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凱旋パレード

遅くなって申し訳ない……。


*才能開花キャンペーンの必要ptを100から200に変更しました。

「おお、リオじゃねーか。頼まれていた武器はもうできてるぜ」

「ん、お金」

「丁度3000リグ、確かに受け取ったぜ。……で、こんな剣何のために必要なんだ?

 わざわざ軽量化の魔方陣も組み込んで軽くしたせいで剣のくせに威力は出ねーし、極めつけには刃をわざわざ潰しているなんて、まるで観賞用の模造品じゃねーか。そのくせ頑丈にしてくれなんて……」

「学園の模擬戦用」

「ああ……そういうことか。確かに模擬戦で殺傷沙汰になんてするわけにはいかねーし、軽いおかげで万が一打ち所が悪くても死ぬことはねーもんな」

「正解。近々模擬戦が始まる」

「そうかそうか、そういやリオ。坊主達も明後日から学園に通うみたいだぜ?」


 お、話がようやく回ってきた。このまま空気で終わるんじゃないかと焦ったね。


「そうなんだよリオ。……もしかしてその武器って俺達も必要になるのか?」

「んー……多分、直ぐじゃないと思うけどいつか必要になる」

「そうか……ゴルバドさん、3人分お願いできます?」

「任せときな‼ただ屑鉄で剣を鍛えて軽量化の魔方陣を組み込むだけだから明日防具と一緒に渡してやる。値段は3人で9000リグだな」

「分かりました。では即金で」


 俺はそう言ってアイテムボックスから9000リグを取り出す。実際はポケットから取り出したように見せたが。


「おし、確かに受け取ったぜ。学園で使うんなら名前をつけといてやる」

「お願いします。名前はそれぞれアルギウス、ヘリス、ミューナです」

「そんくらい覚えてるわ‼なんせここは会員制みたいな物だからな‼」

「そうなんですか?」

「金には困ってねえから客を選べるのさ。信用できねえ奴に使われて、ろくでもねえ事に使われたなんて聞いた日にゃ装備を打つ腕が鈍るってもんだ」

「俺も選ばれてるんですか?」

「リオの見る目を信じただけだ。まあ、俺も話してから坊主達を信じて良いって確信したんだがな」


 ゴルバドさんのような頑固者っぽい人に信用されたっていうのは結構嬉しいな。


 なんてやりとりを俺とゴルバドさんで話していると……


「リオはお菓子好きー?」

「好き……」

「じゃあこれあげるー‼ミューナの非常食なの!!」

「干し果物?……ミューナ、ありがとう」

「偉いですねミューナは。リオちゃんもちゃんと感謝ができて偉いです」


 なにやらミューナとリオは打ち解けており、それをヘリスはお姉ちゃんのような立場で見守っていた。

 ちょっと長話が過ぎたようだが、仲良くなってくれてなによりだ。


「リオ、今日は冒険者の凱旋パーティーがあるんだけど一緒に来ないか?」

「この武器を学園に登録しないといけないから、やめておく……」

「そうか……まあ、明後日には学園で会えるしな」


 確かに、許可も無く学園に武器を自由に持ち込めたら、生徒同士の喧嘩なんかで殺傷沙汰になりかねない。

 受付の時間が何時までかは知らないけど、申請しないと学園に入れないのだからここで引き留める訳にはいかないだろう。


「帰る……さようなら」

「また明後日会おうなー」

「リオちゃん、また明後日ね」

「バイバーイ!!」


 そうしてリオは帰っていった。

 リオを見送るついでに外を見てみると、大分暗くなってきていた。そろそろ凱旋が始まる頃だろう。


「じゃあ、俺達もそろそろ帰りますね?」

「明日また来いよー」


 ゴルバドさんに別れを告げた俺達は少し早足に道を戻っていく。


「まだ始まってなかったら良いんだけど……」

「楽しみですね」

「いっぱい食べるー!!」


 複雑な細い道を抜けた後、西の大通りとはまた違う大通りに出ると何人もの人達がごったがえしており、屋台で買い物をしていた。

 多分、ここにいる人達は凱旋そのものよりも祭りの為に来た人達だろう。


