プロローグ
初投稿作品です。読みにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
Twilight…黄昏時。薄明。微光。
xx年後の日本。
世界の情勢悪化や気象災害により科学文明はその発展を止め、衰退の色を見せ始めている時代。
一時の半分ほどにまで低下した我が国の科学技術の弱体化を補うように、あるものが世の中を侵し始めた。
”魔力”と呼ばれる謎の力がうまれたのだ。
その力ははるか昔から夢物語だとされてきたが、その存在が有望視されてきたのである。
人々はこぞって魔力を利用しようとし、魔術実験に着手し始めた。しかし同時に、人々の想いと共鳴しやすい魔力は魔物を生み出し、無意識下で人を襲い始めた。
神前晴輝は、マンションの屋上からから夜の街を一人見下ろしていた。
空には雲一つない澄んだ夜空が一面に広がっている。
そんな街を見下ろしながら。晴輝は一人ぼんやりと考えていた。
自分もあまり外に出すぎていると瘴気にあてられそうだ―と、部屋に戻ろうとしたその時。
向こうのほうでまばゆい光が放たれた。
(何だ…!?)
見ると、空からいくつもの流れ星が流れてきていた。
(これは…!?)
普通であれば地上に落ちるまでに燃え尽きてなくなってしまうはずなのに、今日はなぜかいくつかの星が地上に―とりわけ、人気の無い向こうの山の辺りに―落ちてきていた。
(こんなことって、あるのか…?)
夢でも見ているのだろうか、と晴輝は思っていたが、彼自身の目が、これは現実だと訴えていた。
辺りは一面真昼のように明るくなっている。
(この時期に、流星群…?)
一般に、流星群はちりが多く残る彗星の軌道に地球がさしかかるために生じる現象で、だいたいの時期が決まっている。今回のような突発的な流星群は非常に珍しい。
(でも、こんな風景、どこかで見たことがあるような)
唖然と目の前の光景を見つめながら、どこかデジャヴのような感覚に陥る晴輝。
―この流星群はね、夜空が流す涙。
―また、始まるのよ。
晴輝の頭の中に、若い女性の声が聞こえてきた。
(この声は―)
その瞬間、晴輝の目の前が真っ白になって、それきり何も分からなくなった。
同じ頃。
同じ光景を晴輝のマンションとは少し離れた所で見つめている3人の学生がいた。
「今回は一段とすごいですね」
眼鏡をかけた少年が言う。
「そうね」
赤みがかった髪の少女は、愁いを帯びた瞳で流星を見つめている。
「なるほど、夜とは思えない明るさだな」
堅物そうな少年が呟く。
「その明るさこそ、“トワイライト”という名前の所以―」
眼鏡の少年は言った。
「そうね」
でも、と先ほどの少女がひとこと付け足した。
「トワイライト―つまり黄昏は、禍時の直前」
この流星群がそう呼ばれているのには、一体どのような理由があるのかしら、と少女は言った。