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未熟者

スキル名は『』から【】にしようかなぁと思ってます。成金猫はそう思っていますが、読者様的にはどうでしょう?


※ほんの少し三人称の場面があります



「知らない天じょ……ではないか」


 なんか昔もこのネタを言った気がするが、その時も別の理由で失敗した気がする。


 ……このネタは封印だな。 


「だいぶ外暗くなってるなぁ。ずっと寝てたから心配かけてるかもしれないし、皆に謝っとこうか」


 外を見ると、かなり日が傾いていた。時間的には夕方の4時~6時の間くらいだろうか?

   

 体を少し動かして見るが、もう魔力枯渇の影響は完全に無くなっているようだ。

 【制限崩壊(リミット・ブレイク)】、かなり汎用性が高いようだし、今回のように使い方さえ間違えなければそこそこ使えるスキルになるだろう。

 唯一難点をあげるとすれば、凄まじい力を出した時、完全に脳の制限を外している状態だったが、俺の肉体自身は同じように何か制限が外されたわけでもなく、呆気なく自分の力でぐちゃぐちゃになっていた。多分、もとから制限が無いものには効果が無いんだろう。肉体の制限が取れたからって体が硬くなるわけでもないし。


「ん?あれは……」


 外を眺めていると、家の敷地内にミューナとへリスが見えた。何をしているのかと目を凝らして見てみると、どうやら昨日買ったボールで遊んでいるようだ。

 キャッチボール、という遊びがこの世界に普及しているかは知らないがそれと同じ事をしている。へリスがミューナに遊び方を教えたのだろうか?ミューナも楽しんでいるようだし、あの時ボールを買ってあげて本当に良かったと思う。


「……そろそろ行くか」


 部屋から出て、とりあえずは食堂に行ってみる。理由は、つい最近来たばかりのせいであまりこの屋敷の構造を把握していないのと、朝から何も食べていないから凄く腹が空いていたからだ。

 アイテムボックスに入っている物を食べても良いが、どうせなら非常食よりも本格的な物が食べたい。


(えーと……たしかこっちだったな)


 この家は子爵家の邸宅のわりには大きすぎる。昔カルロスが言っていた事だが、この家は伯爵家が王城の近くに引っ越した時に売り払った物件らしい。

 当然、貴族街にある物件なので貴族しか買えない。だけど、貴族は見栄を気にして古い物件を買っても新しく建て直そうとする。だから父さんがこの建物を貴族の反発無く使えるという事だ。土地だけの値段にしては高すぎるし。

 

 ……因みにカルロスに聞いたのは本当だが、まだ小さかったカルロスの話は支離滅裂だったので後で父さんから詳しく聞いた。

 

 まあ、結局何が言いたいのかというと


「……迷いかけた」


 いや~、玄関から自分の部屋までの道は覚えたけれど、他の場所に行く道はまだ完全には覚えてなかったんだよなぁ。

 一応食堂までは来れたけど、途中で何度アイテムボックスの食料に手を付けそうになった事か。

 

「まあ、空腹は最高のスパイスって言うし結果オーライかな」


 そう1人呟きながら食堂に入る。なにやら厨房が騒がしい。


 ……なんか良い匂いがする。


 「すいませーん。何か食べ物を用意して頂けませんかー?」


 とりあえず厨房の方に声をかけてみる。此方の使用人さん達とはまだあまり面識がないせいで、思わず敬語を使ってしまう。


 ……返事がない。


 「すいま『お待たせしましたぼっちゃま、もうすぐ夕食の時間ですのでこれを食べてお待ち下さい‼』ありがと……」


 もう一度呼ぼうとした瞬間、厨房から少し太り気味の男性が色とりどりのクッキーが乗った皿を持ってやって来た。

 たぶんあのクッキーは野菜や果物入りのものだろう。結構有名で、まだ村に住んでいた時も母さんが手作りしてくれていた覚えがある。母さんが作ってくれたやつにはジャムが入っていた覚えがある。

 小さい子は野菜が入っているのが嫌なのか、嫌いな子が多いらしいが俺は結構このクッキーが好きだ。今さら野菜が入っているだけで嫌いになるような歳でもないしな。



 「うんやっぱり美味いな。中のジャムは柑橘系かな?クッキーの甘味に酸味が良く合う……。それに、サクサクとした食感と微かに残っている温かさからして、できたてだな!」


 やっとありつけた食事に、ちょっとテンションが上がったからちょっと食通ぶってみたり。


 ……そういえばなんでこんなにタイミングが良いんだ?なんて考えながら厨房の方を見てみると、俺の食べっぷりを満足そうに見ている先程の男性と……厨房の扉の隙間から数人のメイドさん達が見ていた。


「もしかして俺が起きたのを伝えてくれたんですか?」 


 あくまで推測だが、家の敷地内にいる人物を把握する魔導具で俺が移動し始めたのが分かったんだろう。ずっと寝っぱなしだったから腹が減っていると思って俺が道に迷っている間に先に厨房の人達に何か作ってもらうよう頼んだんだろう。


……『迷っているのを助けて欲しかった』なんて言うのは無粋なんだろう。おかげで、こんなに美味い物がタイミングよく食べられたんだし。


「今日の夕食は少し量を減らしますか?」


 俺のあまりの食べっぷりにメイドさんが遠慮がちに聞いてくる。


「いや、大丈夫。多いと思ったらミューナに食べてもらうから」

「わかりました。今日のアル様が魔力枯渇になったのはメイドから聞いておりますので、今日は滋養効果の高い物が中心になっております」

「へリス様もミューナ様も心配しておられたので、お顔出してさしあげればきっとお喜びになられますよ。ちょうど今は庭で"ぼーる"という遊具で遊んでおられるはずです」


 たぶんへリスがメイドさんに俺の魔力枯渇を伝えて、それをメイドさんが料理人さんに伝えたのだろう。


 さてと、メイドさんも言っているしへリスとミューナに顔を出しておくか。


「ありがとうございます。早く二人にも起きたのを教えてやらないとですしね」


 早速、俺はへリスとミューナの所に行く事にした。


 






