派手
ラズさんはそれに飛びつかれた。
「ラズ……?」
助けるために走ったドバルの足が止まった。
僕もそれを見て首をかしげてしまった。
「…離れてくれ」
ラズさんが棒立ちで真顔で言う。
「久々の再会なのにそんな冷たいこと…でもそんなとこも、だぁいすき♡」
ラズさんに飛びついたもの、それは人間の女の子だった。
年はエリウスさんくらいだが身長は高めでオレンジの長―い髪をツインテールにしていた。
頭にはライルさんともまた違う大きなリボンが。
服装は黒を基調としているが奇抜で…でも、なんとも言いにくいが変にまとまっていた。
「久しぶりだね~♪」
エリウスさんとラズさんは彼女と知り合いのようだった。
ラズさんにべたべたくっつく彼女にエリウスさんは笑顔で近寄った。
「…なに」
…。
レイさんにも負けない迫力。
先ほどまでの高い声も可愛らしい顔も嘘…だったのか?
「会ったの久々だよね?」
エリウスさんは変わらずに笑顔で近づく。
その間もラズさんに彼女はくっついたままだった。
「あ、あの…どちら様で?」
ドバルが恐る恐る3人に近づく。
「誰、あんた」
ドバルの質問に質問で返す。
ここまで怖い人ははじめてであったかも…。
ライルさんなんて恐怖のあまり髪をポニーテールにしようとしてるじゃないですか!
「ドバル、すまないな。こいつはメリッサだ」
「私たちの友達だよっ」
ラズさんが苦笑いで言い、エリウスさんが笑顔で友達と言った。
「いや~ん、ラズ様が私を紹介してくださったぁ♡…エリウスは黙っててよね」
「メリッサ、俺たちの仲間だ。冷たいことを言うな」
「はぁい、ラズ様が言うんじゃ聞かないわけにはいかないわね」
コロコロと変わる人だなぁ…。
「わかったら離れろ…」
「いやよ!久々の再会なんだから。ラズ様、大好きよ」
「…ラズの恋人なの?」
かなり驚いた様子のラインさんがメリッサさんに尋ねた。
「そん……」
「恋人♪」
「えええええっ!!!!!????」
僕も思わず口を手で押さえてしまった。
「候補でしょ?」
エリウスさんが笑顔で言う。
「こう…ほ?」
ドバルがきょとんとする。
「うん、メリッサはラズのこと好きで…だから恋人候補」
「恋人候補とかってあるのか?」
ドバルがダイチさんに聞く。
「いや…俺は聞いたことないけど」
「エリウスは黙ってなさいよ!ラズ様もなんか言って~」
「メリッサと俺は恋人じゃない」
今までで一番疲れた声を出しながら彼は言った。
「またまたぁ、素直じゃないのね♪…そこも好きよ」
ラズさんは大きなため息をひとつついた。
「ってことで私はエリウスが連れ去ったラズ様を探しに来たってことよ」
僕たちは国の首都…というか中心部的な村に向かって歩きながら自己紹介をして、メリッサさんの話を聞いていた。
「連れ去ってないんだけど…」
「そうだ、俺がついてきてくれと頼んだんだ」
「なんで私を連れて行ってくれなかったのよっ!!」
メリッサさんはエリウスさんをにらみながら言った。
「あの時またふらふらとどこかに行って、いなかっただろう」
「じゃぁ探してくれればよかったのよ、ねぇエリウス!?」
「あ、うん。ごめんね?」
「ごめんね~じゃないわよ。まったく…会えたからいいけどさ」
この一方的だが喧嘩のようにも見える会話が3人の普通なんだろうな。
なんかキャロさんたちにも似ている気がする。
「そういえばさ、あんたたちは何だっけ?ラズ様の家来?」
先ほど名前を名乗ったのにあんたたち呼ばわりとは…。
「家来じゃないですよ。ラズさんとエリウスさんは僕たちの旅に協力してくださってるんです」
「だから失礼なことを言うんじゃないぞ?」
「へぇー、セリアファクト出てそんなことしてたのね」
雰囲気ががらっと変わり、横目で僕たちを見てくる。
本当にこの人は何を考えてるのかわからない。
わかっているのはラズさんの恋人候補ってだけ…かな?
