生きるために戦う
生きるために戦う
生きるために戦っている・・のか
単に生きているから生きている・・のか
それが宇宙の、人の、道理らしいから・・なのか
思考は侵食され
がらんどうの頭の中を
無気力なバブルが浮き上がっては弾けて消える
けれども病気になって完治の見込みがない時も
頑張って生きようと思う
それが動物的なサバイバルの反応か反動か
普段はちっとも考えたことがない
「生」ということをあらためて見つめなおす
まるで初めて気がついたように
生存しようと努める
眠りの中で壊れた細胞が全力を尽くして回復へと戦う
辛い治療や手術で打ちのめされても
もういいと思っても
死に際でも
諦める方がずっと簡単でも
心のどこかで強い声が「生きたい」と叫んでいる
それは人の、この人生が
たった一度だけのものだからと
目の前に叩きつけられるから
その事実に目が醒める
その動かない掟が
真実を突いているから
友はそうして生きた
友はそれなのに死んだ
友は満足していた
生まれたことはやっぱり良かったと
生きるために戦う
生きているから戦う
生まれたことはすなわち生きるために戦うのだ
と友の人生は語った
生まれたこと
望まれても望まれなくても
生まれたこと
なんらかの奇跡だと
思わずにはいられない
と人は知っている
だから生きるために戦うのだと