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「アルギウス様、さっき迷っていませんでしたっけ?」

「そうなのですか!?なら、また迷う前に助けなければ!」


 一方、食堂ではメイドと料理人が大切な事を思い出していた。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 



「へリスー、ミューナー」


 二人には、いらぬ心配をかけないようになるべく元気な声で呼び掛ける。

 食堂から直ぐに来れたからか、二人はまだ庭でボール遊びをしていた。

 

 ん?あんなに家で迷っていたのに、どうして直ぐに来れたのかって?

 ……また迷いそうになっていた所に、さっき食堂にいたメイドさんが駆けつけてくれたんだよ。ま、まぁ今は6歳児だしセーフだよね!


 そのメイドさんは家から庭へ行く道の入り口近くで、此方を生暖かい目で見守ってくれている。

 懲りずにまた迷ったせいで落ち込んでいた俺に『旦那様やお二人方には言いませんから大丈夫ですよ』なんて言われた事は墓まで持ち込む所存です。勿論メイドさんにもそうしてもらいたい。


「アル様!身体はもう大丈夫なんですか!?」

「あぁ、むしろ元気が有り余って夜寝れるか心配だな」

「アル生きてたー!」


 そう言ってミューナが俺のお腹に頭をグリグリ押しつけてくる。

 ……そうか、ミューナにはずっと寝ている俺が死ぬかもしれないと思ったのか。


 ミューナは飽きないらしく、ずっと俺のお腹にグリグリしてくる。そういう事ならと俺もミューナの頭をクシャクシャと撫でてみる。

 

「あ、もうすぐ夕食らしいしそこで今日の事を話すよ」

「あ、私達も話す事があるのでその時に一緒に話しますね」

「ご飯!?行くー!」

「あ、ミューナ!!まだ道覚えていませんよね?待ってくださーい!!」


 ミューナは一目散に走って行ってしまい、へリスもミューナを追いかけて行ってしまった。


「なんか今日はやけに飯にがっつくなぁ」


 二人にクッキーを渡そうと思っていたけど、またの機会で良いだろう。


「ん?」


 さっきまでミューナが頭をグリグリしていた所を見ると、そこだけが濡れていた。


「はぁ……その歳で隠さなくていいってのに。まったく、俺は大バカ野郎だな……」


 しばらく、俺は服についたミューナの涙(・・・・)を見ながら自分の軽率さを痛感していた……。


















「ん?今日はいつもより豪華な食事だな」


 元々、名誉といえど都会にいる貴族なので当たり前だが、毎日の飯は豪華だ。

 しかし、今日出た飯はなんて言えば良いんだろう……よくテレビに出るような、高級フランス料理店の料理がコース関係なく全部いっぺんに出された感じ?……小市民な俺にはフランス料理の見分けなんてつかなかったが。


 因みに、さっきの服は着替えた。あの服は自分への戒めに永久保管をしておく。流石に趣味で保存する変態ではない………………はずだ。


 何故今日に限って飯が豪華なのかは分からないが、とりあえず飯を食べよう。父さんは暫く忙しいから、とうぶん遅くまで家に帰れないらしいし。

 それに、泣いているのを隠すために走ったミューナだったが、やっぱり胃袋も限界だったようでさっきからウズウズしている。


「それじゃ、いただきます」

「「いただきます」」


 今さらだが、やはり『いただきます』の文化はこの国にも半分くらいだが伝わっているらしい。


「それで、話ってなんだ?」

「はい、今日はアル様が倒れられたのでミューナと二人でゴルバドさんの所に武具を受け取りにいきました。その際にゴルバドさんが『無理するなよ坊主。お前が倒れて悲しむ奴もいるんだぜ』との伝言をを頂きました。

 その……あの時はミューナがすごく落ち込んでいたので、ゴルバドさんが見かねたのだと思います」

「んーっ!!」


 ミューナが『何でバらすの!?』とでも言いたげにへリスを見てくる。

 口の中に物が入り過ぎて喋れないようだ。


 あ、スライムの能力で口の中の物を一瞬で身体に取り込みやがった。


「ミューナ泣いてないもん!!」


 ……誰もそこまで言ってないけどなぁ。だが、そんなに心配してくれるのは正直とても嬉しい。


「え、あぁ、そうでしたね。ゴルバドさんがただ心配してくれただけでした……!!」


 へリスもそこでようやくミューナの地雷を知ったのか、慌ててフォローを入れる。


「そ、そういえば明日から学園に行くんでしたね!!ミューナ、何か忘れ物はありませんか?」

   

へリスはあからさまな話題転換をし始める。だが、ミューナには効果テキメンのようだ。

 

 まあ、ミューナも触れられたくなかっただろうしな……。


「ボール!」


 そう言って、ミューナは床に置いていたボールを持ち上げる。当たり前だが、庭から直接ここに持ってきたようだ。


(明日から学園かぁ……。だから食事が豪華なのかぁ……ん?)


 HAHAHA……何の用意もしてない。

 書いてて思いました。『あれ?アルギウスの口調悪くなってね?』

 

 いや、こんなもん…………なはず。

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