「あいつの心配は杞憂じゃないってことね?」
「あいつって誰だ?」
「セリアファクトの国王ってか女王よ」
ドバルがきくと彼女はめんどくさそうに答えた。
「…あの人が何を心配していたんだ?」
「他国に行ってなかなか帰ってこないから面倒事に首を突っ込んでるんじゃないかって…三日間絶食状態になったんだけど、結局食べたわ」
「いつも通りだね」
「私はもちろんラズ様のことだけを思ってた~♡ご飯も食べれない勢いで…」
「でも食べたんでしょ?」
「エリウスは黙ってなさい!」
僕たちは苦笑いすることしかできなかった。
「ま、いいわ。でさぁエリウス、この人たちはどういう旅をしてるわけ?仕事熱心なラズ様が協力してるってことはただ事じゃないんでしょ?」
そう、こうしてまた静かなトーンに戻るんだ。
エリウスさんは変わらずに答える。
「あのね…簡単に言うとウジ虫駆除大作戦!!」
…。
ざっくり言いましたね、エリウスさん。
「あ、あれ?違った?」
静まり返る空気に耐え切れずエリウスさんが言った。
「間違ってはないですよ…ええ」
「あんたは天才ね」
メリッサさんが鼻で笑う。
「…えーっと、ジェリオスだっけ?」
「はい。覚えてくれていたようで安心しました」
「私こう見えて人の顔と名前覚えるの得意なの。それよりもウジ虫駆除大作戦って何?…説明できる範囲でいいわよ」
以外と空気読める人なのかな?
僕は感謝しますと頭を下げて、話を始めた。
本当に簡易に伝え、それに補足説明をラズさんやドバルがつけてくれた。
それなりの説明をしなきゃ彼女はラズさんを無理やりにでも連れて行きそうだったからちゃんと説明はした。
僕らとしてもラズさんが国に帰るのは嫌だったが、それよりもラズさんが嫌そうだったので割と細かく説明してしまうことになった。
「世界がウジ虫に喰われる前に駆除しちゃおうってことなのね。それならラズ様が協力しないわけがないわ。さすがラズ様~、正義のヒーロー♪…かっこいい」
「そういうことじゃないだろ?俺は知っておいて放っておけることじゃないと思ったから協力しているだけだ」
「そこが素敵なとこなのよ。ラズ様は相変わらずクールね♪」
「クールか?」
僕たちは少し距離をとって固まり、ドバルがエリウスさんを呼んだ。
彼女はにこにこしたままこちらに来た。
「なしたの~?」
「あのさ、メリッサって変わったやつだな」
「そうかな~?」
「どういう関係なの?友達ってこと以外で」
「ん~、私が国で働くことになったときにはもういたよ。だから私よりラズの方がメリッサとの友達歴は長いかなぁ」
「悪い人そうではないですけど、独特ですよね」
「たしかに…俺もいろんな人と病院で会ったけどああいうタイプは初めてかも」
「ツンデレなだけだよ~。本当にいい人なの」
「とエリーがフォローしてるのに貶すメリッサ…。エリーの方が変ってると思うよ、あたしは」
こんなことを固まって小声で話していると二人が近くに来た。
ドバルが後ろに気配を感じ、振り向いた。
「二人っきりの時間をありがとう、気がきくじゃない」
メリッサさんが満面の笑みでそこに立っていた。
その手はしっかりラズさんの腕に絡みついている。
「みんな、メリッサも付いてくることになったんだが…」
「えぇっ!!?」
ドバルが大きな声で驚くとメリッサさんは顔をしかめた。
「何よ、文句あるの?」
「メリッサ、失礼のないようにって約束を忘れたか?」
ラズさんが強めに言うと彼女はしょんぼりして頭を下げた。
「ごめんなさ~い。でもね、話を聞いてどうにかしたいと思ったのは本当なのよ?そりゃラズ様がいるからって言うのは大きいけど…世界がウジ虫なんかに喰われちゃいい迷惑だわ。ラズ様との結婚式も温かい家庭も築けなくなるじゃない!!」
「結婚式も挙げないし、温かい家庭も築くつもりもないぞ…」
ラズさんが困っている姿は初めて見たような…。
でもウジ虫のことを言っている時のメリッサさんの目は本気だった。
…ラズさんとの夢を語っている時も本気だったけど。
「僕は構いませんよ」
ウジ虫のスパイってこともなさそうだし。
「あたしたちもいいよ?なんかメリッサって楽しそうだし」
