除しても、成長が止まるだけで髪の毛はそのままだった。


一言でまとめると剛毛化の付与だな。

今度ロッテにかけてやろう。



ロッテが、使い方を間違えていますとか言ってる。



何のことだ?


毛深い女になるのは嫌なのか?



付与術:燃焼


付与した対象が燃えた。


簡単だがそれだけの付与みたいだ。



一応この付与術には少しだがフヨフヨがいる。


このフヨフヨ、術の内容は変化しないんだがくっつけると量に応じて火が強くなる。

火力調整フヨフヨだな。




さて、ここまでいくつかの付与術を習得してきたが、ある程度の習得数になった今。


あたしは魔道具作成をやろうと思う。



まずは、皆に共通してるやつ。

ビフレスト商会の標準装備だ。



廃棄場で愛用していた浄化の付与された外套に、解毒の付与された首飾り。


これは首飾りが通信具と装着部位が被るので、首飾りの鎖を外して外套にくっつけた。

なので現在は外套に、浄化、解毒、障壁が付与された状態になっている。


ちなみにあたしの外套だけは浄化と解毒のみだ。

障壁は自分でできるからな。



そして代わりに装備する首飾りは音声通信具。

送受信可能なやつな。


首飾りが二股になってて、片方のガラス玉は音声受信。

こっちは耳に突っ込むんだぞ。


そんでもう片方についてる銀細工。

これは音声送信だ。

これに向かってしゃべるんだ。


兄ちゃんの言う通りに付与したらこうなったんだ。



さらに祝福と幸運と道標を付与した位置情報の周知と強化用の指輪。

位置情報が分かるのはあたしだけだが。



ここまでの魔道具は皆に配布済だ。

つまり、商会員の標準装備となる。




次は映像通信具だ。


事件捜査していた時にやってた、自分に受信付与。

正直、これ二度とやりたくない。


映像いっぱいで頭痛くなるんだ。

だから兄ちゃんに対策を考えてもらった。



それは、大きな鏡に映像受信を付与したもの。

これに映像送信具を一つだけ接続する。



ひとつの鏡に映像が複数あると見にくいからだ。



…って兄ちゃんが言ってた。



受信する鏡はビフレスト商会に配置する。


後日、情報を取り扱う部署とかできたらそこに置くって。


これも兄ちゃんだ。



送信するガラス玉を付けたアクセサリーは、衣服の好きな位置にピンで止めれるようになっている。


映像送信具をもっているのはあたしと兄ちゃん。

あとはおっちゃんと、諜報組のメンバー。


それと、ビフレスト商会の敷地内にも配置してある。

こっちは防犯目的みたい。


さらに特殊な例として、ロッテの眼鏡の付与効果を改造、あたし自身と接続した映像送受信を付与してある。


これはロッテの見た人物の映像をあたしに送信して、あたしがそれを鑑定。

必要に応じてその映像をロッテに送れば、魔眼の映像が見れる。という訳だ。


なのでロッテの眼鏡は左右のレンズにそれぞれ送受信を付与してある。鑑定メガネだ。


必要になる時があるかもしれないので、同様の眼鏡をいくつか作成して兄ちゃんとおっちゃんも所持している。

護衛組、諜報組、狩猟組の各リーダーにも一つずづ配布済だ。


ただし、このメガネはちゃんとあたしに断ってから使わないとダメだぞ?

