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第二十話 俺、めっちゃ可愛い!

 ロゼが発動したのは、スキル〈神器召喚〉の最終奥義〈真名開放〉だ。

 その威力は絶大だった。

 迸る稲妻と灼熱が、巨竜の片翼を突き破っていた。



 俺は、その一撃を放ったロゼを見る。

 急激なMP切れを起こしたロゼは、苦しそうに表情を歪めていた。


 ……これが、奥の手。俺はロゼよりも強い気でいたが、瞬間的な破壊力ではあちらが上だろう。


 

 今の一撃を喰らえば、かの〈根源の巨竜オリジンドラゴン〉といえども、無事ではないだろう。そう思い叫び声を上げる巨竜を見てみると、



『クハハハハっ! 面白いぞ、人間と獣人の少女よ!』

 巨躯を震わせながら、巨竜は嗤っていた。その声は、怒りでも恐怖でもない。

 純粋な、喜びの声だった。


『面白いものを見させてもらった、礼をいう。故に、吾輩も全力で貴様らに死を与えよう!』


 やばい、こんどこそ、やばい。

〈第六感〉が告げずとも分かる危機感。死の圧力が全身を包む。

 この感覚は〈竜の息吹〉だ。


 全てを破壊する、暴力の渦が巨竜の口から放たれる。

 それは、一直線にロゼたち四人のもとへと向かっていった。


 俺は、それを知覚した瞬間、魔法を使い瞬時に転移していた。

 その後にどうするかなど、何も考えてなどいなかった。


 気づいたときには、ロゼたち四人を庇う様に、彼女たちの前で立ち、魔法障壁を作り出す。


 破壊の渦は、一瞬でその障壁を飲み込んだ。だが、このまま簡単に終わるわけではない。

 障壁が壊されれば、その瞬きの後には再度壁を創りだす。


 魔法により作り出される壁。それを次々に創造していくのだ。刻々とMPが失われていくのが理解できた。

 ……それどころか、障壁を作り直す際の隙にくらった〈竜の息吹〉の余波によって、大幅にHPも減少していっている。


 巨竜の攻撃は、数秒間続いた。

 その数秒間は永遠にも感じられた。


『吾輩の〈竜の息吹〉に耐え切るとは……。貴様のことを、侮りすぎていたか?』


 巨竜の声が聞こえた。 

 ようやく、〈竜の息吹〉の放出が終わったようだった。

 たった数秒しか経過していない。

 だけど、その数秒間で俺は、満身創痍の状態になっていた。


「うるせー……」


 俺は肩で息をしながら告げる。途方もない疲労感に襲われていた。


 ギルドカードでステータスを確認しなくても、大体の感覚で分かった。

 MPはほとんど残っていない。HPも、あと僅か。

 つまりは、絶体絶命の危機的な状況だ。


 だけど……。


「みんな、無事、か?」

 俺は背後で守っていたロゼたちを振り返り、声を掛ける。


 ロゼ、フィナ、シーナ、ディアナは、助かって安心、というよりも驚きと戸惑いの表情を浮かべていた。


「ミコ……なんで貴女がここに?」

 ロゼが、信じられないといった様子で言った。

 他の三人も、不安そうな表情で俺を見ていた。


 その問い掛けに俺は答えない。


 俺は周囲を見渡し、そして倒れている者達に向けて、魔法を発動する。


 現れる無数の魔法陣。そこから流れる力は、治癒の魔法。

 生き残っていた者たちは倒れたままではあるものの、見る間に傷がふさがり、顔色がよくなっていった。

 このまますぐに死んでいくということはないだろう。


「にゃ、にゃにをしているにゃ!? お前は他人の傷じゃなくって、自分の体のことをもっと考えるにゃ!」

 わけがわからない、といった様子でフィノは俺に告げる。

 俺はその言葉に振り返らずに、巨竜へと向かいながら歩を進め、一言告げる。


「待たせたな。続きをやろうぜ」

 俺の言葉に巨竜は答える。


『自分の敗北を悟り、死の間際で他者の命を救ったか。……その意気や良し。貴様を倒したあと、他の者は生かして返そう。約束する」

 俺を見おろす巨竜の言葉は、きっと本心からのものだろう。


 ふっ、と笑う。それは、諦観の笑いではなかった。


 俺は拳を握り、もう一度巨竜へと向かおうとしたのだが、背後から声がかけられた。



「……だめ、自分を犠牲にしてみんなを助けようなんて。……私は認めない」

 シーナが珍しく、強い口調で言った。


「そうよ、ミコちゃん。私たちだってまだ……っ! た、戦えるわ」

 ディアナも、必死な様子が声から滲んでいた。