「あたしたちってどういうことよ」
「あ、二重人格なの♪あたしはラインってさっき言ったでしょ、もう一人はライルっていうのよろしくね。ライルはかわいい、かわいい妹なのよ」
メリッサさんはふ~ん、というと何か考えているようだった。
でもすぐに元に戻り、ドバルの顔を見る。
「一番驚いてたドバルは、私を仲間にしてくれる?」
「俺は構わないけど…別に嫌だから驚いたわけじゃないし」
「あら、そうなの?」
「おう。それよりダイチには聞かないのか?」
「ダイチは私のことを拒むようには見えないもの。そうでしょう?」
そう言ってダイチさんに笑いかける。
ダイチさんも笑って頷いた。
「もちろんさ。それに俺は戦えないから…決定権はないよ」
初対面のはずなのになぜか二人は親しいように感じた。
メリッサさんはにかっと笑ってラズさんから離れた。
「決定ね。改めまして、セリアファクト騎士団所属メリッサよ」
長いツインテールを揺らして首をかしげると再度ラズさんにくっついた。
僕たちはしばらく歩いて入国初の村を発見した。
服装は僕たちとは変わらないが色合いが淡く、暖かい地方なので少し涼しめに作られていた。
建物は木でできていて、風通しが良くなるように壁の上や天井に窓があった。
「なんか落ち着くなぁ」
ドバルが木の床の上に敷いてあった絨毯の上で横になって言った。
僕は荷物を端に寄せてまとめながらドバルを見た。
「ドバルはどういう所に住んでたんですか?」
「俺はこういう木でできた家に住んでたよ。一人で暮らしてたから二階はほとんど物置になってたけど」
それを聞いていたダイチさんがバッグからゼリーを出して、ドバルに投げた。
「お、サンキュー!」
「どいたま。ジェリオスとラズも食うか?」
「いただこう」
「そうですね、一つ頂きます」
ダイチさんは笑ってゼリーとスプーンを僕たちに手渡した。
ちなみにドバルはスプーンなしで食べている。
彼曰くゼリーは飲み物…らしい。
「それにしてもドバルが一人暮らしってことに俺はびっくりしたんだけど。二人で暮らしてなかったの?」
ゼリーのふたを開けて、彼は僕の顔を見た。
「あぁ、言ってなかったですね。実は僕たち最近会ったばかりなんですよ」
「あれだよ…池別れの双子?」
「生き別れです。前は言っていたのにどうして間違えるのか…馬鹿ですか」
「馬鹿じゃねってば!!あ、なんか久々に言われた気がする」
馬鹿を放っておいて僕はダイチさんに話を続けた。
「ダイチさんには細かいことを伝えてませんでしたよね。今から簡単に説明しますね」
「悪ぃ、頼む」
僕は食べかけのゼリーを机に置いて経緯を話した。
「…というわけです」
「みんなはすごいな。俺なんて自分のことすらできないのに世界のために動くのってかっこいいな」
ダイチさんが言うとラズさんも頷いた。
「俺もそう思う。だからついていきたいと思ったんだ」
「そんなにすごいことしてるって実感ないんだよな~」
ドバルが僕の前に座って言った。
「手伝ってくれるドバルや皆さんはすごいと思いますよ。感謝しきれません」
「俺も何か役に立てるかな?」
「もう十分役に立ってるぞ!」
ドバルが満面の笑みで言った。
「ゼリーくれるし、俺にいろいろ教えてくれるし…それに俺の髪をこう、かっこよくな!!」
そう言って自分の髪を見てによによする。
するとダイチさんはおなかを抱えて笑った。
「どうした!?」
ドバルが慌てて立ち上がった。
「…はぁ、腹痛ぇっ」
「?」
「ちょ、ちょっと待って」
「??」
「わ、笑いとまんないんだよ。面白かった…ドバルのっ、顔が!」
そういってまた笑いだした。
「な、ラズも見てたよな?」
「髪を見上げるドバルだろう」
「そ、そうっ!!ひー、あれは最高だった!」
ドバルは僕の顔を見て髪を見上げてによによした。
…た、たしかに変な顔だけど笑うほどかな?
「ど、どう?」
「…変な顔ですね。そう、こんな」
僕はまねをしてみた。
するとドバルは僕の顔を見て噴き出した。
「な、なんだその顔っ!!」
「何だって言われてもドバルのまねですけど…」
横を見るとダイチさんがまた笑っている。
ラズさんまで…!
