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そして俺は今日も戦場に立つ  作者: ののくん
死の復活
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魔女裁判

 帰るとあのヴァンパントがいた。

 笑ってこちらを見て手を振っている。

「お前の指示のおかげで、何とか勝てた、感謝する」

「いや、すごいのは君の演技力さ。それより自己紹介がまだだったね。僕の名前はゼノ・S・ディグルス、ゼノでいい」

「S?」

「ああ、僕はヴァンパントの国、ヴァルデラ帝国の皇帝さ。ああでも君と私は同じ地位として扱っていい。すごく気に入った」

 何が気に入ったのかは知らないが。彼の言葉によって呪いは発動しなかった。

「おい、帰ったぞ」

 見たとき驚いた。なんと彼女はいなくなっていた。監視官もいないことを考えると風呂か。

「はあ、もうヤツの相手はめんどくさい、風呂はヤツ一人のほうがいいだろうし、ここで待っているか」

「君たち本当に仲がいいね~。一緒に風呂に入るくらい仲のいい人間は珍しいよ。しかも男女で、もしかしてそう言う関係?」

 ...言われてみれば、俺たちの関係はどうなんだ。

「えーと、否定しないの?」

「いや、俺たちの関係がどういうものなのか、全然考えたことないなと思っただけだ」

 今のところ友達なのだろうか、しかし友達でもここまではやらない。それは親友も同様。かと言って告白されたわけでもないし、夫婦でもない。どういう関係なんだ。

「まあ、いいか。だが、彼女はどこに行ったのかね~?」

「お前も知らないのか?」

「当たり前だ。僕はクロス・S・グリッド以外に興味がない。僕がこの計画に賛同しているのは、彼の計画に興味があったから。僕は彼にも興味がない。僕が興味があるのは彼の計画それだけだ」

 どうでもいい。あの計画に賛同している人間に興味はない。

 俺は彼女をそこで待つことにした。彼女といると安心する。周りがゲスしかいないからだろうか、あの小悪魔みたいな笑顔、研究員らしい白衣とめがね、何もかも俺の癒しだった。

 俺と彼女との関係は別に深いわけでもない。だがそれでも彼女以外なかった。この世界での楽しみ、癒し、俺のすべてが彼女だ。

 彼女がいなくなったら俺はまた、あの殺戮兵器になっているだろう。いや、今度はもっとひどいかも知れない。だから彼女は守りたい。彼女は孤独だ。俺がその牢獄から解き放ち、彼女を守りたかった。

 彼女は俺に約束した。すべての感情を取り戻してあげると。あの休暇の日、夜空を見ながらした約束だ。

 しかし、そんな彼女が消えた。風呂から出てこないので確認しても彼女はいなかった。彼女が外に出れるのは風呂以外ない。

 何かがおかしい。

「おいヴァンパント。彼女は本当にどこに行った」

 だがすでに彼もいなかった。研究室には誰もいなくなった。

(おかしい)

 俺は研究室を後にし、クロス・N・グリッドのところへ行った、が彼も消えていた。

「なに?裁判?」

「はい、クロス・S・ラフレ様の殺害事件の犯人を裁く裁判です」

「何!?あのラフレ様が!?犯人は誰だ!」

 呪いか、俺はあせってる。

「ええと、犯人は...クロス・S・エリカでございます」

「...なんだと」

 いまコイツはエリカと言ったか。いや間違いない、この狭い廊下でコイツの声が聞こえないはずがない!

「裁判所はどこだ!」

「ええと、軍に関係する裁判でしたらこの基地の西塔にある小裁判室で行われます」

 すぐに聞いて走った。

(馬鹿な、彼女がそんなことできるはずがない。武器に細工をしようにも彼女にはそんなことはできない。した場合監視官が言うはず。そもそも彼女がそんなことをする理由がない。そんなことをするのは無駄だと理解しているから。そうだ、彼女じゃない!)

 裁判室!ここか!

 扉を開くと そこには多くの人間がこちらを向いた。世界の英雄の娘を殺した犯人だからか、部屋いっぱいに人が集まっていた。

「フリーズ君、今は裁判中だ。任務の報告なら後にしてくれ」

「任務のことじゃありません。これはどういうことですか。彼女がやったと言う証拠でもあるんですか!」

 彼女は俺を見ていた。

 俺は必死だった。汗も今まで掻いたことのないくらい大量にでていた。

「はあ、フリーズ君。君はここの裁判官でもなければ証人でもないんだ。ここから出て行きなさい」

「あ!待て!...!」

 体におもりがついたように体が重くなった。

 呪いが!クソ!

「まあいい。そこでじっとしていなさい。裁判は見せてやろう」

 違う、お前のそれは俺の前彼女を殺してやるから黙ってみてろと言う命令だ。

 ヤツは確実に死刑にする。彼女は必要じゃなくなった、だから切り捨てる。ラフレを殺した犯人にしたて、殺すんだ。ラフレもいらなくなったから無茶な作戦ばかり押し付けたんだ。だから銃がすぐ壊れたんだ。

 クソ!呪いさえなければ!

「ええ、では観客も一人増えた。もう一度今の尋問をします。ちなみに彼女には嘘をつけなくなる魔術をかけた第12位魔法『ライ・バン』をね。ええ、クロス・S・エリカ、あなたはラフレの持っていた銃に細工し殺害した。違いますか?」

「その通りです。私がお姉ちゃんを殺しました」

 何だと!?馬鹿な、そんなはずがない!

 よく見たら彼女の目が違う。いつものあの目じゃない。あれは人形だ!

「犯行の動機は?」

「私は、いじめられていました。お姉ちゃんに、ずっとウザイと思っていました。だから殺しました」

「まあ、なんて卑劣な人間」

「ああ、まったくだ。こんな人間生きている価値すらないんじゃないのかね」

 周りの人間がざわめき始めた。どれもクロス・S・グリッドにだまされて...笑い声?

 かすかに聞こえる、なんだこの不気味な笑い声は、まさか。

(ここにいる人間は皆ヤツの部下か!クソ!これじゃ魔女裁判だ!)

「どうだねドット・Nフリーズ。これで分かったろう。だから君は、とりあえずここから立ち去りなさい」

 クソ!命令で!また体が!

 俺は裁判室を出た。だが、最後まであの裁判を聞こうと、扉のそばで中の音を聞いた。

「ええ、では判決を言い渡す。クロス・S・エリカ、死刑」

 ふざけるな!彼女は何もしていない!

「クソオオオオオオクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソオオオオオオ!!!!!!!」

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