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反響する沈黙

作者: 桐原

天蓋孤独と言うのは、まさにこのことを指すのだろうと、自身が置かれている状況をようやく理解した今、そう思った。




注意力散漫というわけではないが、人は誰しも一度は何もないところで躓くことがあるだろう。もちろん、運が悪ければ転倒する場合だってあるが、私の場合はそこから反射的に体勢を持ち直すことができたので、一息吐いて視線をあげたのだ。

それは至って普通の動作である。

誰も居ないが、トイレから教室までの廊下で盛大に転ばなかった自分を褒めてあげたいと思ったし、教室に残っている友人に、今笑いながら起こったことを話していただろう。


けれど、視線をあげてみれば全く知らない人達に囲まれていたのだから、たまったものではなかった。

見事に外国人だらけである。

状況が理解できず、呆然と立ち尽くす私。そして正面には、見るからに立場が偉いであろう外国人が恭しく口を開き、告げたのである。


「ようこそ御越し下さいました、我等の巫女様」


彼が低頭するに習い、周囲の人間も次々と腰を折り曲げる。顔に似合わず口から飛び出てきたのは日本語で、ちぐはぐではあるものの、その光景はある意味、圧巻であった。

豪奢な容姿に、それに見合うだけの装いをした人間が、ちんちくりんな小娘に次々と頭を下げているのだから。

されたこちらは、初対面の大人が揃って自分にそんなことをするものだから、只管に「頭をあげてください……!」と半泣きで繰り返していた。


「あの、すみません。私、家に帰りたいんですが~…」

「それは適いません。何故ならば、貴方様にはお勤めを果たしていただかなければならないからです」


おい、誰が勝手に決めたんだ、そんな事。お前らのやっていることは立派な誘拐だぞ、と大声で叫びたいきもちが押し寄せてくる。身体が震え、頭が沸騰したように怒りが込み上げてくるのだから仕方が無い。

ただ、私には言い返すだけの状況判断がそのときは思い浮かばなかったのである。

早い話、呆気に取られていたのである。

フリーズしていた私に、聞きたくもないのに勝手に話を進めている外国人。

話では、どうやらこの世界の、いやこの国の到る所で異常気象が発生しているのだとか。こういった異常気象は数十年から数百年に一度、有るか無いかというレアな事象なのだという。そうしてこれまで、どのようにして対処してきたのかと言えば、異界より力を持つ人間を召喚し、その力を持ってして治めてきたらしい。

異界とは言え、人ひとりの犠牲の上に成り立つ国の安寧というわけだ。

そうして今回の犠牲は不運なことに私が選ばれてしまったのである。

彼等の言い分は、こちらには非がないのだと、全く持って押し付けがましい。

巫女様を選ばれるのは神であり、選ばれた巫女様--またの名を犠牲者は神から愛されし者であると。その力で我々を助け、導き、救って欲しい。貴方が生活するための環境はこちら側ですべて整えてあるし、叶えて見せる、安全を保証するとも言っていた。

要するに、自分の国の人間でないのだから、攫って監禁してもここにはお前のことを思い悲しむ人間など誰一人として存在しないのだから、衣食住を与えてやる代わりに見返りとして道具となれと言われているようなものだった。

人権などない、時代錯誤ではあるが、それはまるで奴隷だと思った。

ひねくれた自分はそう受け取ることにしたし、実際そういった意味合いが含まれていたのだと、勝手に部屋から連れ出され、無理矢理押し込められた部屋で一人になって気付いた。


この状況を一言で言い表すならそう、最悪に尽きるだろう。

できれば恋愛ものとして書きたいのですが、何分初投稿なうえ不慣れなため読みにくかったら申し訳ございません。

続きが書けたらいいなあと思ってますが、暇があればということで!

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