「ぼ、僕はドバルのまねをしただけなのにそんなに笑わなくてもっ!」
「だってジェリオスの顔、すごい面白い顔してたぞ!!」
「ドバルのまねしたんだからすごい顔しているのはドバルでしょう!?」
僕は何だか熱くなってしまって残っていたゼリーを食べてゴミ箱に捨てた。
「そっくりだったな」
「うんうん、双子って似るって言うけどそっくりだった!」
ラズさんとダイチさんが話している。
その時ノックの音が聞こえ、ダイチさんが立ち上がった。
「はーい」
扉を開けた瞬間何かが勢いよく部屋に入ってきた。
「あ~ん、ラズ様…イケメン」
もちろんこの声はメリッサさんで、ラズさんの背中から手をまわして抱きついている。
扉の向こうでは苦笑いしたライルさんとエリウスさんがいた。
「ごめんね、メリッサが話があるからって来たんだけど…」
「本命はラズって?」
「うん。みたい。でもメリッサはいい人なんだよ~?」
「さっきお菓子くれました!」
そういってバッグいっぱいのお菓子をライルさんが見せた。
二人も部屋に入り、僕はドバルを椅子からおろして彼女たちをそこに座らせた。
「で、話とは?」
ラズさんはため息をつきながら言った。
「私のことを好きと言ってくれたら話す」
「冗談はいいから早くしろ」
メリッサさんはラズさんがら離れると、壁によしかかった。
「さっき言ってたウジ虫いるじゃない?あいつ、セリアファクトにも来ていたわよ?」
「えっ!?まじか?」
「ええ。何だっけ…いつか後悔する前に協力し合いませんか?って言ってたわ」
「あいつは?」
ラズさんの言うあいつというのは国王のことだろう。
するとメリッサさんは楽しそうに笑って言った。
「そういうの面倒くさいから却下♪…だって」
…さすがセリアファクト国王。
「で、ウジ虫は帰ったの?」
エリウスさんはダイチさんからゼリーを受け取りながら言った。
…それに動じないセリアファクト組もさすがだと思う。
「また来るってさ~。何言っても駄目だって、あの人を説得できるわけがない」
「まぁ、あの人のことならウジ虫のこと知ってたかもね」
「放浪癖あるしな」
どんどん国王が分からなくなってく。
国王がどんな人なのか、と悩む僕をメリッサさんはウジ虫について悩んでいるのだと考えたようで僕の肩に手を載せて笑った。
「大丈夫よ、いずれうちの国にも来るんでしょ?ならその時にいろいろと情報聞き出せばいいわ」
「あ、はい」
「なんだかんだ言ってうちの国王すごいから」
「きっとウジ虫の情報を集めてくれてると思うよ」
エリウスさんが言った。
それを聞いたメリッサさんが手を合わせた。
「あ、いいこと思いついた」
「いいこと?」
「ええ。こんだけ人数いるし2チームに分かれない?一つはこのままグズルの王の所に行く。もう一つはセリアファクトに行くの」
「でもセリアファクトに行ってどうするの?」
「ラズ様とエリウス(どうでもいいけど)がいたって報告。お菓子の仕事だって終わってるんでしょ?そして本命は、ウジ虫の事を聞く」
「でも戦力を分けるのは危ないんじゃないか?ウジ虫に合わないとは限らないし」
「ドバル、あんた馬鹿ね。大丈夫なようにチームを考えるのが誰だと思ってるのよ。天才ジェリオスじゃない」
「はぁっ!?」
それまで黙って聞いていた僕だったが、驚きで声が裏返ってしまった。
「あら…変な声出してあなたも馬鹿なの?」
「ドバルと一緒にしないでもらえますか?」
僕は咳払いをしてメリッサさんをにらんだ。
彼女は楽しそうに笑っている。
「おい、ジェリー。俺と一緒にするなってなんだよ!!」
という馬鹿は置いといて。
(最近俺の扱い酷くない?byドバル)
「そもそも僕はその提案に関していいと言ってませんよ」
「悪いとも言ってないじゃない」
「そうですよ。確かに利点もあるし効率的だと思います。しばらくはウジ虫もおとなしいと思いますし…でもドバルが言ったように戦力を分けるのはどうかと」
「だから、それをいい感じにするのがあなたの腕の見せ所よ♪」
僕は呆れてため息しか出なかった。
