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やっと出たよジョブスキル

 数々の試験をくぐり抜け、留年を回避した歴戦の戦士はこれまでの自分を振りかえって口を開いた……「あ、小説執筆すんの忘れてた」


 今回はそれにしても遅かったのを自覚しております……。今後は書ける時に書いてためたいなぁと思っていますが、誰か書き溜めの方法を教えて欲しいです。

 

 もう前の話とか忘れている場合は、前の話なんかをもう一度読んでいただきたいです。そしてあわよくば矛盾した設定なんかの報告が欲しいです(泣)。

 木の近くにある草原で、一人ステータスボードを開けたり閉じたりしながら、うんうん唸っている少年がいた。

 もしかして、彼はジョブスキルの事で悩んでいるのだろうか。 さらにさらに、そのジョブスキルが凶悪過ぎて見たくもないと思っているのかもしれない。

 

 ……俺の事なんだけどね。


「そうだな、今日はもう帰ろうかな。へリスとミューナも待っているだろうし」

「いや、それじゃあ何の為にこのジョブを取ったか分からないじゃないか!」

「名前がもう凶悪というか、スケールがデカ過ぎて話にならないしなぁ……」

「でも名前だけで決めつけるのはダメだろう。ジョブの名前が凶悪でも、ジョブスキルも凶悪とは限らないし」


 天使と悪魔の囁きを声に出してやってみる。一人だからできる所業だ。……どっちが天使でどっちが悪魔か分からないけど。


 とにかく、こんな茶番劇を一人でやっているが結論はもう決まっている。やるしかない……よな。


「さぁて、とりあえずジョブスキルを確認するか」


 どうやら今回のジョブ進化で、1つジョブスキルが増えたようだ。進化する前にも1つ覚えていたから、俺のジョブスキルは合計2個。1+1の簡単な計算です。


 なになに?ジョブスキルが少なくないかって?

 ……そんな事思ってない?

 はいそうですか。


 まあ、一応これにも理由がある。簡単に説明すると、ジョブが強ければ強いほど覚えられるジョブスキルの数が少なくなる傾向がある。中には勇者のジョブのように、強いくせにジョブスキルのオンパレードな例外も結構確認されているが、それこそ「全然比例してなくね?この傾向意味無くね?」と世界的に疑問視されているようだが、まあギリギリ傾向と呼べる程度には体を成している。


 俺もジョブを取得した時、ジョブスキル一個だったのを見て心の中で歓声を上げたものだ。その後ジョブスキルの名前を見て歓声が絶叫に変わったが。

 ちなみにその時のジョブの名前は『異端児』と言う。あの時は転生者なのが取得条件かと思って甘く見ていたなぁ。


 ……ずいぶんと前ふりが長くなった。さっさと終わらしてさっさと帰ろう。


 「一個目はこれ!『異端児』の頃からあったジョブスキル。その名も『制限崩壊(リミット・ブレイク)』!」


 はいアウトォォォォォオ!せめて制限解除にしろよ!?崩壊とか一気に危険な香りがするわ!


 



 









 次だ次……。2個目のジョブスキル。これは『理無の神(異端なる原初の神)』への進化と共に覚えたスキル。その名も『法則耐性』


 んー……。法則とかついてるのはちょっと怖いが、どうやら防御系のパッシブスキルのようだし、無効じゃなくて一段低い耐性だし、ジョブの名前の割にはハズレなのだろうか?ともかく、これは検証出来ないし保留で良いだろう。


「それじゃあ検証していきますか」 


 今回の検証は結果的にスキル一個の使用で済むのは不幸中の幸いだったんだろう。


「ふぅー、『制限崩壊(リミット・ブレイク)』!!」 


とりあえず名前を唱えてみるが、体に変化が感じられない。


「失敗か?いや、意識すれば何かが発動したような感覚はあるな。だけど魔力も体力も消費していないようだし……」


 ものは試しだ。実は分からない所で変化があるのかもしれないし、そこらの木を強めに殴ってみるか。


「ふん!……え?」


 右腕を木に振るった瞬間、肩に激痛が走る。しかも体が今までに無い勢いで右腕に引っ張られる。

 

その理解不能な中、腕が木にぶつかり……


 バキッゴキゴキッ!!


「痛ってぇぇぇぇぇえっ!?キュ、キュア!!」


 慌てて俺は自分の腕に魔力を込めれるだけ込めたキュアをかける。


 木はかなり抉れたが、それ以上に俺の右腕が大惨事になっていた。具体的には拳の皮がズル剥け、所々骨が跳びだし、腕は変な方向に3回ほど折れている。多分初めの肩への激痛は脱臼でもしたんだろう。

