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そして俺は今日も戦場に立つ  作者: ののくん
623AR作戦編
7/28

ブラックスプリング1903

「クッ、クロス・S・ラフレだと!馬鹿な、戦場にSの名のつく人間がいるもんか。はったりに決まっている!」

 敵は、驚いている、いや、恐れている。もしそれが本当なら、彼女を殺せば、世界が敵になることを知っているから。

 クロス・S・ラフレは、世界の英雄クロス・N・グリットの娘だ。彼女が死ねば、世界中の人間が悲しむことになる。英雄の娘。それが戦場に立つということは前代未聞の事態である。

 「じゃあ、ここで私を殺してみなさい、そうすれば父上があなたを許さないけどね」

 敵は彼女を殺せない。もし彼女が言っていたことが本当なら、クロス・N・グリッドが来る。

 クロス・N・グリッドの活躍はそれほど偉大だった。彼の活躍はほとんどの国に賞賛され、その影響で帝国と同盟を組む国は多かった。アーリアは、世界の中心にある国で領土も広く、軍事力も大きかった、が、その周りにある国のほとんどが敵つまり、帝国と同盟を結んだ国だった。

 「...ああ、分かったわ、じゃあこうしましょう。そこにいる男、『ドット・N・フリーズと一騎打ちで勝負しなさい、もし彼が勝ったら『炎化薬』はいただくわ。もし、あなたが勝ったら、私はこのことを無かったことにしてあげる。これでどう?」

 (...は?)

 いや、待て。つまりあのバーナーズと戦えと?バーナーズは基本不死身なんだぞ、俺に死ねと命じてるようなものだ。

 敵はこっちを見た。あれは弱そうだなと思っているのだろうか。

 (なめられたものだな。ならこれを使うしかないか)

 「いいだろう!その男となら、本気で戦える」 

 「決まりだな、頼むぞノミ虫」

 ノミ虫、Nがつくからそういっているのか。まあいい。命令なら仕方ない。

 「承知しました、クロス・S・ラフレ様」

 「決闘に制限時間は無い、存分に戦え」

 バーナーズは基本不死身だ。自分が纏っている炎がある限り誰にも殺せない。銃弾は、その熱さで溶けてしまい、水は当たる直前で蒸発してしまう。普通では考えられないが、それがバーナーズという種族だった。

 「決闘はこの弾が落ちたとき始める。よいな」

 「いいだろう」

 「了解」

 俺は背中に背負っていた武器を取り出した。

 ボルトアクション式の狙撃銃スプリングフィールド1903、全身が炭のように黒くなっている一見ボロボロな銃だった。

 「フッ!フハハハハハハハ!なんだその銃はそんなボロボロで大丈夫なのか、最もどんな銃だろうと今の俺には効かんがな、炎化薬は飲むと5時間バーナーズになれることのできる魔術兵器だ。バーナーズとなった今そんな武器蟻以下だ!」

 「ふん!そこまでこの銃の恐ろしさを見たいか。いいだろう。一つ教えてやる、貴様はバーナーズには弱点が無いと思っているようだが、それは間違いだ」

 「?」

 その瞬間クロス・S・ラフレの持っていた弾は中に投げられた。兵の屍がそこら中に散らばった、静かな戦場で、弾は高く宙に浮き、最高点に達しって、落下を始めた。

 気づいたら周りには誰もいなかった。さっき重傷を負っていた仲間も死に、あたりは静寂に包まれていた。

 「制限時間はない、つまり死ぬまでということですね、ラフレ様」

 「無礼者、気安く名前で呼ぶな」

 そうだな、だが、その返事は『その通りだ』と言っているように聞こえた。

 

 コン!

 

 弾が、落ちた。


 ダン!


 引き金を引いた俺は、敵の間抜けさに笑った。

 「な!?何!?」

 敵はどうやら本当に何も知らなかったようだ。

 「見たか、間抜け、これがお前の弱点だ」

 弾は敵の右腕を貫いた。本来ならここで弾は解けているが、俺の撃った弾はやつの腕を貫き、傷口から赤い血が出ていた。

 「馬鹿な!」

 「確かにバーナーズは不死身、基本的には。だが弱点がある」

 「グアアアアアア!!なっなぜだああ!!」

 「この銃と弾、実は魔法で強化されていて、どんな熱でも耐えられる。そしてお前の弱点は『火石』だ。バーナーズには火石という人間で言うところの心臓みたいなものがある。それを砕かれた瞬間、バーナーズは、灰となって消滅する。俺には火石の具体的な位置が分からなかったため、少しはずした。バーナーズの火石はその人間が最も燃えているからだの部分にある。お前だったら、右腕だ。」

 敵の右腕は、常に燃えていた。だからこそ俺は、火石の位置が大体分かった。

 「クソ!クソ!クソオオオオ!!」

 ヤツの体は足から消滅した。きれいさっぱりに。

 「しかし、よくこれを調べたな、Nが名のつく軍人は差別されていて、こういう情報は隠してあるはずなのに。しかも銃を強化なんてどうやったのノミ虫」

 「このくらいの情報図書館にある。魔術強化は、知り合いに頼んで作ってもらった。黒くなったのは、魔術の流れを見えなくするため。そうすれば、敵に魔術強化された武器だと気づかれない」

 基本、魔術によって強化された武器は、青い血管のようなものがついている。だから、簡単に見分けられる。俺はそれを避けただけだった。

 「フーン、意外とやるわね、ノミ虫からN風情へと昇格させてあげる」

 「それより聞きたいことが山ほどある」

 そうだ、俺はまだこいつのことを何も知らない。

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