「もう始まったのでしょうか……」

「どうかな……少し急ぐか」


 たくさんの人達の間を通りぬけて早足に進んで行くと、西の大通りまで後少し、という所まで来る。


 途中で某大佐の有名なセリフ「人がゴ〇のようだっ!!」と言いかけたが、何も知らないヘリスとミューナに(主に頭を)心配されると思ったのでやめておいた。 


「結構ギリギリだったな……」

「門の前にいますね」

「良い匂い!!」


 遠くにいるから、あまり詳しくは見れないが門の前でなにかしているようだ。

 後、この通りが今回のメインストリートだからか、屋台が充実しているようで漂ってくる匂いが暴力的なまでに胃袋を刺激してくる。ミューナは今にも涎が垂れそうだ。


ともあれ、流石にずっと我慢してきたミューナが可哀想だし、ここらでご褒美をあげる事にしよう。

 

「ここに来るまでに、何かつまめる物を買っておくか」

「やったーっ!!」


 予想以上にミューナが喜んでいた。

 まあ、ミューナは大食いなのに昼飯の後は何も食べてなかったしな。あんなに動いたせいで、実は俺もお腹が空いている。


 本当ならアイテムボックスに入っているこれまで爆買いしてきた保存食用の屋台の料理や、家でコックさんに作ってもらった簡単な料理を消費したいけど、流石に祭りでそんな野暮な事はしなくていいだろう。

 前世で言う、祭りに来たのにコンビニ弁当を食べているようなものだろうか?


 何がしたいんだか……。



 なんて事を考えながら、ミューナに引っ張られて屋台を見て回る。

 屋台には、たこ焼きもどきやお好み焼きもどきなんてものがあり、歴代勇者達の活躍が伺える物が多かった。勿論全部買いましたとも。


「美味しーい!」

「はふっ、はふっ、中がとても熱いですね……」


 今はたこ焼きを食べながら歩いているのだが、中には何故か蛸ではなく鶏肉が入っていた。

 たぶん、この世界に蛸がいなかったか、蛸のグロテスクさがうけなかったのかのどちらかだと思う。

 もしかしたらあの店オリジナルかもしれない。この国は内陸部だし。


「ミューナ、たこ焼き熱く無いのか?」

「大丈夫だよー?」


 ミューナはたこ焼きをパクパク食べていたが、どうやら平気らしい。ヘリスは反対に、猫舌なようだ。


「はふっ、鶏肉は鶏肉でありだな……」


 純粋な地球料理を食べれないのは残念だが、どれもこれも美味しかったので文句は無い。


「んー?アル、ヘリス、皆来たよー!」

「本当ですね。もうここまで来てたなんて」

「ギルドマスターは馬に乗ってるのか」


 ミューナの言う通り、もうすぐそこにまで冒険者の行進が来ていた。

そのなかで、ギルドマスターは先頭で馬に乗って進んでいるようだ。ギルドマスターはハーフエルフなだけあってイケメンなので、女性からの黄色い声が絶えない。

 これで馬が白ければ、さながら白馬の王子様と言ったところか。


 後、ギルドマスターはさっき俺に言われた事を気にしているのか、笑顔を浮かべようとしているようだが顔がひきつっている。

 正直、ギルドマスターの苦悩を知っている俺からすれば、見るにたえない有り様だった。

 

「次はあれ食べたい‼」

「ミューナったら、まだ食べ足りないんですか?……スライムに満腹とか、あるのでしょうか?」


 そんな事を知らない二人は、凱旋はほどほどに他の露店を見て回りたさそうだ。

 ヘリスもなんだかんだで楽しんでいるようだし、今日くらい羽目を外しても良いだろう。

 流石に今回の報酬が無くなるような事は無いと思うが……。


「あんまり食べ過ぎると太るぞ~」

「わ、私はそろそろ止めておきますね……」

「アルもヘリスも食べないのー?……うにゅぅ……じゃあミューナも止めとく~」


 なんとなしに言った言葉が効果テキメンだった。

 

 まあ実際、脂っこい物や栄養の偏った物ばかり食べ過ぎるのは体によく無いだろう。もう少し祭りを楽しみたかったが、明日は朝早くからやりたい事があるので、なるべく早く休みたい。