 ……何か、勘違いしているな、あいつら。


 俺は、何も答えない。

 きっと、言葉をいくら尽くしても納得させることは困難だろう。

 だから、力で示すだけだ。


「行くぞデカブツ」

 俺は宣言して、その場から飛びたつ。

 拳を握る。狙うのは巨大な顎。


『最後の力で反撃か。よろしい、受けてたとうではないか!』


 両手を広げて、俺を迎え撃とうとする巨竜。


 鋭く振り下ろされる前足を、俺は軽く弾き飛ばし・・・・・・・てからそのまま握り締めた拳で巨竜の顎を打ち抜く。

 堅固な鱗が、目の前で弾け飛び、巨竜の肉体は拳の一撃を通す。


 ガアァァァアア!


 苦しげに叫び声を上げて、後方へと倒れ込みそうになる巨竜は、翼を無理矢理に羽ばたかせ、体勢を整えた。

 頭上から見下ろす俺に向かって、巨竜が喚く。


『貴、貴様ぁ! どこにこれほどの力を隠していた!?』


 頭の中に声が響き、その後に巨竜が咆哮する。ビリビリと空気を揺らし、森がさざめいた。

 しかし、それに威圧感などない。

 今の俺にとっては、せいぜい猫があくびしたくらいのものだ。


 巨竜の問いかけは、ロゼたちにとっても気になるようなものらしい。彼女らも俺の答えを聞き逃さないように耳を澄ましていた。



「別に、隠していたわけじゃねぇよ。ただ、条件が厳しかっただけだっての」

『どういうことだ……!?』

「HPが半分以下であること。HPが10%以下であること。HPとMPが1%未満の状態でいること。それが、俺の持て余していた協力なスキルの発動条件だ」


 隠す必要などない。俺は巨竜にわざわざ言ってやった。


 スキル〈底力〉・〈英雄〉。条件を満たせばステータスを上昇させる。

 そしてスキル〈覚醒〉は、ステータスアップにくわえてMP消費なしで魔法を使えるようになる。

 これらを掛け合わせ、そして元々発動していたステータスアップのスキルを合わせれば……。

 俺は、今だ納得の表情をしない巨竜を見る。


「なぁ、デカブツ。お前は、俺よりもずっと強い。数倍、強いのかもしれねぇ。だけどな、〈今の俺〉は、いつもの俺の20倍以上強いぜ!」


 俺は眼下の巨竜に告げた。


 巨竜が驚きに目を見開いた。声すら上げずに、固まっている。

 俺の言葉の真意を考えているのだろうか? 

 俺は満足げにその反応に頷いてから、自らの服装を見る。

 ロゼからもらっていた、動きやすい旅衣装はボロボロに破れ、何だったらちょっとセクシーな感じになっている。

 この服をくれたロゼには悪いことをしてしまったな、と思う。

 ただ、このボロボロの服装じゃちょっとカッコが付かないな。


 そう思い、俺はスキル〈物質創造〉を発動する。全身が淡い光に包まれ、衣装のチェンジが瞬時に行われた。


『何だ、その姿は……!?』


 光から現れた俺に、巨竜が驚きに満ちた表情を伴って問いかけてきた。


 その質問はごもっともだと思う。俺は、衣装替えを済ませた自らの姿を見る。


 防御力皆無のミニスカートとへそ出し。

 機動力など考えられていない底の高い靴。

 襟元にはでっかいリボン、足元は黒いニーソックス。ひらひらでふわふわした衣装は、現代日本ならともかく、この世界ではそもそも馴染みの薄いものだ。

 そうして創られたのは、煌びやかな衣装。


 そう、要するに今俺が着ているのは〈アイドルが着るような、可愛らしい衣装〉なのだ。


 アイドルがしたいと言って生き返ったけど。ようやく、この世界に来てアイドルっぽい姿になれた。


 ただ、これから始まるのは、歌でもダンスでもない。世界最強の竜、〈根源の巨竜オリジンドラゴン〉との戦いだ。


 だけど、いや。

 だからこそ、俺はこの場にいる全員に聞こえるような声で叫んだ。


「さぁ、ステージの始まりだっ!」

 活動報告でも報告していたのですが、改めて。

 今回の更新で、書き溜め分を全て投稿してしまいました。

 次回から、毎日二話投稿ではなく、不定期更新になってしまいます。

 楽しみに待ってくださっている方、申し訳ありません。

 今後、更新をする際は活動報告やあとがきでお知らせします。

 それでは早速、ここで次回更新の予告をさせていただきます。



 次回更新は、明日の予定です!

 まだ次回分は書けていませんが、明日の予定です!

 頑張ります!

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