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そして俺は今日も戦場に立つ  作者: ののくん
死の復活
23/28

俺に自由なんてなかった。昔から、生まれる前から。ずっと牢獄に閉じ込められていた。そしてその牢獄のそばにはいつも光があった。どんな暗い場所でも、必ず俺を救ってくれた光が。

 前世は母が、今はエリカが俺を励ましてくれている。俺は救われてばっかだ。

 だからあの時死ぬ直前、誰かを救いたいと願っていた。

 それが、今だった。


「よう!!クロス・N・グリッド!!!」

「貴様!やはり私の邪魔をするつもりだったな!!すぐに立ち去れ!!」

 やはり呪いは効いていた。体が帰ろうとしている、だが。

「断る!!!俺はもう奪われない!!そいつを助けて、自由となる!!」

「なっ!呪いが効いていない!?」

 重い!!これだけ重いのは初めてだ!!体が動こうとしない!!

「いや!呪いは効いているさ!だがこの呪いは俺の行動を制御するだけで、俺の意思は制御できていない!こうやって無理やり体を動かしていけば!彼女を救える!!!」

 なんだ?視界が赤い。目から血でも出ているのか。いや全身から血が出てる。痛い。

 だが!彼女の命に比べれば、安い!!

「さあ!返してもらうぞ!彼女を!!」

「くっ!すぐに殺せ!命令だ!!」

 周りの護衛が銃を向けて撃ってきた。はっ!その程度俺に通用するとでも!!

「ぐはっ!」

 へへへ、血だらけだ。だがちっとも痛くない!痛いのは呪いの痛みだけだ!!

「コイツ!!もういい!連行しろ!!」

「だめです!!コイツ!ちっとも動きません!なんだこれ!?鉄みたいだ!」

 動かせるものなら動かしてみろ!!俺は、そう簡単に、壊れはしない...。

 なんだ、また意識が...、クソ!体力の限界か...。もう...前も見えない...。

「はっ!やっと倒れたか。時刻は9時20分!これより、世界の英雄を殺した大罪人!クロス・エリカの処刑を行う!」

 意識はない。だが聞こえる。まずい、体が動かない。力がない。

(たのむ!動いてくれ!)

 だめだ、まるで深海にいるようだ。体が重い。このまま死ぬのか。

「それだけはだめだ!」

「コイツ!また目を覚ました!」

「馬鹿な!そんな出血で動けるはずが!?」

 どうやら俺は血だらけのようだ。自分ではもうよく分からない。呪いの痛みと体の重みで体が動かない。

 まずい、死ぬ。また、死ぬ。クソ!俺はずっと救われてばかりだ!だから...救いたい。

「まだ!!死ねない!!!」

「化け物め!!これで死ね!!」

 ダンッ!

 なんか聞こえた、痛い。これは銃弾。心臓に直撃。これは、死んだ。

 ふざけるな!まだ死ねないと言うのに!まだ、何かあるはず。何か、何か。

 祈る。祈るしかない。まだ死ねない。口は動くか?よし動く、まだ誰かに祈れる。

 誰に?いや、誰でもいい。死ぬ前に、何とか大声で、助けを。彼女を助けなければ。

「わ...我が...望むのは!」

「魔術か!そうはさせない!防御を魔法を張れ!」

 違う。これは魔術じゃない。ただの悪あがきだ。でも、それでも彼女を救ってくれる人間がいるかもしれない。

「人を...救いたい!!だから!!そのために力がほしい!!だから誰か!!!彼女を救ってくれ!!!それができないなら俺に救う力をよこせ!!いや力をください!!!誰でもいい!!!何でもいい!!!兵器でも、神でも!何でもいい!!!どうか!!!どうか!!!彼女を救えるだけの力をください!!!!!」



 気づいたらなぜか海にいた。深い、深い、海のそこ。とても暗い。でもなぜか安心している。

「フフフ...イイダロウ、スクッテヤロウ。カノジョヲスクウチカラヲヤロウ!ワガナハ『シ』カツテスベテヲシハイシタカミダ」

 そうか、お前が『死』、へへ、こんな近くにいるのかよ。まあいい、それで彼女を救えるなら。

「アア、タダシジョウケンガアル...」


 はっ!いいだろう、面白そうだ。その条件受けてやる。

「ジャアヨロシクドット・エヌ・フリーズ。アトハマカセテ」


「「さあ!共に世界を変えようぞ!!!」


 気がつくとそこは処刑台だった。

 私は死ぬのだろうか。

 ...ん?煙?

「お前は!まさか!『死』なのか!」

 父上の声が聞こえる。誰と話しているのだろう『死』って誰?

「ああ、久しぶり!クロス・N・グリッド!153年続いた君達の我がまま壊しにきたよ!」

「クソ!!彼女がどうなってもいいのか!!」

 彼女?私のこと?でも、私を救おうとする人なんてあの人しか...。

「その前に君に死んでもらえば別に問題ない!じゃあ、遺言聞いている暇ないし、じゃあね!君の考えはゲス過ぎた!」

 あ、目の前で父が死んだ。何が起きているのだろう?でもなんか、嬉しい。彼が救ってくれた気がするから。

 なんか、眠い。もう寝ようか。起きたら、死んでるかもしれないけど。まあ、いいか。



 起きたらそこは、海だった。何があったかはまるで理解できない。

「フリーちゃん?」

 隣には彼がいた。助けられたのかもしれない。呪いを振り切って。

「...ありがとう」

 彼が起きたら、礼を言わなくちゃ!

 夜空はとてもきれいだ。そうか、こういう時のために空が晴れていたんだね。

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