「あっ、最後にあれ欲しー!!」


 まだ食べるのかと、ミューナの指差す店を見ると意外な事にその店は、玩具を売っているようだった。


「どれが欲しいんだ?」

「うーんと……あの丸いやつ!!」

「球状の……あれは"ぼーる"と言う物でしたか?たしか、昔にもありましたが、使用した事はありませんね……」

「へぇ、ボールなんか売ってるのか。丈夫なやつだったら一個買ってみるか」


 ボールはこの世界で生まれたのだろうか?勇者謹製なのだろうか?などと下らない事を考えながら店員のじいさんに話かける。


「おじさん、そのボール触らせてもらっていいかい?」

「ああ良いぜ。ただし、割ったりするんじゃねーぞ?」


 俺がボールと言ってもつっこまれなかったし、結構この世界では普及しているのだろうか?

 

 それにしても、このボールは思った以上に頑丈だ。

 その分跳ねないし重たいがこの世界の人達は、基本的に地球の人達よりも身体能力が高いので、このくらいが丁度良いのだろう。  


「ミューナ、どの色が良い?」


買ってやるのは決定事項として、後はいろんな色や柄がある中でどれが良いか選ぶだけだ。


「ん~、白!!」

「お、嬢ちゃんはお目が高いねぇ。白色は他のと違って汚れが目立つから、汚れないように表面にちょちょいとある薬品でコーティングされてるのさ‼

 その分少しだけ値が張るが、コレクターの間ではこれが本当に汚れないってんで、わざわざ手持ちのボールのコーティングを依頼してくる程なんだぜ!!」


 なんかミューナは当たりを引いたみたいだ。値段はその分割高になるので得はしていないが……。


「なんで白なんだ?女の子ってピンクとかが好きそうなイメージがあるんだがなぁ」


 まあ男の子が全員、青が好きかと言われるとそうでもないし、人それぞれの好みの問題だろう。


「えっとね、アルとヘリスの色だからね?一緒に持ってればいつでもアルとヘリスと一緒にいる気がするの!!」


 か、かわえぇ……。


 白色のボールを抱きしめて、照れながら喋るミューナが天使過ぎて暫く放心してしまった。見ると、店員のじいさんとヘリスも同様に、ミューナに心を射ぬかれたようだ。


「おい兄ちゃん、嬢ちゃんを幸せにしてやれよ。このやろう!!」

「ミューナ!可愛い過ぎます!!」

「にゃあ!?」


 おじさんは何故か涙ぐんでるし、ヘリスもいきなり抱きついたせいでミューナが驚いている。

 ヘリスが抱きつくのが遅ければ、今ごろ俺が抱きついていたかもしれないけどな……。


 その後、店を出た俺達は(勿論代金はしっかりと払った)嬉しそうにボールを抱きしめているミューナに癒されながら家に帰った。



 明日にでも、ミューナにボールの使い方を教えてあげよう。 
























 早朝、街の外のひらけた所に俺は立っていた。

 

 昨日の変異種殲滅戦が有った所からは大分離れている。あそこは変異種の突然発生の原因を調べる為の、調査隊のようなものがいるらしいからだ。


 俺が何故人目を避けて早朝からこんな所にいるのか、あれがとうとう貯まったからだ。


 そう!!『初回限定!!才能開花キャンペーン!!』に必要なポイントがだ!!

 それと、ジョブの取得に伴って取得したスキルも試してみたいのだ。


「才能開花……か。変なスキルがでたら落ち込むよな……」


 変なスキルを覚えてしまったら恥ずかしいので、一応ヘリスとミューナは家に置いてきた。というかまだ寝ている。


 さて、現在のptは206pt、本当にギリギリだった。 


「これを選んで……よし、確認ボタンを……ON!!」


 才能開花を取得のボタンを押すと、何故か画面が突然光りだした!!


「なんだ!?くそっ、バグか!?」


 スキルにバグがある……なんて事は無いだろう。ゲームじゃないんだし。


「ああ、こういう演出―――」


 光りが収まった時には、そこには誰も居なかった……。

 凱旋の話を作らなければ良かったと挫けそうになるくらい難産だった……。ほんと、なんで作ったんだろう。

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