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そして俺は今日も戦場に立つ  作者: ののくん
ダークイービル基地「ジェノサイド」壊滅作戦編
10/28

兵器化人類 ウェポン

 目覚めたらそこは牢屋だった。横幅1メートル、縦、5メートル高さ5メートルの狭い部屋。窓はなく明かりは扉の外の電球のみ。そして扉にはあの女(クロス・S・ラフレ)がいた。

「やっと起きた」

 部屋には何もなくあたりを見ても壁しかない。

「ここは、牢屋。俺は麻酔を打たれたのか」

「ええ、そうよ。早速だが次の任務がある。よく聞きなさい」

 やはり、会議のことは夢ではなかった。俺は彼女が話しているのを黙って聞いていた。

「あなたの任務はテロ組織『ダークイービル』の基地『ジェノサイド』の排除よ」

 ダークヴィリアムズは、『終焉の再開』の日俺の故郷に魔法を撃ちこみ、さらにその1時間前クロス・N・グリッドに宣戦布告をしたテロ組織だった。そして彼らは12の基地を造りいつでも出撃できるようにしてあるといわれている。

「それと、あなたに父上からプレゼントがあるわ。受け取りなさい」

 そういって彼女が取り出したのはリボルバーだった。そして銃には青い血管、魔力の流れ。

「魔術兵器か」

「ええ。でも、ただの兵器ではない。そのリボルバーから撃たれた弾は目標を絶対に逃がさない。必ず当てるわ」

「つまり、たとえ時速640キロも出る戦闘機に撃っても、時速640キロ以上のスピードを出して弾が追いかけるのか」

「ええそうよ」

 魔力の流れは血管のように動いていて、銃口は心臓のように血管が集まっていた。

 まるで生き物だ。

「だが、これだけでは戦闘機すら相手にできないぞ」

 俺はヤツの計画を他人に漏らさないために一人で任務を遂行しなければならなかった。

「安心しなさい、父上からのプレゼントはもう一つある」

 リボルバーの弾だった、そしてその弾にも血管があった。これも魔術兵器だ。

「この弾に当たった戦闘機、戦車、潜水艦、あらゆる兵器を操ることができるわ」

 なるほど、撃てば絶対当たる銃と、当たれば相手の兵器を奪うことのできる弾。

 これだけあれば基地一つくらいなら、簡単に壊滅できる。

「じゃあ、この扉は開けておくから、つぎのプレゼントをいただきなさい。私はあの場所には極力行きたくないから」

 そういってヤツは紙を俺にわたし去って行った。

「地下特別兵器開発部 研究室」

 地下には研究室がたくさんあるが、そういえば関係者以外立ち入り禁止と書いてあった扉があった。おそらくあれだろう。

 俺はまっすぐ研究室へ向かった。立ち入り禁止と書かれた扉を開き奥に進んだ。

 そこは廊下で何もなく、前には扉があった。扉には『特別兵器開発部』と書かれていた。

「ここか」

 扉を開くとそこには少女がいた。

 黒く短い髪、白衣を着てめがねを掛けた少女が椅子に座って待っていた。

「あなたがドット・N・フリーズね、待っていたわ」

「お前、なぜ鎖で繋がれている」

 よく見ると彼女は首、両手、両足を鎖で繋がれていて、その鎖は壁に繋がれていた。

 その姿はまるで囚人で、研究室も牢獄に見えた。

「私はあなたと違って呪われてはいない、だから裏切る可能性がある。だから、私はこうして部屋から出られないようになっている」

 部屋には机、椅子以外何もなかった。明かりも電球が一つ。まさに牢獄だった。

「さあ、ついてきなさい。父上のプレゼントはこっちよ」

「父上?」

 そういって彼女は来た扉とは別の扉を開いた。

「自己紹介がまだだったね私はクロス・S・エリカ、父はクロス・N・グリッドよ」

 アイツは自分の計画のためなら自分の娘まで鎖でつなげる、そう言う人間だった。

 扉の向こうは滑走路でそこに戦闘機が一台止まっていた。

 P38ライトニング、『双胴の悪魔』と呼ばれていた機体。全長11.53メートル、高さ3メートル、翼幅15.85メートル。

「血管がないということは魔術兵器ではないのか」

「ええ、でも普通のP38とは少し違う」

 ジャキッ!と鎖の音がした。どうやら歩いて10歩のところから向こうへはいけないらしい。

「あれは、兵器化人類(ウェポン)、つまり元々人間だった兵器よ」

「人間はどうやったらああなったんだ」

 体の構造どころか心すら消えている。

「それは、いまだに分かってない。でも生き物だから勝手に動くし、結構扱いずらい。しかし、実戦ではよけられない砲弾や魔術を回避してくれる、かなり強力な生き物よ」

 近くによるとその機体が動いていることに気がついた。機械なのに鼓動音まで聞こえる。

「お前、何でこうなったんだ」

 言っても反応はしない。まるで野生動物でも見ている気分だ。

「さあ、あなたには任務があるはずよ。そこから飛んでいいから早くいったほうがいい」

「ああ、分かった」

 エンジンを稼動させ前に進んだ。それでも鼓動が聞こえてくる。

「悪いが、お前には戦争に付き合ってもらうぞ、P38」

 鼓動は機体のスピードが速くなるたび大きく早くなっているのが分かる。

 これは、生き物だ。どういうわけか知らないが生き物だ。

 離陸した瞬間そう思った。

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