あたしが自分に映像通信付与かけないと機能しないんだからな。



次は隠蔽魔道具だ。


これはあたしと兄ちゃん、それとおっちゃんが装備してる。

貝殻のアクセサリーに、幸運と隠形:抗魔を付与した、鑑定阻害魔道具だ。



最後にあたしが不動障壁を使用する時に足場とする障壁。

これを靴に付与して魔道靴とした。


これは兄ちゃんからのリクエストだ。



単純に、魔力を流すと靴底に最小の不動障壁を生成するものだ。


空中とか水の上とかでも走れる優れもの…、のはずだった。



でも一歩につき一枚の不動障壁は、魔力の減りがすごいらしい。


結局、あたしと兄ちゃんだけがこれを装備している。

兄ちゃんには立体機動の恩恵と噴射の魔術があるから、兄ちゃんにはすごく便利らしい。



後は、装備するってわけじゃないが、一般販売用の魔道具だ。


試作品ということでロッテの親父に見せるって言ってたな。



とりあえず無難なやつで。

ってことで作ってみる。



試作1)金属の棒の先端に、熱に強い金属を取り付けた物。これの先端に最小威力の燃焼を付与する。着火具だ。生活用品だな。


試作2)安物の首飾りに、隠形:消臭を付与した。肉体労働者におすすめだ。汗臭いのはダメだからな。


試作3)安物の腕輪に、円盤障壁を付与した。これなら後衛だって盾を持てるぞ。腕輪は軽いからな。


試作4)父ちゃん作の銀細工に、幸運を付与した。ギャンブル好きなあなたに。シルバーパワーの効果を!


試作5)父ちゃん作の銀細工に、祝福を付与した。冒険者とかが買ってくれそうな気がする。


試作6)安物のマントに、身体障壁を付与した。魔力を流せば障壁、つまり防護幕に保護される。防護マントだ。


試作7)金属の棒の先端に、穴を空けた物。これに発煙を付与する。ただの煙だ。色は赤、青、黄、緑。4色用意した。発煙筒だ。



こんなもんでいいか?おっちゃん。



付与術:消去


この付与術。


あたし、どうして今までこれ習得しなかったのか。



よく考えたら、これものすごく重要な付与術だった。


敵にやられてから気付いたんだ。


その時、天の声?神様のお告げ?みたいなんがな?

凍てつく波動じゃあ。とか、よくわからんこと言ってた。


まぁ、それはいいとしてだ。


この消去って付与術。

これをやられると、あたしはただの子供になってしまうんだ。



まさに天敵!



そしてあたしは天敵と出会ったのだ。



奴の名はマゾ!!


なんかダメな人っぽい名前だが本当だ。

兄ちゃんが言ってたんだ。



そんでそのマゾにあたしの付与術、消去されてやられちゃったんだ。



わかりやすく例えるとな?

あたしがマゾに爆裂拳食らわすとするだろ?


そしたら…。



あたし「貴様の命はあと三秒!」


マゾ「おもしろい、ならばその三秒数えてやろう!」


マゾ「ひと~つ、ふた~つ。…みぃ~~つ!!」



ここで、ばこ~ん!ってなるはずが、何も起きねぇ。


あたし「む!?」


マゾ「フハハハ!!」



ズバァッ!ってやられるあたし。


あたし「ぐあ!!」



マゾ「フハハハハ!この体には爆裂拳はきかぬ!!」


あたし「バ…、バカな!!確かに爆裂を付与したはず!!」



マゾ「貴様はこの体に流れる帝王の血に負けたのだ~~~~!!!」



そんで紙一重で敗北するあたし。


あの時の戦いはこんな感じだった。



とにかく消去やべぇ!!


何か対策を考えないと駄目だ。

兄ちゃんに考えてもらおう。



振り返ってみると、修行パートだってそう思ってたのになんかあんまり修行してない気がする。


おばちゃんやっつけたり、腰巾着やっつけたり、悪の親玉やっつけたり、害人と黄色鬼やっつけたり。



うん、やっつけてばっかりだな。



まぁこれは仕方ない。


あたし現れるところに乱あり。


とか言うしな。



でも今回はマゾとかいう女に痛い目にあったからな。


それに、チータと友達になる為にも、修行パートが必要だ!

あたしはさらに付与術を極めないといけないのだ!


それにしても、吠え面って何だろうな?


顔面に作用する付与術にそんなんがあるんかな?

それ、できるようになったら友達になってくれるんかな?


チータの顔を変にする付与術か…。



兄ちゃんかロッテ、知ってるかな…?

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