リベンジマッチ
「ドット・N・フリーズ、休暇が終わった直後で悪いが仕事がある」
2週間の休暇が終わり、帰還した俺にはすぐにヤツからのプレゼントがあった。ジェノサイドの壊滅だった。
「ああ、内容は分かっている。だがなぜお前がいる。吸血鬼化人類」
目の前にいるのは人間ではなかった。銀髪の長い耳、そして長い牙。
「うーん。クロス・S・ラフレ様が現在任務中でね。グリッド様は牢獄とか反吐が出るほど嫌いで。かと言って別の種族が言ったらバレる。最も裏切らない、かつバレない私がここにいるわけだ」
なるほど、アイツらしい。自分の計画がバレる可能性があればどんな些細なことでもその可能性を排除する。俺の休暇もその一つだ。
「グランドコントロールに負けないように気をつけるんだ。ところで君、なんで女の子を膝に乗せているの」
「ああ、気にしないでくれ」
もはや、この空間に落ち着きを感じてきてしまった。別に女の子を膝に乗せて嬉しくもなんともない。だが、あの休暇中ずっとコイツの我がままに付き合っていると、慣れすぎてしまい、離れなくなってしまった。
「おい、任務があるそろそろ俺の膝からどけ」
「分かったわ」
彼女が立ち上がると俺はすぐに軍服を着て、P38に乗り込んだ。
あのヴァンパントは日に弱いらしく傘をさしていた。
『任務中は私が指揮を執る、いいな?』
「ああ、分かった」
下を見ると彼女がいた。相変わらず鎖はついたままなので遠くから手を振っていた。
行ってらっしゃいとでも言っているのだろうか、俺は彼女の顔を見ながら離陸した。
前とは変わった様子がない。ダークイービル基地『ジェノサイド』、そしてグランドコントロール。
「さあ、待たせたなあ。ダークイービル!リベンジマッチだ!」
前と変わらない対応、B29が7機、そして。
「でやがったな!グランドコントロール!」
突如、岩が槍のように鋭くなりP38は危うく串刺しにされるところだった。
B29、アレ以上に恨むべき戦闘機はないだろう。あの日あの爆弾を落としたのはあの機体だ。俺の親の第二の仇。
「前回のように遊んだりはしない。貴様らの機体すべてもらう!!」
すぐリボルバーから七発撃った。もう容赦はしない。そう命じられたから。
だが同じ手は二度通用しない。弾はすべてはじき返された。あのグランドコントロールは地面をタコの触手のように曲げ俺の弾をすべてはじいた。
「やはりそうは行かないか」
『どうやら敵は君の武器に気づいたようだね。よしこうしよう、基地を狙え。そうすればグランドコントロールは基地の防御に集中するはず。それをかわしB29を撃て』
「了解した!」
クロス・S・ラフレとは違い、いいサポートをしてくれる。やはり彼女は本当におばかさんだったようだ。
「P38!基地に攻撃開始!!」
毎日整備と点検をした会があった甲斐があった。驚くほど調子がいい。
さらにスプリングフィールドを構えた。魔術強化された武器と尋常じゃない威力を持つ生物兵器。これならあの硬い防御魔法を崩せる。万が一B29を狙った攻撃がバレても、どちらかは壊せる!!
左手でスプリングフィールドを構え、右手でリボルバーを構えた。
グランドコントロールは基地を選んだ。あの時同様ドーム状のシェルターを作り基地を守ろうとした。
『読みどうりだ!すぐにかわせ!』
「ああ!くらえ!ウェポンコントロール!!」
引き金を引いた。また流星が空高く打ち上げられた。
弾はしっかりとB29に目がけ飛んだ。当たった...はずだった。
「失敗だなヴァンパント。相手本当に人間か?一度に二箇所の大地を操るなんてほぼ不可能だぞ」
『計算外だ。さすがにこれはまずい。持久戦に持ち込めたとしても敵の魔力の残量分からない。銃弾はいくつある』
「あと、83発十分すぎるくらいだ」
確かに十分だ。だが、P38の魔力残量が持たない。持久戦は得意だが、あまりに長引くとつらい。
「クソ、どうやら休ませてくれないようだ。B29の増援、10機ほど。17対1さすがに危機感がでてきた。次はどうする指揮官!」
『じゃあ、弾ある限り撃ちまくれ。グランドコントロールがどれほど我々の攻撃を回避できるかによって勝敗が決まる。とちあえず撃て』
カチッ!
(ん?どうした、弾切れはしていないのに撃てない?)
これは、本当にまずくなった。
「なあ、ヴァンパンとこのリボルバー、名前はなんだ」
『ん?そんなことを今聞くか?まあ一応コルト41ライトニングだが?』
P38ライトニングとコルト41ライトニングか、名前が偶然かぶるのは別にいいだが。
「壊れた」
『え?なんて?』
「リボルバーが壊れた!クソ!こんなときに!!」
『ええええええ!?』