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そして俺は今日も戦場に立つ  作者: ののくん
死の復活
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もう一人の転生者

「最悪のタイミングだ!こんなとき、コントロールウェポンがないのはさすがに無理だぞ!」

『ああ、加えて、敵はB29が17機、グランドコントロールに基地にいる兵器全部。心が折れそうになるなあ』

 お前は指示を出すだけでいいが俺はそれを敵に回してんだ。心が折れそうなのは俺のほうだ!

『とりあえずこの状況はすごくやばい。逃げられるなら逃げろ。10分逃げて無理なら次の指示を出す』

「やるだけやるさ!P38!死にたくなければ全力で逃げろ!」

 もう魔力をかなり使っている。このままでは魔力が尽きて落ちるか、敵に殺されるかだ。

 B29はどうやら全力で殺す気らしい。機関銃をこちらに向けて撃ちまくってる。

「どうやら俺は、スズメバチの退治にこさせられたようだ!」

『ああ、だが敵はただのスズメバチじゃないよ。彼らはおそらく狙っている。君のP38の魔力が尽きる瞬間を』

 P38のエンジン音はとんでもないくらい大きくなっている。避けるのが精一杯らしい。

 だが大自然は俺を逃がすつもりはないらしい。

「な!?」

『驚いた。もう決まりだ、敵は人間ではない。人間の姿をした神だ!』

 針山地獄。一言で言うとそうだった。あたり一面針のように鋭い岩が俺を囲み出られないようにした。高さはどのくらいあるのだろうか。針の影響で基地は見えなくなり、敵の攻撃をかわす範囲も狭くなった。

 どれだけの魔力を使うと思っている。どうやらヴァンパントの言ったことが本当かもしれない。敵は神だ。



「ウェポンコントロールもこの程度か。なめるなよ、俺はあの地獄を...『ナガサキ』の地獄を体験したんだ、味わえ俺の全力!」

 


「チッ、なめやがって。こんな針山、あの『ヒロシマ』と比べたら。そうだ、俺は2度もすべてを奪われた。『ヒロシマ』での苦しみを思い出せ!」


「『ナガサキ』と比べたら...」


「『ヒロシマ』と比べたら...」


「「お前など!!取るに足りないものだということを教えてやる!!」」


 二頭の獅子はともに地獄を見てきた。彼らはどちらも故郷を奪われ、命を奪われ、家族を奪われここに立っていた。そんな彼らが争いあうのは必然であった。彼らは自分たちがみた地獄があり、自分たちが信じる正義がある。

 そして彼らは今、それぞれ正義を背負い、立った。

 彼らの決着の場(戦場)に。



 そこは何もない空間だった。周りは針山で誰もこれず、B29もP38の対処に向かい何もない、誰もいない空間のはずだった。

(リボルバーの修理のためP38から降りたが、まさかコイツに出くわすとは)

 目の前には男が立っていた。年は俺と同じくらいだろうか。身長もほとんど変わらない。茶髪、そして目は軍人の目ではなく、俺と同じ目をしていた。地獄を見た目、すべてを奪われた目、その目は何も見ず、ただ自分の勝利を見る。

「はじめましてだな、グランドコントロール」

「ああ、そうだな、ウェポンコントロール」

 俺たちは獅子だ。ここはコロシアムだ、観客のいない、静寂の戦場。

「なあ、ヴァンパントこの場合どうすればいい」

『うーん、確かに君の武器は強いが故障。さらに直ったとしても操れる兵器がない。君のほうが不利だね』

 まったくもってその通りだった。半径20メートルほどの円の中、そこには兵器はなく、ただ地面だけがあった。あまりに不利すぎる。

「そのリボルバー、故障しているだろ、早く直せよ」

「なめられたものだな。だがま、お言葉に甘えさせてもらうぞ」

 リボルバーの仕組みは大体分かっていた。修理は簡単で、すぐ終わった。

「さあ、武器も直ったわけだ、そろそろ決着をつけるぞ」

 このリボルバーの能力は兵器を操ることじゃない。絶対に銃弾をはずさないというのがこの武器の能力。地面を盾に変形しようとそれを無理やり突破させる。考えれば考えるほど敵が弱く見える。

 だがヤツは休む暇を与えないようだ。

 グラッ!と地面が傾いた。体勢が崩れ、引き金を引き逃した。

 敵はその隙を見逃さない。すでに敵は俺の真下に来ていた。

(!?速い、だが!)

 罠に気がついたのか敵は一瞬で引いた。

「よく分かったな。俺が魔術を使えないとでも思って突撃するかと思ったぞ」

 第17位魔法フォール。対象の地点の人間の体勢を崩すだけの弱小魔法。学校のいじめにしか使えない魔法だがこの場合、俺を殺すチャンスを失い、引き金を引くチャンスを作る対人では強力な魔法だ。

「お前の目は俺と同じ、勝利しか見ていない。このくらいの罠回避すると思った。さすがだな、グランドコントロール」

「レオだ、レオ・N・シャザク。それが俺の名前だ覚えな」

「丁寧に自己紹介どうも、だがお前、そこ危ないぞ...」

「!?」

 第17位魔法フォール、まさか二つも張ってあるとは思っていないようだ。

 まんまと罠にかかった。

 俺の銃は引き金を引けばすぐお前に当たる。回避不可能!俺の勝ちだ!

「大地の力をなめるな」

 どうやら敵の攻撃を予測したらしい。剣は地面に突き刺したままだった。

「いくら俺でも、この程度の銃弾防ぐなど容易い」

 また壁を作った。防御だけは鉄壁だな。

「お前、やっぱり強いな。対人戦は久しぶりだから腕がなまったか。油断した」

 正直、今のでやれたと思っていた。

 そういえば俺が今敵にしているのは、神様並みの精神力と魔力を持っていた化け物だったな。

「楽しませてくれよ!レオ!!」

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