 その右腕にキュアをかけると、腕が逆再生をしたかのように治っていき、やがて元通りの俺右腕がそこにあった。


「え?」


 思わずアホみたいに口を開けっぱなしで呆ける俺。


 仕方ないだろう。回復力が常軌を逸していたのだから。


 このキュアと言う魔法。光魔法であり、効果は状態異常回復とかすり傷程度の止血くらいだ。光魔法は医療系の魔法ではないため俺に使える現状唯一の回復魔法だ。

 それは良いんだ。だが、俺がこの前竜種との戦いの時に爺やに魔力を込めれるだけ込めたキュアを使った時は、爺やについた軽傷は全て治ったが、深い傷は止血できた程度だ。

 俺の魔力でこれなのだからキュアがどれだけ回復に向いていないかは大体分かるだろう。


 だからこそ、この右腕の治り具合はおかしい。


「頭が……痛い。ヤバイな、目眩がしてきた……」


 右腕の考察中、ふと体の異変に気付く。そういえば元凶である『制限崩壊(リミット・ブレイク)』を解除するのを忘れていた事を思いだし、慌てて解除する。

 それでも具合は良くならず、むしろ急速に悪化している気がする。


「やっぱりデメリットはあるよな。新手の状態異常か?……いや、それならこの規格外のキュアで治っている……か」


 そう思いステータスボードを開いて、納得した。MPが0になっていたのだ。多分この症状は魔力枯渇と言うやつだろう。

 ちなみに魔力枯渇になると数時間失神してしまうのだが、戦場でなった場合は人生の終わりと言っても過言では無いだろう。


 だが、何故いきなりMPが無くなったのか?予想だが、『制限崩壊(リミット・ブレイク)』でキュアに込められる魔力に制限が無くなったんだろう。それで、俺の全魔力を込めたせいでキュアが規格外になった。そして俺も魔力枯渇になった。ということだろう。それなら辻褄が合う。


「一か八か、だな」


 もう一度俺は『制限崩壊(リミット・ブレイク)』を使用する。今度は効果をある1つに絞る。それは『魔力枯渇で失神しない為の気力』だ。これで限界を迎えても気を失わないで済む。

 とりあえず一息しようかと思ったが……


「顔になんかついているのか?」


 顔に違和感があったから服の袖で拭ってみる。拭った袖を見てみると、大量の血が……。


「って、右腕の怪我の血やんかーい」


 ちょっと本気でビックリしたのが恥ずかしかったのと、魔力枯渇の症状を気分的に和らげる為にエセ関西弁で一人突っ込みをしてみる。


 血のついていない左手で顔を改めて触ってみると……目、鼻、口から少量ながら確かに血が出ていた。


 魔法を使用した時に頭を酷使したとかか?それともこれも魔力枯渇の症状なのか?……分からないが、どうやら脳の毛細血管が切れていたとかだろう。それもキュアで治ったようで、今はもう流れていないが。


「とりあえずこれは隠さないといけないな……このまま街に戻ったら面倒くさい事になる」


 アイテムボックスから飲料水を取り出して、顔と右腕を洗う。服の方は、今回はへリス謹製のコートではないため勿論自動で綺麗になるなんて事もないので、これまたアイテムボックスから予備の服を取り出して着替える。いつか冒険に行く事を夢見て色々揃えていた甲斐があった。服に関してはクローゼットなんかより便利だと思ったからだ。

 基本我が家では父さんも含めて使用人さん達に服を着替えさせてもらったりはしていない。出来る限りの自分の手でやっている。

 父さん曰く、「自分に出来る事も他人任せだと、父さんの父さん、つまりアルにとってのお祖父さんみたいに堕落してしまうからね」という事らしい。

 祖父がどんな人かは知らないが、普段悪口なんて言わない父さんが自然にディスる人だ。多分、本当にろくな人じゃ無いんだろう。


 そんなこんなで他に血がついていないのも確認し終わったし、そろそろ帰る事にした。














 街までそこまで離れていないので、直ぐに着くはずだったんだけど、魔力枯渇で足取りがおぼつかないせいで少し時間がかかってしまった。


 後、門番の人達にも心配されたけど貴族特権で有無を言わさず通してもらった。

 貴族貴族と周りに言うのも、親の脛をかじっているようで複雑な感じだが、俺だけだろうか?まあ、俺がテンプレ悪徳貴族にならなければ良い話だし、大人になったら親孝行をしっかりしようと思う。前世ではしたくても出来なかったし。


 

「ただいま帰りました」


 俺の性格や話し方は使用人さん達もある程度知っているだろうが、先程自分の地位について考えていたところだし、せっかくだから少し丁寧な言葉使いで帰宅を知らせる。


「「お帰りなさいませ」」


 俺が家に入るなり使用人さん達が壁際に別れて一斉に頭を下げてくる。 

 何故俺が帰って来た時には、使用人さん達がもう壁際に並んでいるか疑問に思っただろう。

 え?そうでもない?あ、このネタさっきもやったわ。


 何故分かったかというと、最近、王都の富裕層に人気の魔導具がある。効果は、敷地に誰かが入って来た場合に魔導具が反応するというもので。その魔導具に予め自分を登録しておけば、敷地に自分が入った場合はそれが誰かもわかるのだ。

 勿論この家の魔導具に俺も登録しているから、俺が敷地に入って来た時点で使用人さん達は準備していたのだろう。


 俺は道の真ん中を出来る限り自然に歩いて自室に向かう。そろそろ俺の気力も限界に近い。


「ただいまぁ~」

「あ、お帰りなさいませ、アル様。……なんだか体調が悪そうに見えますが……」

「ああ、ちょっと魔力枯渇をしかけてな。もう一回寝るわ」



 自室に入った俺は、まだ寝ているミューナに気を使って小声でへリスに声をかける。

 それと、あくまでも魔力枯渇"しかけている"だけと言っておく。よけいな心配をかけるのも悪いしな。


 へリスが直ぐに俺の状態に気づいた事を驚きつつも、既に『制限崩壊(リミット・ブレイク)』を解除した俺は今度こそ意識を保てなくなり、ベッドに寝ているミューナの隣に出来る限り静かにダイブして意識を手放した……。

 次かその次から学園編!!あまり深く学園編に浸かって地雷を踏むのが怖いので、多分他の生徒はほとんど名前すら出ないモブかも知れない。


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