それに何も考えていないようで考えていたことにもびっくりだったし。
「わかりました。他の皆がそれでいいと言うなら僕が考えさせていただきます」
静かに僕たちのやり取りを聞いていた皆は一斉に僕の方を見た。
「俺はジェリオスに任せるぞ」
「ジェリオスさんなら上手にやってくれると思います」
ラズさんもエリウスさんもいいようだ。
「…わかりました。なら明日まで待ってください」
ということで女性陣は部屋に帰って行った。
ただ一人を除いて。
「ラズ様ぁ、一緒だといいわね~」
「…俺は与えられたことをするだけだ」
「いやん、そういう仕事熱心なところだぁい好き」
「おまえのそういうところ、苦手だ」
夜になり、皆が寝静まった頃。
僕は一人起きていた。
この宿、想像はしていたが電気がなかった。
明かりと言えば窓のようなところから差し込む月の光のみ。
それがまたそこまで明るくないため薄気味悪い感じになっていた。
ドバルは疲れていたようですぐに寝ちゃったし…。
最悪だ。
…暗くて怖い。
皆が一緒にいるのもわかるし多少だが明かりだってあるのに、なんで怖いのか自分でもよくわからない。
し、恥ずかしい。
「…はぁ」
僕は静かに立ち上がり、皆を起こさないように部屋を出た。
そのまま外に向かう。
チームだって考えなきゃならないし。
寝る前、ドバルとラズさんと少し話をして大体は決まっている。
チーム1はドバル、エリウスさん、ダイチさん、そして僕。
チーム2はライルさん、ラズさん、メリッサさん。
1の方はグズル国王謁見チーム。
2の方はセリアファクト国王謁見チーム。
戦力的にもいい感じにバランスがとれていると思う。
ラズさん曰く、メリッサさんはライルさんほどの魔法タイプではないらしいからバランスタイプということでエリウスさんと離した。
ラズさんとドバルは前衛タイプなのでバラバラに、そして僕とライルさんも同様。
それにライルさんにはラインさんもいるからメリッサさんがどんなタイプでも上手くやってくれるだろう。
そしてダイチさんはいろいろなことを知っているからグズル国王と対談するときに力を貸してほしかったので1に入れた。
メリッサさんとラズさんを一緒にしない方が良いのかとも思ったのだがラズさんには任務完了の報告もあるみたいだし…すみません。
「…はぁ」
それにしてもグズルは静かな国だ。
ここはちっぽけな所だからなのかもしれないが…。
風は少ししかないのに全ての木が高く、それが揺れてガサガサという音と動物の鳴き声が聞こえるだけ。
無駄な明かりもないし、環境には優しいと思う。
ただ少し暑いだけで他は何も苦はない。
僕は歩いて、見晴らしの良いところに行った。
「で、何の用ですか?」
一人で風にあたっていると後ろから人が近づいてきた。
「私が行ったところに先客がいたってだけ」
僕の隣に不満そうに立ったのはメリッサさんだった。
「チーム決まった?」
「まぁ、大体は」
「流石ね♪で、私はラズ様と一緒?」
昼間と同じ調子で話しかけてくるメリッサさんに僕は少し不思議な気持ちを感じながら答えた。
「秘密です。楽しみは後にとっておくと倍増するんですよ」
「私は先取りしたいタイプだけど?」
「ならなおさら秘密です」
彼女は冷たい顔をしてケチと言った。
「それより僕、あなたに聞きたいことがあったんです」
「…何?」
「チームを決める役をどうして僕に任せたんですか?」
「気分」
「ならなんで僕の事を天才と?それと言っときますが僕は天才でも何でもないですから」
メリッサさんはさらにつまらなそうな顔をしてため息をついた。
「そんなことどうでもいいじゃないの、結果上手く行くなら」
「…僕にはあなたの考えてることがまったく掴めないんです。だから疑うことしかできない」
強い風が吹き、お互いの髪が揺れ、木々が激しく揺れる。
「ま、チームにはそういう人も必要よね。すぐ他人信じちゃう人いるけど私は嫌いだもの」
それまでお互い目を合わせようとしなかったのに、メリッサさんは僕の前に立ち、じっと見つめてきた。
何かを探るように…。
「あなたの話聞かせて?」




